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The Burlesque Times

ミュージカルSS4

2016.01.22

一つ前のディー&ダムのと対で書いたものの一部。
中身がどうなっているのかを聞かれたので。

~~~

ちくたく。

時計の針が動くような音。

ような……、というより断言したほうがいいのかもしれない。
これは、時計の音。

「……中は、どうなっているの?」

「それ、俺に聞くんだ?」

ユリウスじゃなくて、と言外に。

「……だって、あなたも詳しいんでしょう?」

具体的なことは、ユリウス以上に詳しいかもしれない。
実際に現物を取り出すという意味では。

それに、エースなら私が聞いても傷つかずにいてくれる。

「ここに……、時計が埋まっているの?」

ちくたく、ちくたく。

エースはコートを脱いだ状態だが、上着は着ている。
服ごしでは耳をすまさないと聞こえない。

手をのせ、耳を押し付けて。
聞き逃さないよう、注意深く。

私とは違う音。
この音が鳴るということは、ここに時計がそのまま埋まっているのだろうか。

「う~ん……、ちょっと違うかな。
たいして気にするような違いでもないけど……。
今、ここに時計が丸々埋まっているわけじゃない」

「ここに」とそう言うとき、エースは私の手の上に自らの掌を重ねた。

「?
じゃあ、今の時点でこの中は……時計じゃないの?」

だが、実際には針の音がする。

「時計がなくても、今この時点では、俺は俺と認識できるだろ?
だけど、俺が死んだら、その時点で曖昧になる。
時計がないと、しかも壊れていないとその時を留めておけない」

エースの言うことは、意味としては理解できても、実感がまるでわからない。

「今ここに、時計はないってこと?
……音はするのに」

「あるよ。
時計がないと、俺は見えない」

「……私には、見えるけど」

(あなたのことが、ちゃんと見えている)

馬鹿げた話だ。
私は時計を持っていない。
けれどエースのことは見えるし、認識できる。

そう言うと、エースはにっこり笑った。
爽やかな笑みだ。
まったく、何も考えていなそうでもある。

「ははは、そうだね、君には見える。
……だけど、まあ、死んでしばらくすれば俺はいなくなるんだ。
でも、時計が残るから代わりには困らない」

「だから、そういう言い方は……やめて」

「……はは。
……死んだ直後に、胸の位置を開くとさ、時計じゃなくて歯車が見えることがあるよ。
金属の……時計の部品かなあ、ユリウスだったら詳しいんだろうけど」

「え……?
その部品が、この音を出しているの?」

胸の位置を開く。
深く考えたら駄目だ。
質問や、話どころではなくなってしまう。

「まさか。
部品は一部で、それだけで音を出すようなものじゃないだろ。
ユリウスでなくても分かる」

「じゃあ、どうやって……」

はたと気付く。

体があるときには、部品の一部。
体が消えれば、残されるのは壊れた時計。

「…………」

「……でもさ、死んだ時点ではそうだけど、今この時点では本当のところは分からない」

「……?」

「胸を開いたような状態じゃ、よっぽどうまく解剖でもしない限り、死んでるだろ?
……死んだから、部品が見えるのかもしれない。
死んでいない今の状態じゃ、部品もない、からっぽかもしれないぜ?」

からっぽ。

(胸から音はするのに?)

ちくたく、ちくたく。

こうして、まさに今この時だって。

もう耳をすまさなくても聞こえるような気がする。
私と音は違っても、明確な主張のある音だ。
ここに存在する。

「……胸から時計を取り出すパターンもあるから、さすがに中に何も入っていないってことはないか」

エースはさらっと自分の言ったことを覆した。
反論しようか迷っていた私としては肩透かしだ。

「……!
じゃあ、その違いって何なの?
中に歯車が入っているのと、時計じゃ、違いすぎるでしょう」

「……ささいな違いだよ」
「だいぶ、大きな違いだわ」
「はは、違っていたとしてもさあ……。
言っただろ、たいして気にするような違いじゃない」

エースは片手で私を抱き寄せた。

「!?」

「からっぽじゃないっていうだけで充分」

そして、もう片方の手を立てかけていた剣に。
★ここからアクション。ちょっとグロくなってしまった。
後半、ユリウスとの恋愛もので締めてしまって、説明的な中身がないので割愛。
~~~

テストサイトを確認中。

ホームページ作成や更新、画像作成、それぞれ違う人が受け持ったり作ってくれているんですが、すごく綺麗に作ってくれたな~と思います。すごすぎる。
丁寧にありがとうございます。
私だけじゃ、作成はもちろん、更新も無理でした……。

ここから、シナリオをホームページ仕様に修正したり落とし込んでいかなければ……。

気軽に読み返したり懐かしんだり出来るような保管庫に出来たらと思います。

……って、先に告知を頼まれてるんだけど指定が来ない。
仮でもいいから何か入れておいたほうがいいのか、オープン時まで待ってお知らせ項目で入れればいいのか。
当たり前ではあるんですが、法人じゃなく私設だと既定の決め事なんかないので、どういうときにどうする……というのも難しいな。
共有なんだし、色々話し合わなきゃいけない気もしますが。
個人サイトらしくアバウトにしてっていわれてるけど、そもそも投稿系以外で個人サイトを持ったことがなかった……。

#雑記

ミュージカルSS3

2016.01.21

原作に詳しくない関係者から、鑑賞後、ディー&ダムがどんなキャラかを聞かれたので送ったもの。
(他メーカーのライターさんなので、そっちもそっちで自分が原作を書いたキャラで色々送ってくれたんですが、お互いにいまいちキャラが分らないまま……)


~~~


びちゃり。


水溜りを踏んでしまったような音。


泥水より悪い、赤い水溜りだ。
汚れは落ちにくく、洗濯しても無駄。
だが、この世界ではお構いなし。
それがどんな色の水だろうと、しばらく経てば汚れた服は元通り。


(っていっても、しばらくは我慢しなきゃいけないんだよね~)


「ねえ、兄弟。
気持ち悪くない~?」


「うん、兄弟。
気持ち悪い。休憩したい」


「……だよね~。
はあ、何をお金にもならないことやってるんだろ~、僕ら」


指示を受けたのは、『敵』の始末。
それがどんな敵だったかは忘れてしまったが、とにかく倒せばいい。
そこまでは仕事。


倒す際に、切り刻むのは仕事の内ではない。


(やりすぎちゃったかな~)


刃物を使っている以上、斬るのは当然。
しかし、そんな自分達でもやりすぎと思うほど刻んでしまった。


「……見たい部分だけにすればよかったね。
労力の無駄だった」


「そうだね~、どうせお金にならない時点でくだらない興味だったし。
見たい部分だけ、開けばよかったな~」


なんだか妙に熱中してしまった。
その分、冷めると一気に興味を失う。


開いた体。
旨の部分から覗く金属。
血に染まって、錆びて見えた。


(こういうのが、僕らの体にも入ってるんだよね~)


それは面白いほど滑稽。
分りきっていたことだし、何度か見たこともある。
だが、それはこの世界の常識でありながら触れるのは禁忌に近いものでもあった。


ルール違反。


だが、動物の死体から目を離せない子供のように、興味があった。


「ゆっくり見てみたいって思ったけど……、たいしたものじゃないね。
休みを無駄にしちゃった」


「そうだね~、思ったよりつまらないや。
汚れ仕事っていうのは報酬がないとだるいだけ~」


「はは、兄弟、ボスみたい」


「ボスは報酬があってもだるそうだけどね~」


斧をぶんぶんと振って、血を払う。
そのうち取れると分っていても、わずらわしいのは変わらない。


興味を持てないものに価値はない。


「……どうしたの?」


優しくて、甘い声。
お菓子みたい。


「ん……?
ううん、何でもな~い」


「眠いんじゃないの?」


彼女の長めの髪が、緩くまとわりつく。
でも、払おうとは思えない。
わずらわしいどころか、気持ちいい。


「お姉さん、僕、眠くないよ!
眠いのは兄弟だけ!」


「何言ってるのさ、兄弟だって寝かけていたくせに!」


「……なんでもいいけど、このまま寝るのは勘弁してよ。
眠いんでしょう、いいかげんにちゃんと寝なさい」


「え~……、もうちょっと」


「うん、もうちょっとだけ」


体重はかけないようにしているものの、こうして二人で圧し掛かっていては、ひ弱な彼女には重いだろう。


彼女の胸は柔らかい。
耳を押しつけて、響く音まで柔らかく感じられた。


とく、とく、とく。


彼女の声と同じように、優しい音。


最初は嫌がられたのに、聞くことを許してくれるようになった貴重な音。


「…………」


夢見心地で聞きながら、緩く目を合わす。
青と赤。
兄弟同士、対照的に、けれど同じようなことを考えて。


(気持ちいいね)
(うん、気持ちいい)
(中はどうなっているのかな)
(開いてみたいね)
(うん、聞くだけじゃ足りない)
(ちょっとだけ、開いてみない?)
(ちょっとって、どれくらい?)


「もう……。
本当にちょっとだけよ、結構苦しいんだから」


「もうちょっとだけ」という言葉に答え、彼女はちょうどいい返事を与えてくれる。


(……苦しいんなら、駄目だよね)
(ちょっとも、駄目だ)


「ごめんなさい、お姉さん」


「怒らないで、お姉さん~」


「……はあ。
いいわよ、怒ってない」


彼女の中には、きっといいものが一杯詰まっている。


(開いてみたいけど……)


柔らかく、優しい音が好き。
彼女の胸の音も、彼女の声も。


アリスが好き。


そう伝えても、笑って流してしまう彼女。


(お姉さんは、どうしたら僕たちを好きになってくれるのかな?)
(少なくとも、開いたら答えてもくれなくなっちゃうよね~)
(こんなに好きなのにね)
(どうやったら、分ってくれるのかな~?)


中身を確かめるより、ずっと興味がある。


自分達を開いて、見せてあげたい。


~~~


メインスタッフと話したりして、QuinRose解散が決まって、もう半年になるんですよね(内部的にはですが)。


早いな~……。


そして、すでに1月後半なんですがティザーサイトのまま。
ミュージカル時期にハートの国のアリスのシナリオは全公開させたかったんですが、なかなか作業が……。


それぞれが忙しくなってデータを集めたりチェックが出来なくなる前にまとめてしまいたかったんですが、やっぱり仕事じゃなくなると時間が作りにくい。

#雑記

ミュージカルSS2

2016.01.20

ミュージカルSSというには暗めですが、これも初日・ブラッド公演のときに送ったもの。


ビバルディENDがないというのを指摘されて書いたやつ。


~~~


親しくなり、優しくされるほどに分からなくなる。


「どうして、あなたはあんな残酷な処刑を……。
……首をはねたり出来るの?」


(こんなに優しくもできる、あなたなのに)


薔薇に囲まれた女王様は、とても穏やかだ。
ここは特別な場所で……、ここ以外で見る彼女とはまるで違う。


だが、私には今の彼女のほうが馴染めた。
ほんのわずかな『時間』だとしても、今のほうが。


「別にわらわが直にやっておるわけではないぞ。
命じておるだけじゃ。
いちいち、手は汚さん」


私の髪をすいてくれる彼女の指は細く、白く、だが汚れを恐れているわけでもなさそうだ。


「……直に手を汚さないから平気だっていうの?」


「さあ……、そうかもな。
……わらわは、苦労など知らないから」


ビバルディは、ゆっくりと立ち上がった。


二人で、薔薇園の主を待っていたのだ。
ここでなら明かせる、彼女にとっても待ち人である弟を。


そして約束どおり、彼は現れた。
私も立ち上がる。


「……辛いことを何も抱えていない人なんて、いないんじゃないかしら」


苦労を知らないという彼女は、女王に相応しく凛としている。
しかし、なぜだか無理に嘘を言わせてしまったような罪悪感があった。


「辛いことなど、何も」


愛しい者を迎えるというには、苦い顔をして。


「辛く苦しい過去など、女王に似合わないであろう?」


こそりと、彼女は笑った。
ブラッドには聞こえないように小声で。
けれど、見すごせないような笑顔で。


「何を楽しそうに話しているのかな。
……お嬢さんに変なことを吹き込んだりしてやしないだろうな?」


「見たままじゃ。
楽しいことを話していた」


そう言う彼女は本当に楽しそうで……、確かに辛く苦しい過去など、似合いそうもない。


(なんでも、知ればいいというものでもないわよね)


詮索しようとした自分が、どこか恥ずかしい。


今、彼女は楽しそうだ。
それでいい。


今が永遠に続くわけでなくても。


~~~


ここは個人サイトなので、どういうノリで書いていけばいいのか微妙ですね。


個人の雑記なんて、もっと軽いノリとかプライベートのしょうもないこと……、好きな本とか食べたものとか、書いたほうも読むほうも何の得にもならないようなことを書いたほうがいいような気がする。


特に↑こういうのは掲載しないで、載せるにしても先のSSくらいのおふざけ的なのにしたほうが……。


というか、個人サイトなんだから何をどういうふうに書いても自由なんだけど、方向性を模索してしまう。ぐるぐる。


まだもうちょっと先ですが、夏近くなると新しい仕事関係で相当忙しくなりそうなので、こんなふうに埒もないことでまったり出来るのも今だけかな~と思います。


が、前の仕事関係……っていうことにはなってしまうけど、旧スタッフとか今やりとりしている人とは今後も付き合っていきたいな。
環境が変わるのはわくわくするけど、寂しいような……。
いやもう、寂しい。今はまだ忙しくなる前だから寂しがる余裕があるんだとは思いつつ、忙しくなったら寂しくなくなるんだな~というのがまた寂しい。
本当、埒もない。

#雑記

ミュージカルSS

2016.01.20

ミュージカル、始まってますね!


私も後半にちょっとだけでも行けたら……という感じだったのですが、なかなか大変で。


QuinRoseの旧スタッフや関係者が会いに来てくれたり、LINEで様子や感想を送ってくれたりしました。


気分転換に、LINEでキャラメッセージみたいなのを書いて送ったら喜んでもらえたので、初日分をここにも一部載せてしまいます~。 (内容まで個人対象に書いてしまったものは省きます)


スマホでぽちぽち書いたものなので、変なところはお見逃しを。
送った相手はバラバラなので、形式さまざま。


◆初日・ブラッド公演のときに送ったもの


~~~


↓もらった感想がとってもテンションが高かったので


ブラッド
「私との夜に興奮してくれたのかな、お嬢さん」
アリス
「……あなたの言い方って、いつもどこか引っかかるっていうか、素直にうんと言えないのよね」
ブラッド
「ふむ。
つまり、素直にさえなればうんと言ってくれる夜だったと」
アリス
「……悪くはない夜だったわ。
きちんと最後まで送り届けてくれるなら」
ブラッド
「……もちろん。
むしろ、送り届けてからが本番だ」
アリス
「!
だ、だから、そういう言い方を……っ!」
ブラッド
「やめる気はないぞ?
……からかいや冗談ではなく本気だからな」
アリス
「…………」
ブラッド
「エスコート……、最後まできちんとさせてくれるだろう、お嬢さん?」


~~~


↓ブラッド公演でしたが、エリオットが好きな方だったので


「●●●……だっけ?
あんたの家まで、護衛は俺が務めるぜ。


ブラッドはアリス……じゃなかった、姐さんで手一杯なんだ。


俺でも構わないだろ?


……は?俺がいい?


……物好きなやつ」


~~~


↓同じくエリオットが好きな方。


エリオット
「もえ殺される……って何だ?


こんなに寒い日なのに???焼死するって???


●●●、おまえって変な奴……。


俺がいいとか言うし……。


……変、だけど、まあ嫌な気はしないぜ?


あんたも、俺が送っていくことに嫌な気はしてない……ってことだろ?


美人にそんなこと言われりゃ男としちゃあ……送った甲斐があるってもんだ」


~~~


↓なぜかナイトメア


ナイトメア
「病院がどうかだって!?


居心地がいいわけないだろう!?


手術ももう二回目だぞ!?痛いし痛いし痛いし怖いし吐くし、外出許可も出ないとか三回目もあるとか……もう最悪だ!


……うん、まあ、こうして君がメッセージをくれるから最悪のちょっと上くらいまでには持ち直したかな。


は?返信なんていいからぎゃあぎゃあ言わずに寝てろって?


痛いんだよ!


ありがとう!」


~~~


↓もう遅いのに新宿で寄り道するというので、ブラッド


ブラッド
「いいか、お嬢さん。


君は自分を軽んじすぎている。


こんな時間に君のような人が、共もつけずに繁華街を歩くとは……。


……悪い輩に、かどかわしてくれと言わんばかりじゃないか。


おや……、不逞の輩ならそうすると言い切れるぞ?


……私なら間違いなく、そうするからな」


~~~


別にいつもキャラメッセージみたいなのを送っているわけではないのですが、ライターあるあるというか……。
他メーカーさんでも、ライター(場合によってはライターじゃなくても)がスタッフ間や関係者間でちょこっと送ったりするのは聞くなあ。


相手がキャラ知らないと(同じメーカーや関係者でも全キャラ把握しているのは稀)、それはそれで面白い反応が返ってきたり。


個人的な乗りと勢いなので、メーカー内なのにキャラ崩壊していたりする。

#雑記
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