TOP>New Novel> 「 ハートの国のアリス 」> 新装版ハートの国のアリス・豪華版 ■新装版・豪華版(前)

ハートの国のアリス

『新装版ハートの国のアリス・豪華版 ■新装版・豪華版(前)』

「新装版・ハートの国のアリス・豪華版ドラマCD」用
ドラマ台本
            スタッフ・声優用

QuinRose

原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠

ペーター=ホワイト       CV:宮田幸季さん
エース              CV:平川大輔さん
ナイトメア=ゴットシャルク   CV:杉田智和さん

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1:プロローグ(ペーター・エース)

● 場面(ペーターの部屋)
【【【演出】】】・・・カチャッと扉を開ける音
【【【演出】】】・・・カツカツ、と何歩か入ってくる足音
【エース】
「はあ~、よかったよかった。58時間帯ぶり!やっと着いたぜ。前回は77時間かかったから、それに比べればずいぶんな進歩か。うんうん、俺は日々進化している……って、あれ?」■■
【【【演出】】】・・・ばさ、と布(ドレス)を置く音
【ペーター】
「エース君……人の部屋に寝言を言いながら、ノックもなく入り込んでくるのはやめてくれませんかねえ。手が空いていれば殺していたところですよ?」■■
【エース】
「え?ええ?ペーターさんの部屋だって?」■■
【ペーター】
「ええ、そうですよ。赤のチェックで統一した装飾が可愛らしい僕の部屋。愛するアリスと僕の愛の城!
それ以外のどこに見えるって言うんです?」■■
【エース】
「それはおかしいよ。だってここは、58時間帯ぶりに帰り着いた俺の部屋のはずだぜ?ペーターさんの部屋のはずが……んん?」■■
【【【演出】】】・・・バタンとドアを閉める音
【【【演出】】】・・・室内を歩き回る足音
【エース】
「これは……、うーん……」■■
【ペーター】
「そうそう、隅々まで歩いてよく見てごらんなさい。これのどこがエース君の部屋だって言うんです?まあ、あなたの部屋の内装なんて僕は知りませんが、こんなハイセンスな部屋ではないでしょう」■■
【エース】
「むむむ……。確かに俺の部屋じゃないみたいだ。俺の部屋にはこんなに悪趣味な赤い家具も装飾もないし、せっせと裁縫をするウサギなんていないはずだもんな」■■
【ペーター】
「ええ、いないでしょうね!小綺麗で可愛らしくてアリスもお気に入りの家具や装飾も、アリスが愛してやまない、一途で純粋にアリスだけを愛し続ける白ウサギも、あなたの部屋にはいるはずがありません!」■■
【エース】
「あははは、相変わらずペーターさんの耳は無駄に長いだけで機能していないみたいだ。彼女はペーターさんのことなんて愛していないと思うけどなあ」■■
【ペーター】
「ふん、外野はどうとでも言っていればいいんです。僕と彼女の純粋な愛が、あなたのような腹黒騎士に分かるはずもない」■■
【エース】
「うん、腹黒じゃないけど理解はできそうにないから諦めるよ。それよりも気になるのは、今ペーターさんが何をしているかだ」■■
【ペーター】
「何をしているか?見れば分かるでしょう?」■■
【エース】
「ああ、片手に針、片手に布を持っていれば、裁縫をしているんだってことは分かるぜ。でも、なんで裁縫?あ、ひょっとして趣味?ペーターさんって、意外と乙女なウサギだったのか?」■■
【ペーター】
「そんなわけないでしょう。別に裁縫が趣味というわけじゃありません」■■
【エース】
「じゃあ、何をしているんだよ?」■■
【ペーター】
「分かりませんか?これですよ!舞踏会でアリスが身につけるドレスを縫っているんです!」■■
【【【演出】】】・・・ばさっとドレスを翻す音
【ペーター】
「ほーら、素敵でしょう?この情熱の赤を基調とした中にも清楚さを漂わせる、洗練されたラインとフリル遣いのドレス!」■■
【【【演出】】】・・・ばさばさっと更にドレスを翻す音
【エース】
「は、はあ?」■■
【【【演出】】】・・・ばさばさっと更にドレスを翻す音
【【【演出】】】・・・キラキラ音
【ペーター】
「ポイントはこれです。ほら、光にかざすと布地が時々銀色に光っているの、分かります?」■■
【【【演出】】】・・・かさかさ、と布を触ってみる音
【エース】
「ん?ああ、本当だね、光っている。キラキラしているけど……触るとつるつるしているし、ラメじゃないみたいだな」■■
【ペーター】
「美しいでしょう?ふふふふふ、実は特注の生地で、僕の髪の毛が繊維の中に縫い込まれているんですよ!!」■■
【【【演出】】】・・・ばさっとドレスを翻す音
【エース】
「え……?うげ、触っちゃった。何これ、新手の呪詛か何か?」■■
【ペーター】
「呪いじゃありません!愛する僕の一部を身に着けて舞踏会に参加してほしい……。僕の純粋な愛です、愛!!!」■■
【エース】
「まあ、ウサギの毛が含まれた生地っていえば悪くはないんだろうけど……、ペーターさんの毛だろ?アリスは絶対にそんなの着ないんじゃないかなあ。そもそもペーターさん、舞踏会で彼女をエスコートするつもりなんだ?」■■
【ペーター】
「当然でしょう?僕がエスコートしなくて誰が彼女をエスコートするって言うんです?」■■
【エース】
「またまた、とぼけるなよ。彼女の相手役を務めて然るべき役付きは、ペーターさんだけじゃないぜ?俺だって、彼女にダンスの相手を申し込むつもりだ」■■
【ペーター】
「なんですって……?」■■
【【【演出】】】・・・ドレスをそっと置く音
【【【演出】】】・・・時計を銃に変える音
【ペーター】
「よく言いましたね。やはり作業を中断してでも、今殺しておいたほうがいいようだ。死んでください、エース君」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・すらっと剣を抜く音
【【【演出】】】・・・がきんっ、と刃で銃弾を受ける音
【エース】
「うわわっ、こんな狭いところでいきなり発砲しないでくれよ!危ないな~」■■
【ペーター】
「あなたが笑えない冗談を言うからでしょう。あなたがアリスとダンスですって……?有り得ない!彼女とダンスを踊るのは、僕をおいて他にいません!!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・たっ、とすばやく移動して避ける足音
【エース】
「おっとと……っ!」■■
【ペーター】
「避けないで潔く撃たれなさい、エース君!僕とアリスの愛の宴を邪魔する者は、誰であろうと許しません!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【エース】
「冗談……っ!ペーターさんとの比較なら、アリスはきっと俺の手をとるよ。そんな呪いか嫌がらせのアイテムとしか思えないドレスも、身に着けたがるはずがない」■■
【ペーター】
「はっ、冗談はあなたでしょう!そもそも舞踏会会場に辿り着けるかどうかだって怪しいくせに!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【エース】
「前夜からアリスと一緒に過ごすから大丈夫。いざとなれば、会場でキャンプして待っているって方法もある」■■
【ペーター】
「舞踏会会場にまでテントを張る気ですか?それこそ嫌がらせだ。陛下に首を刎ねられますよ」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【ペーター】
「まあ、その前に僕が殺してあげますけどね!!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【エース】
「どっちに殺されるのもごめんだよ。ははっ、アリスと踊るダンスが楽しみだ!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【ペーター】
「この……っ、忌々しい……!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【エース】
「当たっていないぜ、ペーターさん?針仕事のしすぎで視力がますます落ちたんじゃないのか?」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・剣で銃を受ける音
【【【演出】】】・・・バターン!とすごい勢いで部屋の扉が開く音
【ペーター】
「……誰ですっ!?いきなり入ってくるとは……っ、我々は今取り込んで……!」■■
【エース】
「ん?ちょっと待ってペーターさん、ただ事じゃなさそうな顔色だよ」■■
【ペーター】
「む……たしかに。顔なしの兵士風情がノックもなしに僕の部屋に飛び込んでくるなんて、普通なら即撃ち殺していますよ。何か然るべき事情があるんでしょうね?」■■
【エース】
「俺も聞こう。話してくれ、兵士君」■■
【ペーター】
「…………。……え?アリスが……!!?」■■
【【【時間経過】】】

前説(ペーター・エース・ナイトメア)

【【【演出】】】・・・ぴんぽんぱんぽん、とお知らせ風の音
【ペーター】
「こんにちは、アリス!あなたに会えて嬉しいですよ。僕、あなたに会えるのをずっと楽しみにしていたんです!」■■
【ナイトメア】
「ふう……。相変わらず白ウサギのテンションは、ついていくのにこう、なんというか……」■■
【エース】
「いきなり疲れていてどうするんだよ、夢魔さん。俺なんて、一応この人と同じ城に住んでいるんだぜ?疲れるっていうなら、俺のほうが数倍疲れている!」■■
【ペーター】
「よく言いますね。あなたはいつも迷子になっているか時計屋のところに入り浸っているかで、ほとんど城にいないでしょう。それに僕がこうして真摯に接するのは、大切な人に対してだけです。あなたや夢魔なんて眼中にありませんから、疲れさせることもありません」■■
【ナイトメア】
「その言い方は聞き捨てならないぞ?『夢魔なんて』とはなんだ、『夢魔なんて』とは!私は偉~い立場で……!」■■
【【【演出】】】・・・パンパンと手を叩く音
【ペーター】
「はいはいはい、今はあなたの立場や身分なんてどうでもいいんです。ここは前説のコーナーなんですよ?ちゃんと説明をしないと」■■
【ナイトメア】
「ぐ……っ、わ、分かっている!ならば私が説明してやろう!
このCDは、クインロゼより発売されたPSPゲーム『新装版・ハートの国のアリス』豪華版の特典CDだ。まあ、このCDを聞いている時点で、もちろん分かってくれていると思うがね」■■
【エース】
「そう、特典ということで、このドラマCDはゲーム本編の内容に沿ったものになっているんだ。つまり、ゲームをプレイしてから聴いたほうが楽しめるっていうこと」■■
【ペーター】
「もしゲームのプレイ前にこれを聞いているのなら、ちょっとストップしてくださいね。プレイ後というのが前提のドラマですから、ゲーム本編のネタばれが出てくるかもしれません」■■
【ナイトメア】
「そうだな。それに、私達のことをよく知らない状態で聞いても、あまり楽しめないだろう」■■
【エース】
「うん、絶対にゲームをプレイしてからのほうが楽しめるはずだよ。これを聞くのは、必ず本編をプレイ後にしてほしい」■■
【ペーター】
「本編では、僕があなたを両手いっぱいの愛でお迎えしますよ。あなたは何も恐れることなく、僕の腕の中に飛び込んできてくれればいいんです。そうすれば僕が、あなたをめくるめく愛の世界へいざなって……!」■■
【【【演出】】】・・・キラキラ音
【ナイトメア】
「……このCD、最初から最後まであのペースでいくのか?何だか胸が悪くなってきた……。私はハートの城の住人ではないんだから、別のところに入りたかったな……」■■
【エース】
「何を言うんだ夢魔さん、俺を助けると思って付き合ってよ。ペーターさんと二人で企画ものCDなんて、旅に出たくなっちゃうぜ」■■
【ナイトメア】
「それは困る……。私が消えて、騎士まで消えたら、白ウサギの独壇場……。
アリスは延々とウサギから愛を語られるCDを聴かされる羽目になるんだぞ?」■■
「企画ものにしたって、酷すぎるだろう……。
せっかくの豪華版ドラマがそれでは、アリスが気の毒だ」■■
【エース】
「おっ、夢魔さんも結構まっとうなことを言うね?
……っと、そうだ、企画もので思い出した。それもちゃんと説明しておかないとな」■■
「このドラマCDは企画もの。ゲーム外のものっていうことだ。このドラマCDの中でのことは、あくまでここだけのものだから、基本設定とごっちゃにして誤解しないように気をつけてくれ」■■
【ナイトメア】
「ごほんっ。そ、そうだったな……。本編ではあまり親しくないキャラクター同士が、仲良くしていることもある。逆により険悪な関係になっている場合もあるかもしれない。だがあくまで本編前提での企画だから、ドラマCD内の出来事や人間関係を、本編の裏設定だとは思わないように注意してほしい」■■
【エース】
「そういった意味でも、あらぬ誤解をしないよう、先にゲームをプレイすることをおすすめするぜ。
……うん、説明はこれで全部かな。よしよし、ちゃんと役割は果たせた」■■
【【【演出】】】・・・キラキラ音
【ペーター】
「ああっ、愛しています、アリス、アリス……!!……はっ!?いけないいけない、うっかり、めくるめくラブワールドに一足先にトリップしちゃってました。前説はどうなりました?」■■
【ナイトメア】
「もう終わったよ。なあ白ウサギ、私は今からでも帰っていいか……?騎士を引き止めておいて何だが、ついていけそうにない」■■
【【【演出】】】・・・がしっと掴む音
【ペーター】
「駄目です。実は、ドラマ本編ではちょっと困ったことになっているんですよ。あなたの力が必要です」■■
【エース】
「ん?ああ、そうだった。急いで本編に戻ろう、彼女が待ってる!」■■
【ペーター】
「あ、そうそう。ドラマ中、僕達は基本的な性格や行動基準などは変わっていませんけど、多少はコミカルにアレンジされていたりします。その点もご注意を」■■
【ナイトメア】
「何はともあれ、くれぐれもこのドラマCDを聞く前に、ゲームをプレイしてほしいということだ。
ぐえ……っ!お、おい白ウサギ、襟を引っ張るな……ごほんげほんっ、く、苦し……!」■■
【【【演出】】】・・・ずるずる引き摺る音
【ナイトメア】
「ごほごほ、げほ、がほんっ。く、首が締まる……っ!帰り着くまでに死んでしまう……!がほがほ……っ」■■
【【【演出】】】・・・ずるずる引き摺る音
【【【演出】】】・・・じょじょにフェードアウト
【【【演出】】】・・・ぴんぽんぱんぽん、とお知らせ風の音