「新装版・ハートの国のアリス・店舗特典B CD」用
ドラマ台本
スタッフ・声優用
QuinRose
原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠
ユリウス=モンレー CV:子安武人さん
エース CV:平川大輔さん
ボリス=エレイ CV:杉山紀彰さん
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1:プロローグ(ユリウス・エース)
● 場面(時計塔・ユリウスの部屋)
【【【演出】】】・・・時計を修理する音
【ユリウス】
「まったく、あいつときたら、日に日に図々しくなっていくな。手伝いとしてずいぶん役に立つようになってきたからと言って、甘くしすぎたか……」■■
【【【演出】】】・・・ノックの音
【【【演出】】】・・・ばーんと扉の開く音
【エース】
「ユリウス、お待たせ!いやー、やっと着いたぜ。ここまで長かったな~」■■
【ユリウス】
「エース……、本当に『やっと』だな。おまえに来るよう命じたのが何時間帯前か、分かっているか?」■■
【【【演出】】】・・・カツカツカツ、と部屋に入ってくる足音
【エース】
「もちろん、分かっているさ。12時間とんで3時間帯前だろ?並びの数字で縁起もいい!俺にしては随分と早い到着だよな!」■■
【ユリウス】
「胸を張るな……。確かに、これだけ遅れれば、12も13も変わらないが……。いや、少しでも早いに越したことはない!どちらにしても早くはないぞ!?」■■
【エース】
「あははっ、だから俺にしては、だってば。相変わらずユリウスは、細かいなぁ」■■
【【【演出】】】・・・がちゃっと、机に工具を乱暴に置く音
【ユリウス】
「面白がるな!毎度のように盛大な遅刻をしておいて、もう少し申し訳なさそうにしたらどうなんだ?」■■
【エース】
「怒るなよ~。工具をそんなに乱暴に扱っちゃいけないぜ?ほらほら、落ち着いて」■■
【【【演出】】】・・・椅子を引く音
【【【演出】】】・・・椅子に座る音
【ユリウス】
「おまえは……、当然のように座るんじゃない」■■
【エース】
「あはははは。……ところで、どうかしたのか?部屋に入る前、何だかぶつぶつ言っていたのが聞こえていたけど」■■
【ユリウス】
「ん?ああ……」■■
【エース】
「まったくあいつは……、とか何とか。あいつって、もしかしなくても……?」■■
【【【演出】】】・・・時計の修理の音
【ユリウス】
「ああ、アリスだ」■■
【エース】
「やっぱりな。そう言えば、アリスは?いないようだけど」■■
【ユリウス】
「街まで食料の買い足しに出ている。あいつが出る前に、一悶着あってな。独り言を言っていたのもそのためだ」■■
【エース】
「一悶着?何があったんだ?」■■
【ユリウス】
「毎度の階段の上り下りが大変だと不満を零していたから、ちょうどいいダイエットになっているんじゃないかと言ったんだ。そうしたら、あいつが怒り出して……」■■
【エース】
「……え?ユリウス、本当にそんなことを言ったのか?」■■
【ユリウス】
「ああ、言った。……軽く言い争いになって、挙句の果てに飛び出して行ったぞ」■■
【エース】
「いや、行ったぞ、じゃなくて。それはユリウスが悪いよ。おまえの失言だ」■■
【ユリウス】
「……う!?な、なぜだ!?私は少し前にあいつが、最近運動不足気味で太ったかもしれないと言っていたのを思い出したから……」■■
【エース】
「それが事実だとしても、さ。今回はそんなことが言いたかったんじゃないだろ?買い物前に階段の上り下りがうんぬんなんて言うってことは、ユリウスについて来てほしかったんじゃないのか?」■■
【ユリウス】
「なに?それなら、どうしてそう言わないんだ……」■■
【エース】
「アリスが素直におねだりするような性格じゃないのは、ユリウスが一番よく知っているじゃないか。多分、いつものように我関せずって顔で仕事していたから、嫌味のひとつも言いたくなったんだろ」■■
【ユリウス】
「うう……っ」■■
【エース】
「心当たりがあるみたいだな?
それを、よりにもよってダイエットだなんて……。まったく、肝心なときに乙女心の分からない奴だぜ……」■■
【【【演出】】】・・・がたっと椅子から立ち上がる音
【ユリウス】
「う、うるさいっ!おまえに言われたくない!大体アリスもアリスだ!付き添ってほしいならそう言えばよかったんだ!回りくどいことを言うから……っ」■■
【エース】
「大きな声を出すなよ。そんなことを言っても、本心では悪かったなって思っているんだろ?」■■
【ユリウス】
「む……」■■
【エース】
「あっははっ、分かりやすいなー。……そうだ。ここはひとつ、お詫びに一策を講じてみたらどうだ?」■■
【ユリウス】
「一策だと……?」■■
【エース】
「ああ、俺にいい案がある。乗りかかった船だ、協力するよ」■■
【【【演出】】】・・・がたっと椅子から立ち上がる音
【【【演出】】】・・・カツカツと歩き出す足音
【ユリウス】
「あっ、エース!?どこへ行くつもりだ?」■■
【エース】
「俺の案を実行に移すためには、もう一人協力者が必要なんだ。呼びに行ってくるから、待っていてくれ!」■■
【ユリウス】
「は!?待て、おまえが出て行ったら、次にいつ戻って来るか分かったものじゃない。それより、おまえは仕事のために……!」■■
【【【演出】】】・・・カツカツ歩いていく音
【【【演出】】】・・・扉を開ける音
【エース】
「仕事なんて後回しだよ。ユリウスとアリスの仲の危機なんだぜ?」■■
【ユリウス】
「危機?いや、そんな大げさなものでは……」■■
【エース】
「チッチッチ(舌を鳴らす音)、ユリウスは分かっていないよ。溝っていうのは、些細なところから大きくなっていくんだ。そんなの、放っておけるわけがない。……じゃあな、ユリウス、また後で!」■■
【【【演出】】】・・・ばたばたと追い掛ける足音
【ユリウス】
「待てというのに!おまえを一人で行かせるくらいなら、私が行く……!」■■
【【【時間経過】】】
前説(ユリウス・エース・ボリス)
【【【演出】】】・・・ぴんぽんぱんぽん、とお知らせ風の音
【ユリウス】
「こほん……っ。ここからは前説のコーナーだ。
このCDは、クインロゼより発売されたPSPゲーム『新装版・ハートの国のアリス』店舗特典CD。このCDを聞いている時点で、当然分かっていることとは思うが……」■■
【ボリス】
「って、ちょっとちょっと、待ってよ、時計屋さん。そんな堅っ苦しい前説じゃ、誰も聞いてくれないぜ?」■■
【ユリウス】
「チェシャ猫……。前説が堅苦しくてどこに問題があるんだ?このCDを聴くうえでの、重要な注意事項だ。簡潔に、かつ、しっかりと説明をしておかなくては……」■■
【ボリス】
「あ~、はいはい。時計屋さんに言った俺が馬鹿だったか……」■■
【エース】
「ははっ、ちょっと堅いけど、これがユリウスのいいところでもあるんだ。大目に見てやってくれよ、猫君」■■
【ボリス】
「そういう騎士さんは、いつも無駄に砕けていていいよね~。じゃあ、ちゃっちゃと説明しちゃうか。
……特典ってことだけど、このドラマCDは、ゲーム本編の内容に沿ったものになってる。当然、ゲームをプレイしてから聴いたほうが楽しめると思うから、聴くのはプレイ後にしてほしいんだ」■■
【エース】
「まだプレイをしていないのに聴き始めちゃったっていう人は、ここでストップして道を戻るべきだぜ。俺としては、後戻りなんて後ろ向きなことは勧めたくないんだけど、こればっかりは仕方がない」■■
【ユリウス】
「プレイ後というのが前提のドラマだから、ゲーム本編のネタばれが出るかもしれない。また、私達のことをよく知らない状態で聴いても、大して面白くはないだろう」■■
【ボリス】
「そういうこと。それに、このドラマCDは企画ものに当たる。
ゲーム外のもの。このドラマCDの中でのことは、あくまでここだけのこと。ますます本編を知ってから臨んだほうがいいってわけ」■■
【【【演出】】】・・・カチャカチャと工具でネジを回すような音(時計の修理よりもっと大きなもの)
【エース】
「……ん?何をしているんだ、猫君?」■■
【ボリス】
「ああ、ごめんごめん。説明だけって退屈だから、つい手が動いちゃって……本編の準備だよ、準備」■■
【ユリウス】
「気が早い奴だ……、もうしばらく待てないのか。
……説明を続けるぞ。企画ものだから、本編ではあまり親しくないキャラクター同士が、仲良くしている場合がある。逆に、仲のいいもの同士が険悪な関係になっている場合もあるかもしれない」■■
【エース】
「本編を前提に、ゲームでの関係を誇張していたり変更していたりするんだ。でも、これを通常の関係だと思わないようにしてくれよ?裏設定、なんていうわけでもないから」■■
【ボリス】
「そうそう。誤解のないよう念を押しておくけど、これは、本当にあくまで企画もの。俺達の性格や行動基準なんかも基本的には変わっていないけど、多少はコミカルにアレンジされていたりするかもしれないよ」■■
【ユリウス】
「それも含めて、とにかく聴くのはゲームをプレイ後にしろということだ。分かったな?」■■
【【【演出】】】・・・パンッと手を叩く音
【ボリス】
「はいっ、前説はここまで!それじゃあ、ドラマ本編での俺の出番に期待しててね!」■■
【【【演出】】】・・・ぴんぽんぱんぽん、とお知らせ風の音