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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『エリオット=マーチ ■08話_1』

アニバーサリーの国のアリス・エリオット滞在ルート08_1
★全キャラ共通部分ここから↓
【【【時間経過】】】

「……!!!」■■
……デジャヴだ。
また、倒れている男性がいる。■■
他領土の友人のところへ向かう道。
以前と、同じ場所。■■
(同じ人……???)■■
(まさか、ずっとここに……?)■■
(……そんな馬鹿な……)■■
あれから、どれだけ経ったというのか。
ずっと倒れているなんて、ありえない。■■
同じ人だとしても、違う理由で倒れているのだろう。
あれだけ時間が経ったのだから……。■■
(……?)■■
(あれ……?)■■
あれだけ時間が経った……。
……どれだけ時間が経ったのだろう?■■
昼夜はころころと、ダイスのように気ままに変わる。
だが、どれだけ時間が経ったかというと……。■■
(……でも、かなり経っているわよね?)■■
かなり……経っているはずだ。
……どれくらいかは分からないけど。■■
(とにかく、助けなきゃ……っ)■■
のんきに考え事をしている暇などない。
とりあえず様子をみようと、近づく。■■
「……?」■■
……またもや、近づけない。
近くへ行こうとしても、それ以上は近寄れない。■■
(……なんで???)■■
前回も、こうだった。
唐突に思い出す。■■
どうして今まで、倒れている人を放置して平気でいられたのか。
あれから、滞在場所に戻って平然と生活していた。■■
何事もなかったように、ずっと。■■
(……ずっと???)■■
(……???)■■
【【【演出】】】……不思議サウンド(頭がぼんやりする音?)
頭がぼんやりする。■■
(…………)■■
【【【時間経過】】】
★全キャラ共通部分ここまで↑
帽子屋屋敷・エリオットの部屋
【エリオット】
「~~~~……」■■
【【【演出】】】……ベッドに倒れこむ音
どさりと、ベッドに倒れ込む音。
最近、エリオットはものすごく疲れているようだ。■■
睡眠時間もろくにとっていないらしい。
仕事で無茶をしているのかもしれない。■■
(さすがに、我慢の限界かも……)■■
(このままじゃ、エリオットが完全にバテちゃうわ。
ディーとダムに、仕事状況を聞いてみよう)■■
【【【時間経過】】】
帽子屋屋敷・一室
「いたいた。
ディー、ダム!」■■
双子を捕まえて(彼らはしょっちゅう仕事をさぼっているので捜し出すのに苦労した)仕事状況を尋ねてみる。■■
【ディー】
「どうしたの、お姉さん」■■
【ダム】
「デートのお誘い?」■■
【ディー】
「それなら、僕達、ちょうど今から休憩時間で……」■■
……また休憩をとるつもりらしい。■■
エリオットは彼らの捕獲で忙しいのではと勘ぐってしまう。
実際、彼はサボりがちな門番に手を焼いている。■■
「デートは結構……。
あなた達二人でしていらっしゃい」■■
「……ねえ。
聞きたいことがあるの。教えてもらえる?」■■
【ダム】
「タダで?」■■
すかさず聞き返されたが、無視する。■■
「最近、仕事って忙しいの?」■■
【ディー】
「……仕事?」■■
「僕らの仕事はいつだって忙しいさ。
もうちょっと労働条件を考えてほしいよ」■■
【ダム】
「そうそう。
給料を上げてほしいよな」■■
【ディー】
「優先事項は休みだよ」■■
【ダム】
「違うね。
最優先事項は給料だよ」■■
【ディー】
「両方もらえれば問題ないじゃないか」■■
【ダム】
「その通りだよ、兄弟。
さすが僕の兄弟、賢いね」■■
双子に仕事の状況を聞いてみたが、要領を得ない……というか、自分達の要望しか出てこない。■■
「あんた達の労働条件改善案はブラッドに出すべきだと思うわ……。
私は、仕事がいつもより忙しいかどうかが知りたいの」■■
【ディー】
「なんで?
兄弟、何か変わったことってあった?」■■
【ダム】
「いいや?
いつもと変わらない気がするよ」■■
「給料も変わりなし。
酷いよね」■■
「あ、そうなの。
忙しいのかと思った」■■
「じゃあ、忙しいのってエリオットだけなのかしら」■■
双子によると、彼らの勤務状態は変わらないらしい。
仕事の量も特に増えたということはないそうだ。■■
【ディー】
「ひよこウサギがどうしたの?」■■
(ひよこウサギ……)■■
(エリオットって上司にあたるはずなのに、いいの、それで……)■■
「最近、疲れているみたいだから。
仕事が忙しいのかなあって思ったのよ」■■
【ダム】
「あ~、あいつ、給料以上に働くからね。
ああ見えて、働きウサギなんだよ」■■
【ディー】
「組織の二番目だけあって、色々忙しいよね。
僕、休みが少ないなんて耐えられないよ」■■
【ダム】
「僕は給料が……」■■
また、話が一巡して元に戻りそうだ。■■
「そう!
休みが少ないんじゃないかしら?」■■
「何か知らない?」■■
双子は、少し考えてくれた。■■
【ディー】
「うう~ん、そうだな。
ひよこウサギはボスに次ぐだけあって、内密の仕事も多いけど……」■■
【ダム】
「でも、休みがとれなくなるほど大きいヤマだったら僕らも呼ばれるよね。
残業手当がほしい」■■
【ディー】
「そんな話は聞かないなあ……」■■
「……ね、なんでお姉さんが心配するの?
いいじゃない、あいつは大人なんだから仕事量くらい自分でセーブするよ」■■
【ダム】
「そうだよ。ほっといてもいいよ。
アホウサギだから、倒れるまで仕事しそうだけど」■■
「ダム……」■■
それが心配だから、こうして原因を探しているのだ。
ほうっておいていいことはない。■■
【ディー】
「あいつは大人で、僕らは子供なんだから、僕達のほうにもっと構ってよ」■■
「ディー……」■■
【ダム】
「うんうん。
だから、ウサギなんてほうっておいて僕らとデートしよ」■■
片割れの意見にもう片方も同意して、最初のデートの話に逆戻りだ。■■
「あなた達は、元気でしょう?
エリオットはくたくたに疲れているのよ」■■
【ディー】
「疲れてる……?」■■
【ダム】
「あいつが……?」■■
双子は顔を見合わせた。■■
【ディー】
「疲れていた?
兄弟は、気付いたか???」■■
【ダム】
「いいや、そんな金にならないことに気付いたりしないよ。
でも……、疲れていたかな???」■■
【ディー】
「あいつがへばるなんて珍しいよね」■■
【ダム】
「疲れを表面に出すことが珍しいよ。
僕は気付かなかった」■■
【ディー】
「あいつって、隠すのがうまいもんね。
分かりにくい」■■
「エリオットが分かりにくい???」■■
「すごく分かりやすいじゃない。
なんでもすぐ態度で表れる」■■
【ダム】
「何を言っているのさ、お姉さん」■■
【ディー】
「あいつの考えていることって、ものすご~く分かりにくいじゃない。
表面だけなら単純だけど」■■
【ダム】
「アホに見えて、そんなにはアホじゃないよね。
そこそこはアホだけど」■■
「本当に根っからアホだったら、上に立たれるのムカつくから僕らがとっくにやっちゃってるよ。
有料で」■■
【【【演出】】】……ひゅん、と空気を切る音
ダムは斧を振った。
エリオットといい、危ないものを振り回すのはやめてほしい。■■
「誰のことを言っているの」■■
双子が話す人は、私の知る彼とは違う。
別人のようだ。■■
【ダム】
「お姉さんこそ、誰のことを言っているの?」■■
可愛らしく、首をかしげる。
その仕草は……、彼らがやると正直怖い。■■
外見が可愛い部類に入る分、尚のこと怖かった。■■
【ディー】
「ナンバー2なだけあって、あいつは感情殺すのがうまいよ?
それが弱みなら尚更」■■
【ダム】
「わざと見せて油断させるような思惑なしじゃ、内面を出したりしない」■■
「利益なしじゃ本心はさらさない。
それくらいの分別はあるよ、多分」■■
「……や、結構怪しいかな」■■
【ディー】
「イカレてるもんね、あいつ。
ひよこウサギだし」■■
(エリオットがイカレてるなら、あんた達はどうなのよ……)■■
(……人のことは絶対に言えないと思う)■■
双子達の話は、組織のナンバー2としては正しい人物像なのだろう。■■
しかし、私が知る彼とは違う。
付き合いの長さから、彼らのほうがエリオットについては詳しいはずだが、別人に思える。■■
「え~~~……、でも、あの人、分かりやすいわよ?」■■
【ダム】
「どんなふうに?
奴は、疲れているなんてへばる直前まで気付かせないと思うけど……」■■
【ディー】
「勘違いじゃない?」■■
「そんなことないわ。
エリオット、最近、すぐに寝ちゃうんだもの」■■
【ダム】
「…………」■■
【ディー】
「…………」■■
双子は同時に口をつぐんだ。
口元がひくついている。■■
「……?」■■
【ダム】
「……どこで?」■■
【ディー】
「……どこで寝てるの、あいつ」■■
「どこでって……。
エリオットの部屋でよ」■■
「すごい寝付きのよさで、爆睡しちゃうんだから」■■
【ダム】
「……へえ」■■
【ディー】
「……へ~~~」■■
「な、何?」■■
口元のひきつった部分が隠れる。
双子はにやりと笑う。■■
口のかわりに、帽子の角度で目元が隠れた。■■
【ダム】
「お姉さんって、あいつのお手つきなんだ?」■■
「は……?」■■
【ディー】
「いつの間に、手を出されちゃったの?」■■
「な、にゃに言って……!
……って!?」■■
……噛んだ。■■
(何を言い出すんだ、こいつらは……)■■
【ダム】
「……そりゃ、弱い部分もさらすよね」■■
「はっ、僕も見てみたいよ、奴の疲れきった間抜け面。
とっても気分悪くなれそう。見物料を払ってもいい」■■
【ディー】
「僕は、もうすでに気分が悪いよ」■■
「ご、誤解よ、誤解!!!」■■
【ダム】
「奴と寝たんでしょ?」■■
「寝……」■■
一緒には寝た。
だが、指しているのが同衾の意味合いだけでないことは分かる。■■
【ディー】
「しかも、なに。
すぐに寝ちゃうだって?」■■
【ダム】
「……見掛け倒しに体力のない奴だったんだね。
お姉さんに失礼だよ」■■
「……【大】そういう意味じゃない【大】」■■
【ディー】
「あ、それとも、お姉さんのほうが激しいとか?」■■
【ダム】
「奴をダウンさせるほどってすごいよね。
あいつ、体力だけはありそうだもん」■■
「あっちのほうがどうかは知らないけどさ」■■
(いくつなんだ、こいつら……)■■
「言うことがオッサン臭いわよ……」■■
(セクハラ……っ)■■
子供(かどうかは知らないが、私より年下に見える)とは思えない発言に、赤面する。
そして、年を考えると青くなってしまう。■■
「あ、あの……。
それ、誤解で……」■■
年頃の男女が同じ部屋のベッドで頻繁に過ごし、何もないというほうが無理がある。
一般の常識からするとそうだろう。■■
しかし、この世界に一般の倫理観があるとは驚きだ。
なんでもありかと思っていた。■■
【ディー】
「そんなのに引っかかるなんて、かわいそうなお姉さん……」■■
【ダム】
「騙されてるんだよ。
僕達が救ってあげないと」■■
「この際、ただ働きでも仕方ないよ」■■
【ディー】
「同感だ、兄弟」■■
「…………」■■
(人選ミスだ……)■■
明らかに、相談相手を間違えた。■■
【【【時間経過】】】

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