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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『エリオット=マーチ ■03話_1(選択肢:ペーター)』

1:「ペーターに会いに行く」
(ペーターに会いに行こう)■■
ハートの城を目指すことにして、歩き続けた。■■
【【【時間経過】】】
ハートの城・庭園
★エリオット・ゴーランド滞在03共通ここから↓
【ペーター】
「また来てくれたんですね!
嬉しいです!」■■
「あー、はいはい」■■
毎度のように、会うなり抱きつこうとしてくるペーター。
ぎろりと睨んでかわす。■■
(調子乗らせるだけって分かっているんだけどな~。
なんで来ちゃうんだろう、ほんと)■■
ペーターは私に会えて嬉しいと、でかでかと書かれた顔で微笑む。■■
【ペーター】
「【主人公の名前】、僕の部屋に来ません?」■■
「【大】遠慮します【大】」■■
(やっぱり調子に乗っている……)■■
【ペーター】
「僕とあなたの仲じゃないですか。
遠慮なんて……」■■
「【大】どんな仲でもないから遠慮します【大】」■■
【ペーター】
「ふふ、慎み深いんですね……」■■
「照れなくてもいいのに……」■■
(……頭がおかしいって幸せよね)■■
最初誘われたときは、本気でそう思っていた。■■
【【【時間経過】】】
ハートの城・ペーターの部屋
「…………」■■
今だって、そう思っている。■■
【ペーター】
「僕の部屋、どうです?」■■
「……赤が目に痛い」■■
(……なんで、招かれちゃっているんだろう)■■
なんでって、それはもちろん、私がペーターからの招待を受けたからだ。
この世界に引きずり込まれたときのように無理やりな展開ではない。■■
「この城は、個人の部屋まで赤ベースなのねー……」■■
【ペーター】
「僕の趣味ですよ。
服に合わせてるんです」■■
「赤は警戒色ですけど、チェックだからそこまで刺激は強くないでしょう?」■■
「でも……、あなたが嫌いなら模様替えしますよ。
どんな色がいいですか?」■■
「……いいわよ。
模様替えなんて」■■
「あなたらしい部屋なんだから、このままでいいと思うわ」■■
けちはつけてみたものの、そこまで悪い部屋だというわけでもない。
ただの言い掛かりだ。■■
【ペーター】
「そうですか。
じゃあ、このままにします」■■
「ああ……、あなたが部屋に来てくれるなんて嬉しいな」■■
ペーターは、にこにこしている。
いつもの、毒々しい……狂気じみたところが消え、ごく普通の青年のようだ。■■
【ペーター】
「僕、すごく幸せです」■■
「…………」■■
ペーターは、特に悪行を働くわけでもなく、私をもてなしてくれた。
私も、彼が意外と私の意思を尊重してくれることが分かってきた。■■
部屋に行ってもなんの問題もないと判断したから招かれたのだ。
問題なのは、私だ。■■
部屋に招待され、応じてしまった私。■■
【ペーター】
「あなたと仲良くなれたんですね」■■
「……そうね」■■
「ずいぶんと……仲良くなっちゃった」■■
最初は、それこそ警戒していて毛嫌いしていたはずだ。
こんなはずではなかった。■■
何度も会ううちに、あれだけおかしいと烙印を押していた男と親しくなってしまった。■■
【ペーター】
「ふふ……。
大好きです、【主人公の名前】」■■
こんなことを言われても、慣れのせいか、気色悪くもなくなった。■■
「私も……、あなたのこと、嫌いじゃなくなってきたわ」■■
【ペーター】
「なんだか微妙な評価ですねえ……」■■
「仕方ないでしょう。
最初の印象が最悪だったんだから」■■
【ペーター】
「でも、今はちょっとは好きになってきてくれたんでしょう?
だから、僕に会いに来てくれるんですよね?」■■
「まあ……、ね」■■
【ペーター】
「嬉しいなあ……」■■
(こうしていると……、結構まとも)■■
私を部屋に招けたことを喜んでいるペーターは、邪気なく見えた。
ペーターと仲良くなることは、悪いことではないと思う。■■
彼は、初対面の印象ほど悪い奴ではない。
他でどうかは知らないが、私には優しい。■■
問題なのは、私。
彼に慣れてきてしまった、私だ。■■
(ペーターに慣れて、この世界にも馴染んできた気がする……)■■
もちろん、長く過ごせば、ここでの生活にも慣れてくる。
だが、ペーターといると、よりこの世界に馴染んでしまう気がした。■■
彼は、この不思議でおかしな世界そのものを表しているようだ。
慣れてくる。■■
そのことが、とても危険な気がした。■■
【【【時間経過】】】
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