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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『サブイベント ■深夜のお茶会1』

※ブラッド・エリオット滞在ルート両方で発生可能なサブイベントです
・同イベント内、2:「本当は好きなものばかりだから、嬉しくて照れているんじゃない?」を選んでいる
【【【時間経過】】】
帽子屋屋敷・庭園
【ブラッド】
「やあ、アリス。
良い茶菓子が入ったんだ。お茶にしないか?」■■
ブラッドとエリオットに、お茶会に誘われた。■■
★ブラッドルートのみ↓
少し前に、誘いから逃げたことを思い出す。
今回は参加してもいいと思い、誘われるまま庭園に出たが……。■■
★ブラッドルートのみ↑
「……いいけど、今は夜よ?」■■
【ブラッド】
「そうだな。
深夜だ」■■
【エリオット】
「今回の夜は長いからな」■■
夜が長ければ、深夜ということになるらしい。■■
これだけ時間帯がぐちゃぐちゃだと、明確に判別するのも難しい。
深夜の後に朝が来るとは限らないのだ。■■
【ブラッド】
「深夜にお茶会なんて誘ったらまずかったかな?」■■
「そんなに眠くないし、誘ってくれるのはいいんだけど」■■
【エリオット】
「じゃ、問題ないよな」■■
いいんだけどと言っている時点でその後に続く言葉があるのだが、エリオットは軽く無視する。■■
彼の場合、故意ではなさそうなので、余計に厄介だ。
平気で話の流れをぶったぎる。■■
「お茶会は三時にするものじゃなかったの?」■■
めげずに、続けた。
確か、最初に会ったとき、三時のお茶会がどうのと言っていた気がする。■■
(実際には、いつが三時なのかなんて分からないけど)■■
【ブラッド】
「それはルールにない。
お茶会には客を呼ぶのがルールだ」■■
「客がいなくとも、紅茶は飲むがね」■■
【エリオット】
「ブラッドは、ルールを自由に変えられるもんな」■■
「自由に変えられるようなもの、ルールじゃないでしょうに」■■
【ブラッド】
「ルールだよ。
私がルールと決めたら、それがルールになる」■■
「客人がいて、三時のお茶会をひらく。
完璧なルールだ」■■
「やはり、可愛いお嬢さんの客はいいものだな。
楽しくお茶会ができる」■■
「私が、可愛いお嬢さんにあてはまるかどうかはともかく……」■■
「客はいても、三時のお茶会にはならないでしょう?
今は夜よ?」■■
時間が曖昧な世界でも、さすがに夜に三時のお茶会はおかしい。■■
【エリオット】
「なに言ってんだよ、アリス。
今は深夜だぜ?」■■
「そうよ、夜なのよ」■■
【エリオット】
「だろ?
だから、三時だろ、深夜の」■■
「ブラッドは正しい。
間違ったことは言ってねえ」■■
「あのね……」■■
「三時は三時でも、時計が一回り違うわ。
深夜の三時は、お茶会向きの時間じゃないでしょう」■■
三時のお茶会といったら、昼の三時に決まっている。■■
【エリオット】
「三時は三時なんだから、いいだろ。
変わらねえよ」■■
「……そうかもね」■■
実際には大分違う。
お茶会は夜に開くものではないと思うが、エリオットが力説するので段々反論するのも面倒になってきた。■■
【ブラッド】
「ペーター=ホワイトみたいなことを言うじゃないか、エリオット」■■
「奴も、同じようなことを言ってルーズらしいぞ。
同じ時間帯なら何時間帯たっていようが約束を守ったことになるというのが定番の言い逃れらしい」■■
茶器をいじりながら、ブラッドはにやにやした。
エリオットはむっとして、耳を立てる。■■
【エリオット】
「俺はガキ共みたいにサボり癖はないぜ」■■
【ブラッド】
「そうだな、おまえは働き者だ。
よく働いてくれるし、ルーズじゃない」■■
「詭弁は使うが、ペーター=ホワイトのようにこずるいわけではなく、おおざっぱなだけだ」■■
【エリオット】
「ああ、どこも似てないだろ」■■
酷いことを言われているにも関わらず、エリオットは嬉しそうに頷く。■■
【ブラッド】
「だが、ペーター=ホワイトとおまえが似ているところは、そこだけではなくて……」■■
【エリオット】
「どこも似てない。
俺と女王の部下と、どこがどう似てるってんだ」■■
「そりゃあ、耳……」■■
【ブラッド】
「うむ……」■■
「昔は、親戚かと思っていたんだぞ……」■■
私とブラッドは揃ってエリオットの頭部に目を走らせるが、本人は気付いていないようだ。■■
【エリオット】
「親戚!?
俺とあの陰険野郎が!?」■■
「ちっとも似てねえだろ!?
性格も服装も外見も!」■■
「俺は、あんな何考えてるか分からない嫌味野郎じゃないし、気取ったような眼鏡もかけてない。
タイプがまったく違うだろ?」■■
どこに共通点があるのか、本気で分からないらしい。■■
「え~っと……、耳が……」■■
【ブラッド】
「そう……耳が……」■■
私とブラッドがぼそぼそと呟いたが、エリオットの大きなウサギ耳には届かなかった。
飾り物なのかもしれない。■■
【エリオット】
「んん?
言いたいことがあるならはっきり言えよ」■■
(あんたもペーターも、いい年をした男がウサギ耳なんかつけてんじゃないわよ!)■■
(気色悪いのよ!
むしりとってほしいの!?)■■
……というのがはっきり言いたいことなのだが、賢明な私は口に出さない。■■
ブラッドも無言で紅茶を飲んでいる。
彼は私よりもっと賢明なので、ウサギ耳から視線を完全に外している。■■
「そ、そういえば……」■■
「紅茶って、コーヒーよりもカフェインが多く含まれているのよ?
知っている?」■■
無理のある話の逸らし方で、私も紅茶に口をつけた。■■
【エリオット】
「知らねえ」■■
「夜に飲むものじゃないの」■■
【エリオット】
「ふ~ん」■■
せっかく教えてあげたのに、エリオットはあっさりしたものだ。■■
【エリオット】
「紅茶なんか、あんまり飲まねえからな……」■■
「紅茶といえば、ブラッドが紅茶好きなんだ。
カフェインが多いなんて知ってたか?」■■
【ブラッド】
「ああ、好む飲み物のことくらいは知っているとも。
紅茶に限らず、茶というものは寝る前に飲むべきものではないな」■■
「寝る前に飲むなら、ホットミルクなどが適している」■■
答えながら、ごくごくと紅茶を飲み、おかわりまでしている。■■
「知っているのなら、控えなさいよ。
夜なのに」■■
「寝られなくなるわよ」■■
【ブラッド】
「夜に眠ったりしないさ。
私は夜型人間なんだ」■■
「夜のほうが仕事もはかどる。
私の仕事は、なにかと隠れて行う内容が多い。夜が似合うんだ」■■
それは、もっともだ。
マフィアの活動が明るい昼の時間というのは、どうも合わない。■■
「…………。
……でも、今は仕事をしていないわよね」■■
一応、彼らはマフィアのファミリーにおける中心核なはずだ。
夜が仕事の時間だとしたら、のんびりとお茶会をやっている場合ではないのではないだろうか。■■
【エリオット】
「さぼってんだよ」■■
エリオットは、紅茶など見向きもせずにオレンジ色のクッキーを食べている。■■
混ぜ込まれているのがオレンジペーストではなく別のものだということはもう分かっていた。
ブラッドは、それを勧められないように紅茶をがぶ飲みしている。■■
「さぼりって……。
ツートップがそんな、堂々と……」■■
【エリオット】
「いいだろ。
ガキ共は駄目だが、ブラッドはいいんだ」■■
「いつさぼってもいつ仕事してもいい。
ボスだからな」■■
【ブラッド】
「その通り。
私は、私のやりたいように行動する」■■
「……個人の自由だから仕事スタイルはどうでもいいけど。
今は重要な仕事は入っていないのね?」■■
【ブラッド】
「いいや?」■■
「え?」■■
【ブラッド】
「今夜が締めの仕事が何件かあったはずだ」■■
【エリオット】
「あ、覚えてる。
大口の取立てと、上納金の件でまとめなきゃならねえのが……」■■
「あああ、詳しい説明はいらないから!」■■
耳をふさぐ。■■
私は、一般人だ。
ブラッドやエリオットのことは好きだが、仕事については諸手をあげて賛成できない。■■
【ブラッド】
「私は深夜のお茶会をしたいと思った。
いつであろうと、仕事があろうとなかろうと、私はしたいことをする」■■
「……わがまま」■■
【エリオット】
「いいんだよ。
ブラッドはボスだからな」■■
なんの異論もなさそうに、エリオットは菓子(オレンジ色の)に手を伸ばした。■■
一般人の私には理解し難いが、マフィアとはこういうものなのだろうか。■■
それがたとえどんな仕事であっても、こんなにいいかげんだと失敗しそうなものだ。
それでも成功している様子なのは、周囲も駄目駄目なのか、ブラッド達がすごいのか。■■
両方だという可能性もある。■■
【ブラッド】
「それに、お客さんは君だ、アリス。
可愛いお嬢さんが招かれてくれるのなら、仕事を蹴る価値はあるさ」■■
ブラッドは、テーブルに並んだ甘いお菓子(オレンジ色のものは除く)よりも更に甘ったるい声で囁いた。■■
エリオットも、こくこく頷いた。
彼は、口いっぱいにオレンジ色のものをつっこんでいるので喋れない。■■
だが、目は口ほどに物を言う。
きらきらと輝いて、私を歓迎してくれている。■■
「……あなた達といると、胸焼けがしそうになるわ」■■
そう言って、私も菓子に手を伸ばす。■■
(甘い……)■■
【【【時間経過】】】

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