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ハートの国のアリス

『新装版ハートの国のアリス・店舗特典A ■新装版・店舗特典A(前)』

「新装版・ハートの国のアリス・店舗特典A CD」用
ドラマ台本
スタッフ・声優用

QuinRose

原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠

ブラッド=デュプレ   CV:小西克幸さん
エリオット=マーチ   CV:最上嗣生さん
ナイトメア=ゴットシャルク   CV:杉田智和さん

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1:プロローグ(ブラッド・エリオット・ナイトメア)

● 場面(帽子屋屋敷・庭園)
【【【演出】】】・・・木々が風で揺れている音
【【【演出】】】・・・小鳥のさえずり
【エリオット】
「あ~、風が気持ちいい。庭園は日当たりもいいし、休憩にはやっぱここが最適だよな~」■■
【【【演出】】】・・・草を踏んで近付いてくる足音
【エリオット】
「ん、誰だ?……おお、ブラッドじゃねえか」■■
【ブラッド】
「ああ、エリオット、ここにいたのか。おまえを探していたんだ」■■
【エリオット】
「え、どうしたんだよ?急な仕事か?」■■
【ブラッド】
「いや、違う。たった今、農園を経営する領民から、上納品で大量ににんじんが届いてな。さっそくにんじんパーティーを開くことにしたんだ」■■
【エリオット】
「ええっ、にんじんパーティー!?マジかよ!!」■■
【ブラッド】
「ああ。とても出来のいい、美味そうなにんじんでな。あれでたくさんにんじん料理を作ってパーティーを開けば、屋敷の皆も喜ぶだろう」■■
【エリオット】
「ああ、そうだな、にんじん料理は最高の癒しだ!日頃の疲れも吹っ飛ぶぜ!けど急にパーティーなんて開いて、仕事はいいのか?」■■
【ブラッド】
「仕事など、にんじんに比べればさして重要ではない。今はにんじんパーティーが最優先だ」■■
【エリオット】
「そ、そうか!ブラッドがそう言うなら構わねえんだけどよ!けどブラッドって、そんなににんじん好きだったっけ?」■■
【ブラッド】
「ん?今更何を言っているんだ?私は生まれたときからにんじんが大好きだぞ?それはもう、きってもきれない縁で……」■■
【エリオット】
「そっか……、ああ、うん、なんかそんな気がしてきたぜ。俺とブラッドは、堅いにんじんの絆で結ばれた上司と部下だもんな!」■■
【ブラッド】
「ああその通りだ、エリオット。さあ、おまえも厨房に行って、シェフに料理のリクエストをしてくるといい。準備が揃い次第、パーティーを始めるぞ」■■
【【【演出】】】・・・地面から立ち上がる音
【エリオット】
「分かった、ちょっと行ってくる!」■■
【【【演出】】】・・・走り出す足音
【【【演出】】】・・・じょじょに遠くなっていく声で↓
【ブラッド】
「また後で。ああ、早くとびきりのにんじん料理が食べたい……」■■
【【【演出】】】・・・じょじょに遠くなっていく声で↑
【【【時間経過】】】
● 場面(帽子屋屋敷・パーティ会場)
【【【演出】】】・・・人のざわめき
【【【演出】】】・・・食器の音や食事の音(レストランのようなところの背景音)
【エリオット】
「もぐもぐ……。ブラッド、このにんじんのステーキ、超美味いぜ!食ってみろよ!」■■
【ブラッド】
「おや、そうか。頂いてみよう。エリオット、こちらのにんじんの冷製スープもなかなかの出来だぞ」■■
【エリオット】
「そうなのか?よし、さっそく……」■■
【【【演出】】】・・・器にスプーンを入れる音
【エリオット】
「んむ……。おおっ、美味い!塩加減が最高だな、これ!あっさりしてるからどれだけでも飲めるぜ!」■■
【ブラッド】
「それはよかった。どんどん食べろよ、エリオット」■■
【【【演出】】】・・・途中から、音声が響きつつ小さくなっていくような加工↓
【エリオット】
「おう、おまえもな、ブラッド!あ~、にんじんパーティーって最高だぜ……!!」■■
【【【演出】】】・・・途中から、音声が響きつつ小さくなっていくような加工↑
【ナイトメア】
「うう……、地獄絵図だな。そ、そろそろ見るに堪えない……」■■
【【【演出】】】・・・どさ、と壁にもたれかかる音
【ナイトメア】
「う、眩暈が……。いい夢をみているようだからそっとしておいてやろうかと思ったが、限界だ。笑顔でにんじんを口にする帽子屋など、見るものじゃない。×××××より恐ろしい……げほ、ごほ」■■
【【【演出】】】・・・少し遠くから聞こえる会話ここから↓
【エリオット】
「それは何だ、ブラッド?新作だよな?」■■
【ブラッド】
「ああ、私がシェフにリクエストして作らせてみた、にんじんづくしのマリネサラダだ。なかなか美味いぞ、食べるか?」■■
【エリオット】
「食べる、食べる」■■
【ブラッド】
「よし、私が取り分けてやろう」■■
【【【演出】】】・・・少し遠くから聞こえる会話ここまで↑
【ナイトメア】
「ううう……っ。今この夢に帽子屋を呼んだら、会場中が血で染まるだろうな。恐ろしい……!」■■
【【【演出】】】・・・少し遠くから聞こえる会話ここから↓
【エリオット】
「く~っ、どれを食っても美味いぜ!俺は、俺は幸せだ~!」■■
【【【演出】】】・・・少し遠くから聞こえる会話ここまで↑
【ナイトメア】
「……すまないな、三月ウサギ。幸せな夢はここまでだ」■■
【【【演出】】】・・・パチン、と指を鳴らす音
【エリオット】
「はぐはぐはぐ……。……ん、んぐっ!?に、にんじん料理が消えた……っ!?」■■
【ナイトメア】
「ああ、申し訳ないが、すべて綺麗さっぱり消去させてもらったよ」■■
【エリオット】
「ナイトメア!?ってことは、このにんじんパーティーは……」■■
【ナイトメア】
「もちろん、夢だ」■■
【エリオット】
「そんな……、嘘だろ?なぁ、ブラッド……って、ブラッドも居ねえ!?」■■
【ナイトメア】
「当たり前だろう。夢だったと言っているのに、どうして帽子屋だけ本物だと思うんだ」■■
【エリオット】
「どうして、だって?あのなあ、俺とブラッドの間には、にんじんで結ばれた堅い絆が……っ」■■
【ナイトメア】
「いや、にんじんで結ばれたと言われても、わけが分からないが。まったく、いつまで寝惚けているんだ……」■■
【【【演出】】】・・・パチン、と指を鳴らす音
【【【演出】】】・・・風景が変わる効果音
【エリオット】
「あ……っ、周りの景色が……!」■■
【ナイトメア】
「先刻までの夢は帽子屋には黙っておいてやるから、さっさと現実を思い出せ」■■
【【【演出】】】・・・風景が変わる効果音
【【【演出】】】・・・木々が風に揺れる音
【【【演出】】】・・・小鳥のさえずり
【エリオット】
「別に黙ってなんかもらわなくても、って、ああ……!?屋敷の庭に戻っちまった。全部、夢だったのか……」■■
【ナイトメア】
「そういうことだ」■■
【エリオット】
「くそ……っ、なんで邪魔したんだよ、ナイトメア!いい夢だったのに!」■■
【ナイトメア】
「それはもちろん、私がおまえに用があるからだ」■■
【エリオット】
「用?どんな用か知らないが、にんじんパーティーをしながらでもよかっただろ!?」■■
【ナイトメア】
「よくないから消したんだ。あんな不気味な光景になど、死んでも加わりたくない」■■
【エリオット】
「今にも死にそうな顔して言ってんじゃねえよ!いや、むしろ今俺が殺してやる!」■■
【【【演出】】】・・・銃声(数発)
【ナイトメア】
「うわあっ!?いきなり撃つんじゃない!」■■
【エリオット】
「うるせえ!消されたにんじんの恨みを思い知れ!」■■
【【【演出】】】・・・銃声(数発)
【ナイトメア】
「お、落ち着け、三月ウサギ!聞いて損はしない、いい話のはずだから!」■■
【エリオット】
「ん?いい話、だって……?」■■
【【【時間経過】】】

 

前説(ブラッド・エリオット・ナイトメア)

【【【演出】】】・・・ぴんぽんぱんぽん、とお知らせ風の音
【ブラッド】
「ようこそ、お嬢さん。よくぞここまで聴いてくれたな。私がもし君だったなら、間違いなく最初の数秒で、プレイヤーごとCDをこの世から抹消していたことだろう」■■
【エリオット】
「えええっ、なんでそんなことすんだよ?せっかくの特典CDだってのに」■■
【ナイトメア】
「おまえがそれを言うのか……」■■
【ブラッド】
「前説のコーナーでなければ、今この場でもマシンガンを乱射したい気分だ。だが、大切なお嬢さんのために、最大限の努力で我慢しよう」■■
【エリオット】
「なんかよくわかんねえけど、頑張れよ、ブラッド。この前説では、ドラマを聴く上での注意点をきっちり説明しとかないといけないからな!」■■
【【【演出】】】・・・ぎりりっと拳を握りしめる音
【ブラッド】
「我慢、我慢、我慢……」■■
【ナイトメア】
「ご、ごほんっ。と、とにかく始めようじゃないか」■■
【エリオット】
「ん、ああ、そうだな!
……このCDは、クインロゼより発売されたPSPゲーム『新装版・ハートの国のアリス』店舗特典CDだ。今、これを聴いているってことは、もちろん分かってくれてるよな」■■
【ナイトメア】
「特典なのだから、このドラマCDは、当然ゲーム本編の内容に沿ったものになっている。ゲームをプレイしてから聴いたほうが楽しめる、ということだ。くれぐれも、ゲームをプレイ前にこれを聴いてしまうことは避けてほしい」■■
【ブラッド】
「こほん……。プレイ後に聴くというのが前提のドラマだから、ゲーム本編のネタばれが出る可能性もある。また、私達のことをよく知らない状態で聴いても、あまり楽しめはしないだろう」■■
【エリオット】
「ブラッドの言う通りだぜ!やっぱりブラッドはいいこと言うよな~っ!」■■
【ブラッド】
「いや……、お嬢さんに楽しんでもらえるよう、守ってほしいルールを説明しているだけなんだが……」■■
【エリオット】
「楽しんでもらえるように、か!そうだよな!おまえってすっごく優しい奴だぜ、ブラッド……!まさに理想の上司だ!」■■
【【【演出】】】・・・ぎりりっと拳を握りしめる音
【ブラッド】
「う……、うざ……っ。……いや、我慢だ、我慢……っ」■■
【ナイトメア】
「……説明を続けるぞ?
このドラマCDは企画もの。ゲーム外のものということだ。このドラマCDの中で起こることは、あくまでここだけの話だということを理解しておいてほしい」■■
【エリオット】
「本編ではあまり親しくないキャラクター同士が仲良くしていることもあるし、逆に険悪な関係になっている場合もあるかもしれねえ。本編前提での企画ものだから、ゲームでの関係を多少アレンジしてたりするんだ」■■
【ブラッド】
「そうだな。誇張されていたり、変更されている場合もあるだろう。だが、くれぐれもこれを通常の関係だと思わないように。裏設定というわけでもないぞ。
そういう意味でも、ゲーム未プレイで聴くのは控えてほしいということだ。分かってもらえたかな、お嬢さん?」■■
【エリオット】
「もちろん、分かっただろ?ブラッドの説明で分からないわけないよな。やっぱりブラッドは俺なんかと違って、説明も上手いぜ!さすがだ!」■■
【ブラッド】
「そ、そうか。どうもありがとう」■■
【ナイトメア】
「……指先がぴくぴく震えているぞ、帽子屋?」■■
【ブラッド】
「そんなことはない。気のせいだ、芋虫」■■
【ナイトメア】
「微妙に頬も引き攣っている気がするが……」■■
【ブラッド】
「はは、まさか……」■■
【エリオット】
「どうしたんだよ、ブラッド?はっ、もしかして具合が悪いのか?あ、元気がないなら気付けににんじんティーでも淹れようか!?」■■
【ブラッド】
「に、にんじんティー……だと!?」■■
【【【演出】】】・・・マシンガンを連射
【エリオット】
「でっ!?どわわわわ~っ」■■
【【【演出】】】・・・マシンガンを連射
【ブラッド】
「ふ……。はあ……、はあ……」■■
【エリオット】
「な、何すんだよ、ブラッド!当たったら死んでたぜ!?」■■
【ナイトメア】
「むしろ当たっていないのが不思議だな。マシンガンを連射されて無傷でいるとは……、さすが特典CD、なんでもありだ」■■
【ブラッド】
「はあ……っ、紅茶まで冒涜されて堪忍袋の緒が切れた。せっかくここまで我慢してきたというのに……」■■
【エリオット】
「ええ?にんじんティーがなんで冒涜なんだよ?元気を出してもらいたいだけなのに……」■■
【ブラッド】
「おまえのせいで、本気で具合が悪くなりそうだ……」■■
【エリオット】
「え?ブラッドの元気がないのって、お、俺のせいなのか……っ!?なんで!?」■■
【ナイトメア】
「……あー、騒々しい前説になってしまったが、ドラマ本編ではもう少しまとも……だといいなと思っている。では、くれぐれもゲームをプレイし終わった後に、楽しんでくれ」■■
【【【演出】】】・・・ぴんぽんぱんぽん、とお知らせ風の音


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