TOP>New Novel> 「 PSP版・店舗特典ドラマA 」> ハートの国のアリス~Twin World~ ■PSP版・店舗特典A(後)

PSP版・店舗特典ドラマA

『ハートの国のアリス~Twin World~ ■PSP版・店舗特典A(後)』

本編(ペーター・ボリス・ハンプティ&ダンプティ)

● 場面(遊園地・園内)
【【【演出】】】・・・賑やかなBGM
【【【演出】】】・・・人のざわめき、歓声
【【【演出】】】・・・アトラクションの走行音(ジェットコースターなど)
【【【演出】】】・・・走ってくる足音×2
【ダンプティ】
「ボリス!」■■
【ボリス】
「ん?ダンプティに……、あれ、今回はハンプティも?」■■
【【【演出】】】・・・傍まで走ってきて立ち止まる足音×2
【ハンプティ】
「久しぶりだね、チェシャ猫。いつも俺の兄弟と仲良くしてくれてありがとう」■■
【ボリス】
「え、なにお兄さんっぽいこと言ってんの?あんたら、どっちが兄でどっちが弟かも分からないんだろ?」■■
【ハンプティ】
「うん、分からない。分からないけど、兄かもしれないから、たまにはこういうことを言ってみてもいいかなと思ってさ」■■
【ボリス】
「……嘘くさ。どうせ、ダンプティとばかり遊んでいないで自分を見ろ、って厭味だろ?」■■
【ハンプティ】
「はは、君の頭の回転のよさは、スマートな美しさがあって大好きだよ」■■
【ボリス】
「……そりゃどうも。やっぱり厭味だったんだ」■■
【ハンプティ】
「俺は君のこと嫌いじゃないのに、君はダンプティとは遊んでも、俺とはなかなか遊んでくれない。
厭味と言うと美しくないけど、不満のひとつも言いたくなるさ」■■
【ボリス】
「仕方がないだろ。あんた、鬱陶しいもん」■■
【【【演出】】】・・・カチャッと斧を構える音
【ハンプティ】
「またまた、そんなことを言って。猫だけに、素直じゃないな~」■■
【ボリス】
「斧を構えるなよ、斧を。笑顔で白々しく武器を向けるところは、騎士さんに通じるものがあるよな、あんた」■■
【【【演出】】】・・・カチャッと斧を構える音
【ハンプティ】
「え~?あはははは。やめてくれよ、美しい俺と、いつでもどこでも迷ってばかりの惨めな騎士を一緒にするなんて」■■
【ボリス】
「やっぱり似ているって……。で、二人揃って何しに来たの?また遊びに来たわけ?」■■
【ダンプティ】
「うん。暇だったし、新アトラクションの話をしたら、ハンプティが興味があるって言うから」■■
【ボリス】
「新アトラクションね。そうだな、2、3回程度だったら乗せてあげてもいいけど、もしおっさんに見付かったら……」■■
【【【演出】】】・・・人のどよめき(恐怖の叫び系)
【【【演出】】】・・・客が逃げ惑う足音(大勢)
【ハンプティ】
「あれ、どうしたのかな?客がいきなり騒ぎ出したね」■■
【【【演出】】】・・・人のどよめき(恐怖の叫び系)
【【【演出】】】・・・客が逃げ惑う足音(大勢)
【ダンプティ】
「皆、奥に逃げていくな。入口のほうで何かがあったんじゃないか?」■■
【ボリス】
「そうみたいだな。嵐も終わったし、敵の奇襲かもしれない。といっても、おまえ達がここにいるんだから残るは……」■■
【ハンプティ】
「時計塔は中立だから他領土に攻め入ることはない。ということは……」■■
【ペーター】
「チェシャ猫はどこです!?園内にいることは分かっています、出てきなさい!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・人の叫び声
【ボリス】
「宰相さん!?え、しかも、俺を名指し……!!?」■■
【ペーター】
「チェシャ猫、いるんでしょう!?さっさと出てこないと、威嚇だけでなく本当に客を撃ちますよ!」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【【【演出】】】・・・人の叫び声
【ダンプティ】
「向こうはまだこっちに気付いていないみたいだな。それにしても、一人で威嚇射撃をしながら園内に突入してくるとは……」■■
【ハンプティ】
「援護の兵士は一人もつけず、彼一人。騎士もいない。これは、ハートの城の奇襲というわけではなさそうだね」■■
【ボリス】
「宰相さんの単独ってこと?けど、なんで宰相さんが俺に出て来いなんて……、あっ!!
ダンプティ、もしかして、これ……」■■
【ダンプティ】
「ああ、僕の不安が的中したようだな。さすが白ウサギ。この盲目的なまでにアリスに夢中なところは、そこそこ不気味で感心する」■■
【ボリス】
「感心している場合かって!マジかよ……、正直俺、さすがにアホらしすぎてほとんど真に受けてなかったんだよね。まさか、本当に来るとは……」■■
【ハンプティ】
「どういうことだい、二人共?俺には話が見えないよ、ちゃんと説明してくれないか?俺だけ除け者にするなんて、美しくないことはしないでくれよ」■■
【ダンプティ】
「分かっている、ちゃんと説明するよ。実は、かくかくしかじか……」■■
【ハンプティ】
「ふむ、なるほどね。エリオットを狙っていたように、チェシャ猫も狙っているってことか。嵐の期間中の可愛い姿が、アリスに気に入られちゃったから」■■
【ボリス】
「納得するなよ、ハンプティ!俺は覚えていないってのに、そんなことで狙われても困るんだけど!」■■
【ダンプティ】
「たしかに一方的な言いがかりだ。けど、白ウサギにそんな道理は通用しないだろう」■■
【ハンプティ】
「ウサギ姿になって『可愛い可愛い』ってアリスに褒められるのは、自分の特権だと思っているところがあるんじゃないのかな。だから、そのポジションを脅かそうとする存在は面白くないんだろう」■■
【ダンプティ】
「自分より他の奴を気に入ってしまったら、もう自分が相手にしてもらえないという不安もあるんだろうな」■■
【ボリス】
「だからおまえら、どっちの味方なわけ!?気持ちは理解できないでもないけど、明らかにあっちの方が無茶苦茶で勝手だろ!?」■■
【ダンプティ】
「それは大前提として、議論にもならないというか……」■■
【【【演出】】】・・・銃声
【ペーター】
「見付けましたよ、チェシャ猫!呼ばれたら、さっさと出てきなさい」■■
【【【演出】】】・・・ペーターが歩いてくる足音
【ボリス】
「まずい、気付かれたか……!犬じゃないんだから、呼ばれたからって出てこないよ」■■
【ペーター】
「気付かれたか、って……、通路の真ん中で突っ立っていれば気付きますよ。逃げる気がないのなら、もっと早く出てくるべきでしょう」■■
【ボリス】
「いや、逃げる気がなかったわけじゃないんだけど、出る気もないし……。話に夢中になっているうちに……」■■
【ペーター】
「話?言い訳くさいですね……。っと、おや、誰が一緒にいるのかと思えば、マッド・エッグズじゃありませんか。そういえば、あなた達はそこそこ親しいんでしたね」■■
【ダンプティ】
「ボリスは僕の友達だからな。それにしても、うちに乗り込んできたからもしやとは思ったが、やっぱりボリスのほうも突き止めたのか」■■
【ペーター】
「やっぱり……?ああ、なるほど、そういうことですか。あなたは僕がここに乗り込んで来ることも予想していたんですね。ということは、すでにチェシャ猫も僕の用件を把握している……?」■■
【ボリス】
「……多分ね。理解はし難いけど」■■
【ペーター】
「理解などして頂かなくて結構です。聞けばあなた、嵐の期間中は幼くなって、ずいぶんとアリスに気に入られたそうじゃないですか。若くなるだけでアリスの気を引くなんて、どうってこともない変化なのに厚かましい……」■■
【ボリス】
「いやいや、俺を完全な悪者みたいに言うのはやめてくれない?俺がなろうと思ってなったわけじゃないんだぜ?アリスの気を引こうなんて考えがなかったことくらい、あんたにだって分かるだろ?」■■
【ペーター】
「もちろん、分かっています。しかし、あなたの意図はどうあれ、結果的にそうなった。しかもあなたの場合は、その気になれば今でもすぐに再現できる……、三月ウサギよりタチが悪いです」■■
【ハンプティ】
「エリオットはもうウサギにならないけど、チェシャ猫はまた若返ってアリスの気を引くことができるから、という意味かな?」■■
【ペーター】
「その通りです。事実、アリスもそう頼んできたんでしょう?」■■
【ボリス】
「頼まれたけど、断ったよ。俺は今の格好が気に入っているし、アリスに可愛い、なんて言われても困るだけで……」■■
【ペーター】
「今は断っていても、今後もずっとその姿勢が保てるとは限りません。可愛らしい姿でアリスを癒す存在は、僕一人で充分です!」■■
【【【演出】】】・・・ガチャッと銃を構える音
【ペーター】
「というわけで、僕のアリスの心を惑わせた罪として、しばらく動けなくなってください。それと、あなたの場合は、今後二度と幼くならないと誓って頂きます!!」■■
【【【演出】】】・・・銃声数発
【ボリス】
「うわっ!マジで撃つなよ!!なんで俺がしばらく動けなくならないといけないわけ!?」■■
【【【演出】】】・・・銃声数発
【ペーター】
「だから、今話した通りです!あなたがアリスの心を惑わせて、僕のポジションを脅かすような真似をしたからですよ!」■■
【ボリス】
「知らないって、そんなの!俺はアリスの心を惑わせたつもりも、宰相さんのポジションを脅かそうとしたつもりもないっての!」■■
【【【演出】】】・・・銃声数発
【ペーター】
「つもりはなくても、結果的にそうなっているだけで罪だと言っているんです!反論があるなら逃げずに挑んで来たらどうですか!?」■■
【ボリス】
「言われなくてもそうするよ!逃げたんじゃない、アトラクションを壊すとおっさんがうるさいから、移動しただけだ!」■■
【【【演出】】】・・・互いの銃声が入り乱れる
【【【演出】】】・・・小さめの銃声をバックにここから↓
【ハンプティ】
「あーあ、完全な撃ち合いになっちゃったね。これじゃあエリオットのときとまったく同じ展開だ」■■
【ダンプティ】
「そうだな。あのときも、結局よく分からない感じで終わった。まあ、エリオットの場合はもうウサギにはならないから、白ウサギの気がすめば、それでよかったんだろうけど」■■
【ハンプティ】
「チェシャ猫は、今後もなろうと思えばなれるからね。アリスを溺愛する白ウサギが気にするのも分からないではないけど。
ただの撃ち合いなんて、これっぽっちも美しくない。つまらないよ。どうせならもっと面白く、美しい展開に……」■■
【ダンプティ】
「……ん?何か考えがあるようだな、ハンプティ?この乱闘を面白くする、いいアイデアがあるのか?」■■
【ハンプティ】
「ああ、ある。撃ち合いなんかよりもっと面白くて、華やかで、美しい方法が。試してみようかと思うんだけど、手を貸してくれるかい、ダンプティ?」■■
【ダンプティ】
「もちろん、いいとも、ハンプティ。おまえが面白そうだというなら、僕にとっても面白いに決まっている。それで、どんな方法なんだ?」■■
【ハンプティ】
「うん、それはね……」■■
【【【演出】】】・・・小さめの銃声をバックにここまで↑
【【【時間経過】】】
● 場面(遊園地・ステージ袖)
【【【演出】】】・・・人々の歓声、口笛など
【【【演出】】】・・・ばたばた暴れるような音
【ペーター】
「腕を放しなさい、マッド・エッグズ!どういうつもりです、これは!?チェシャ猫と真剣勝負を繰り広げていたというのに、無理矢理こんなところに連れてきて!!」■■
【ボリス】
「俺も同意だぜ、ダンプティ、ハンプティ!何なんだよ、これ?なんで俺達をステージの裏になんか連れて来たんだ?しかも、なぜか観客席に客が入っているし」■■
【【【演出】】】・・・人々の歓声、口笛など
【ダンプティ】
「ああ、客だ。おまえ達の登場を待っている、な。僕達が準備を整えてやったんだ、感謝しろ」■■
【ペーター】
「準備を整えた?だから、何の準備だって言うんです!?僕はチェシャ猫に制裁を……!」■■
【ハンプティ】
「それは、あの看板を見れば分かるよ。ほら、舞台袖のここからでも見えるだろう?ステージの後ろに、あんなに大きく掲げてあるんだから」■■
【ペーター】
「看板……?ああ、あれですか。なになに……、『白ウサギVSチェシャ猫の、可愛さ対決』……???」■■
【ボリス】
「え?は?可愛さ対決、って……???」■■
【ダンプティ】
「対決は対決だ。どちらがより可愛いかを競うんだよ。会場に集まった観客全員が審査員となって、おまえ達の勝敗を決める」■■
【ペーター】
「可愛さを……競う!?!?このステージで、観客の前でということですか!?」■■
【ハンプティ】
「そう、その通り!撃ち合いなんて捻りのない展開より、余程楽しくて美しい方法だろう?」■■
【ダンプティ】
「正確には、美しさじゃなくて可愛さだけどな」■■
【【【演出】】】・・・ペーターがばっと腕を振り払う音
【ペーター】
「じょ、冗談じゃありません!僕はチェシャ猫に二度とアリスを誘惑しないように釘を刺したかっただけです!それが、なぜ大勢の客の前でチェシャ猫と可愛さを競う、なんて話になるんです!?」■■
【ハンプティ】
「ったた、乱暴に振り払わないでくれよ、痛いだろう?
……だって君は結局のところ、自分よりチェシャ猫の幼くなった姿のほうが可愛いんじゃないかと懸念し
ている。だから、牽制しないと不安なんだろう?」■■
【ペーター】
「……っ!そ、そういうことでは……っ」■■
【ボリス】
「……いや、つまりはそういうことだよね。だから、この場で可愛らしさの優劣を競い合って、決着をつけろってことか。もし俺が負ければ宰相さんのほうが可愛いってことで、俺を牽制する必要もない」■■
【ペーター】
「チェシャ猫!?何を呑気に話しているんです!?あなたはこんな方法、おかしいと思わないんですか?」■■
【ボリス】
「いいや、それを言ったら、そもそも勝手に俺をライバル視しているあんたのほうがよっぽどおかしいよ。俺にとっちゃただ因縁吹っ掛けられただけだけど、どうせ返り討ちにしてやるなら、たしかにこのほうが分かりやすい」■■
【ペーター】
「分かりやすい?顔なしの前で変身した姿を晒して、ジャッジさせるということなんですよ!?つまり顔なしまかせ!それに、あなた、幼い姿にはなりたくないんじゃなかったんですか!?」■■
【ボリス】
「もちろんなりたくはないけど。ジャッジしてもらうためと割り切れば、別にいいよ。撃ち合いだとどっちかが死ぬまでちゃんとした決着はつかないけど、こういう形にすれば、手っ取り早く勝敗も決められるし、あんたも納得できるだろ」■■
「それに、やるからには俺も負ける気はないぜ?俺が勝った場合のメリットも、当然用意していいんだろ?」■■
【ハンプティ】
「もちろん。フェアじゃなきゃ美しくないからね。君が勝ったら、好きな条件を白ウサギに出せばいい。
白ウサギが勝ったら、それだけで白ウサギのほうが可愛いという証明にもなるけど……」■■
【ペーター】
「アリスにちょっかいは出さないと誓って頂きます。破ったときには重いペナルティを背負わなくてはいけない、正式な契約を交わしてね」■■
【ボリス】
「……お、いいね?宰相さんもやる気になってきたんだ?」■■
【ペーター】
「正直なところ、気は進みません。ですが、あなたがその気になっているのに、僕が尻尾を巻いて逃げ出すわけにはいかないでしょう。それに僕だって、あなたの子供姿なんかより、僕のほうがアリス好みの可愛らしい姿だという自信があります」■■
【ボリス】
「もともと自信があったというには、やけに必死に見えたけど。まあいいや、そういうことにしておいてあげるよ」■■
【ペーター】
「何か言いましたか?……僕は勝ちますよ、アリスのために、僕のために。とにかく、ウサギの格好になってステージに出て、自分の可愛らしさを観客に知らしめればいいんでしょう?」■■
【ダンプティ】
「そういうことだ。二人共覚悟が決まったのなら、始めるか。観客も待ちくたびれている」■■
【【【演出】】】・・・人々のざわめき、歓声
【ハンプティ】
「よし、司会進行は俺に任せてくれ。ではさっそく……、ええと、マイクは……、ああ、あそこだね」■■
【【【演出】】】・・・ハンプティが数歩歩く音
【【【演出】】】・・・マイクスタンドからマイクを取る音
【【【演出】】】・・・キーンとハウリング
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「レディース・アンド・ジェントルメーン!大変長らくお待たせいたしました!ただ今より白ウサギとチェシャ猫、どちらがより可愛らしいかを決定する、特別ステージを開催いたしまーす!!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【【【演出】】】・・・歓声や口笛が大きくなる
【【【演出】】】・・・拍手
【ペーター】
「こうして聞くと、やはりとんでもなくくだらなく、馬鹿馬鹿しいですね……。ああ、いえ、駄目です!やると決めたからには、最後まで貫き通さないと!冷静になってしまうととてもやっていられません。自己暗示を掛けなくては……」■■
「僕は可愛い、僕は可愛い、僕は可愛い……!そして、アリスのために何としても勝ちます!優劣がはっきりするだけでなく、僕がこの勝負の勝者だと聞けば、アリスも喜んでくれますよね!」■■
【ボリス】
「何をしているんだよ、宰相さん!ステージに出るぜ!」■■
【【【演出】】】・・・だだっとボリスが走っていく足音
【ペーター】
「あ、待ってください……!」■■
【【【演出】】】・・・ペーターも走っていく音
【【【時間経過】】】
● 場面(遊園地・ステージ上)
【【【演出】】】・・・客の歓声、拍手
【【【演出】】】・・・短い開演のメロディのようなもの
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「それでは、ただ今から審査を行っていくよー!勝敗を決めるのは、観客のあなた、あなた、あなた!!そして、あなただ!美し……じゃなかった、可愛らしいと心が震えたときには、大きな拍手をお願いします!拍手の大きさで、それぞれの勝負の勝敗が決定します!」■■
「それでは、最初は両者の自己アピールから!白ウサギから順にお願いしまーす!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【ペーター】
「わ、分かりました。……ここまで来たらやり切るしかありません。必ず勝利を掴みとりますからね、アリス!」■■
【【【演出】】】・・・ぼんっと姿を変える音
【【【演出】】】・・・おおーっと客のどよめき・歓声
【ペーター・ウサギ】
「白ウサギ、ペーター=ホワイト、ハートの宰相です。
チャームポイントは何と言ってもこの真っ白な毛並みと、つぶらな赤い瞳!」■■
「抱き締めるのにちょうどいい大きさで、あなたの膝の上で、胸の中で、ときにはベッドの中でもあなたを癒します。僕と共に迎える目覚めは、最高のものになるであろうことをお約束します!」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「いいですねー、聞きようによっては深読みできるところが、またなんとも妖艶で美しい!
それでは続きまして、チェシャ猫のアピールタイムです!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【【【演出】】】・・・姿を変える音
【ボリス・少年】
「ボリス=エレイ、そこらの猫とは一味違う、有能なチェシャ猫だよ。特技は銃の早撃ちで、狙ったものは百発百中!俺の自慢のテクニックで、お姉さんのハートも体も、ズガンと撃ち抜いちゃうぜ!」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「はい、さすがチェシャ猫、無駄にノリノリですね!若くなっても、漂うピンクオーラは健在です!」■■
「拍手の大きさは、しっかりと検証しています。どんどん次の勝負に進んでいきましょう!
次からは、様々なシチュエーションでの可愛さを競っていきますよー!まずは、『可愛く御奉仕』対決です!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【ペーター・ウサギ】
「ご、御奉仕っ?何か奉仕をしている想定で話せばいいんですか?ええと、ええと……っ。
あ、ああそうだ、疲れているあなたに、マッサージをしてあげます!」■■
「小さな体でもできるんですよ。こんなふうに、あなたの体に乗ってジャンプしたり……」■■
【【【演出】】】・・・ぴょんぴょんジャンプ音
【ペーター・ウサギ】
「体温が高いので、ずっと乗っていれば、じっくり体を温めてあげることができます。じっくり、じっくり……。どうです?疲れ、取れそうですか?」
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【ボリス・少年】
「え~。奉仕だって言っているのに、マッサージとかじっくり温めるとか、そんなのでいいの?
俺だったら……そうだな、一緒にお風呂に入って、あんたの背中を洗ってあげる。
いや、背中だけと言わず、他のところも……」■■
【【【演出】】】・・・風呂場のよくある「かぽーん」という音や水音など
【【【演出】】】・・・風呂場っぽいエコー↓
【ボリス・少年】
「ほら、ちゃんと体まっすぐにして。なんでそんなに背中を丸めるんだよ、くすぐったいの?
駄目だよ、それじゃあしっかり洗ってあげられないだろ。あんたのこと、綺麗にしてやりたいんだよ。俺の手で、隅から隅まで……」■■
【【【演出】】】・・・風呂場っぽいエコー↑
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「はい、両者お疲れ様です!なぜいきなり都合よく効果音とエコーが入ったんでしょうか!?
よく分かりませんが、細かいことは気にしないで次に行きましょう!」■■
「次のシチュエーションは、『可愛くおねだり』対決です!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【ペーター・ウサギ】
「おねだり、ですか!?急に言われると、どれも難しいですね……!おねだり、おねだり……。
うーん、僕が強請りたいことと言えば、これ以外にはありません」■■
「ずっと僕の傍にいてください。それに、僕だけを見ていてください。僕以外に余所見なんかしちゃ嫌です。ずっとずっと、僕と一緒に……、ああっ、アリス……!!」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【ボリス・少年】
「いや、アリスって、今は相手特定しちゃ駄目だろ、宰相さん!」■■
【ペーター・ウサギ】
「いいんですよ!僕の心の中には、いつだってアリスしかいないんですから!」■■
【ボリス・少年】
「そんなこと言って、評価を下げても知らないよ?堅苦しいし審査受けしなさそう。
おねだりと言えば、俺ならこうだな!」■■
「ねーねー、この後はずっと、俺と一緒にいられるんだよね?帰るなんて言っても聞かないぜ?俺、今夜はあんたを丸ごと欲しいんだ。帰さない……、あんたの全部、俺にくれるだろ?」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「はい、お疲れ様です!白ウサギは正統派、チェシャ猫はピンクモード全開と、系統がはっきり分かれてきましたね!どちらもかなりあざとい感じがしますが、それぞれの美しさは感じられます!」■■
「さあ、次はいよいよ最終対決、『可愛く拗ね拗ね』対決です!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【ペーター・ウサギ】
「すねすね……?足の、膝からくるぶしまでの部分のことですか?」■■
【ボリス・少年】
「んなわけないだろ!拗ねるって意味だよ、拗ねるって!」■■
【【【演出】】】・・・観客のどっという笑い声
【ペーター・ウサギ】
「はっ、笑いを取ってしまった!?『面白い』ではなく、『可愛い』でポイントを稼がなければいけないというのに!」■■
【ボリス・少年】
「……っていうか、誰が考えたんだよ、この演目。『可愛く拗ね拗ね』、って……さあ」■■
【ペーター・ウサギ】
「アリスのためなら何だってやりますよ!可愛く拗ねればいいんですよね……、こほんっ、分かりました、やってみましょう」■■
「ええと……、僕をおいて一人で出かけてしまうなんて、冷たいです。どうして僕を一緒に連れて行ってくれなかったんですか?……え?街中で人に見られてしまうから?」■■
「僕と一緒にいるのを人に見られるのは、恥ずかしいんですか?僕はちっとも恥ずかしくなんてないのに……、僕、拗ねちゃいます」■■
【【【演出】】】・・・ぽんっと出現音
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「おっと、ここでなぜか、どこからともなく小道具が出現です!これは、女性用のショルダーバッグですね。白ウサギは何をするつもりなんでしょうか……、おお、なんとカラのバッグの中に、自ら入りました。すっぽり入った状態で、入口から頭だけ覗かせています!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【ペーター・ウサギ】
「怒ったので、ここでしばらくふて寝しています。……次はこのバッグごと、ちゃんと僕を連れて行ってくださいね?」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【ボリス・少年】
「ううーっ、そう来たか。小動物の特性を最大限に活かして、最後におねだりを入れてくるとは、宰相さんも腕を上げてきたね!ウサギ好きなら、あのバッグの争奪戦を繰り広げそう……」■■
「けど、俺だって負けないぜ!俺の可愛く拗ねるシチュエーションは、こうだ!」■■
「……ねえ、ちゅーしてよ、ちゅー。してくれないと拗ねるよ?ええ~、にゃんで?にゃんでしてくれないの?
ちぇっ、もういいよ。あんたは俺とちゅーしたくないんだろ。俺はすっごくしたいのにさ……くすん」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「これはあざとい!キスではなく『ちゅー』で攻めてきました!ネズミではなく猫のはずなんですが、これも可愛さアピールのためにあえて取った戦法でしょうか!?」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【ペーター・ウサギ】
「本当に小ずるいですね!猫のくせに『ちゅー』とは、猫のプライドも捨てたということですか?」■■
【ボリス・少年】
「いいんだよ。普段は絶対に言わないけど、特別企画なんだし。それに何より、可愛いんだろ、こういうの?」■■
【【【演出】】】・・・歓声
【【【演出】】】・・・拍手
【ペーター・ウサギ】
「会場がわいている……。いいえ、僕のウサギらしい可愛さだって、負けていなかったはずです!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ハンプティ】
「以上で、すべての審査が終了いたしました。それでは、各対決の拍手の大きさの測定結果、並びに勝敗を発表いたします!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【【【演出】】】・・・ドラムロール
【【【演出】】】・・・ガチャガチャ、マイクを受け渡す音
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここから↓
【ダンプティ】
「僕が、自前の測定器で拍手の音量を測定しました。その結果は……!」■■
【【【演出】】】・・・マイク通した声ここまで↑
【【【演出】】】・・・客のどよめき、歓声、拍手などがフェードアウト
【【【時間経過】】】
● 場面(遊園地・園内)
【【【演出】】】・・・ペーターが一人とぼとぼ歩く足音
【ペーター】
「僕が……、この僕が、負けてしまうなんて。アリスが可愛くて大好きだと言ってくれた、白ウサギの可愛さで勝負をして、チェシャ猫に……」■■
【【【演出】】】・・・ペーターが一人とぼとぼ歩く足音
【ペーター】
「僕の可愛さは、チェシャ猫に劣っているということですか?だからアリスも、チェシャ猫にはまた若い姿になってほしいと頼みに行ったりして……」■■
「僕のところには、まだ嵐が終わってから一度も遊びに来くれていません。ああ、アリス……、あなたはもう、僕よりもチェシャ猫のほうがよくなってしまったんですか!?」■■
【【【演出】】】・・・ペーターが一人とぼとぼ歩く足音
【【【演出】】】・・・遠くからたったったと走ってくる足音
【ペーター】
「……ん?後ろのほうから、こちらに走ってくる足音が聞こえますね。しかし、この足音は……!」■■
【【【演出】】】・・・ペーターがザッと立ち止まる音
【【【演出】】】・・・走ってくる足音
【ペーター】
「アリス!?ああ、やっぱりアリスだったんですね!……どうして分かったのかって?分かりますよ、だってあなたの足音ですから」■■
「どうしてここにいるんですか?……えっ!?あなたも、チェシャ猫との対決を見ていた……っ!?
あの恥ずかしい対決を……、僕がチェシャ猫に敗れたところを、見ていたんですか!?」■■
【【【演出】】】・・・よろめく音
【ペーター】
「あの醜態をあなたに見られていたなんて……。ああ、眩暈がしてきました……」■■
「すみません、アリス。僕のウサギ姿の可愛らしさは、チェシャ猫の幼い可愛らしさには劣っているようです。優劣を決定する勝負だったので、チェシャ猫には何かペナルティを言い渡されるでしょう」■■
「もちろん、聞く気はありませんよ。指定される前に殺すつもりですが、とりあえず今は馬鹿馬鹿しい勝負ですっかり精神力を消耗してしまったので、機会を改めようかと……」■■
「……え?チェシャ猫を殺す必要はない?あいつは、何もペナルティを要求しては来ないというんですか?はっ、もしかして、あなたがチェシャ猫に何か言って……!?」■■
【【【演出】】】・・・がさごそ、何かを出す音
【ペーター】
「どうしたんですか?ポケットの中に、何か入っているんです?」■■
【【【演出】】】・・・かさっと、紙の音
【ペーター】
「それは……、メモ書きのようですね?……え?チェシャ猫から、僕に?」■■
【【【演出】】】・・・かさかさ紙を開く音
【【【演出】】】・・・手紙の文面↓
【ボリス】
「宰相さんへ。偶然あの勝負を見ていたアリスが、勝負は無効にしてほしいって頼み込むから、彼女の頼みを聞いてあげることにしたよ。あの勝負は、なかったことにしてあげる。俺もかなり小ずるい線を狙ったしね、にゃはは」■■
【【【演出】】】・・・手紙の文面↑
【ペーター】
「にゃはは、って。何だか軽いですね……」■■
【【【演出】】】・・・手紙の文面↓
【ボリス】
「アリス曰く、俺とあんたの可愛さは、どちらも優劣つけられないらしいよ。ほかならぬアリスがそう言うんだったら、仕方がないよね。けど今回に限っては、慣れないあんな馬鹿げたショーに真面目に挑んだあんたを、褒めてあげたいってさ」■■
【【【演出】】】・・・手紙の文面↑
【ペーター】
「僕を褒めて……っ?」■■
【【【演出】】】・・・ガサガサ紙が鳴る音
【ペーター】
「こ、ここに書いてあることは本当なんですか、アリス!?
ええ、そうです。あなたが、僕を褒めてあげたいって言ってくれたって」■■
「……ああ、本当なんですか。嬉しいですっ。顔から火が出る思いでしたが、あなたに褒めてもらえるのなら、頑張ってよかった!」■■
「……あ、手紙ですか?すみません、あとは、最後の一文をまだ読んでいなくて……」■■
【【【演出】】】・・・持ち直して、紙が鳴る音
【【【演出】】】・・・手紙の文面↓
【ボリス】
「というわけで、今回はアリスと仲良く帰りなよ。先刻の小道具、あんたにあげるから。
あ、でも、これであんたにアリスを譲るってわけじゃないからね?俺だってアリスのことは気に入っているんだから、これからも今まで通りだぜ?」■■
【【【演出】】】・・・手紙の文面↑
【ペーター】
「分かっていますよ、いちいち細かい猫ですね。
……ああ、はい、すみません。全部読み終わりました。アリス、ここに書いてある小道具って……?」■■
【【【演出】】】・・・ごそごそっとアリスが何か(バッグ)を出す音
【ペーター】
「……っ!それは、先刻の対決で僕が使ったショルダーバッグ!」■■
【【【演出】】】・・・じーっとバッグのチャックを開ける音
【ペーター】
「ははっ、恥ずかしいな。あれ、可愛かったですか?……え?可愛かったからバッグを貰って来たんだ、って?
そうですか、あなたに気に入ってもらえてよかったです!」■■
「ええ、もちろん入りますよ!ちゃんと僕を連れて、一緒に街を歩いてくださいね!」■■
【【【演出】】】・・・ポンッと姿を変える音
【【【演出】】】・・・ごそごそっとバッグの中に入る音
【ペーター・ウサギ】
「はい、OKです!さあ、二人でどこに行きましょうか?どこに行くにしろ、最後はちゃんと忘れず持ち帰ってくださいね、僕のこと!」■■

 
END