「アニバーサリーの国のアリスPSP豪華版」用
ドラマ台本
スタッフ・声優用
QuinRose
原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠
トゥイードルディー&ダム CV:福山潤
ブラッド=デュプレ CV:小西克幸
ボリス=エレイ CV:杉山紀彰
アリス=リデル CV:釘宮理恵
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1:プロローグ(ディー・ダム・ブラッド・ボリス・アリス)
●場所(舞踏会会場)
【【【演出】】】・・・ザワザワという、会場内の喧騒
【ブラッド】
「ふう。紅茶が美味い……」■■
【【【演出】】】・・・カチャ、とカップをソーサーに置く音
【アリス】
「ブラッド……。あなた、舞踏会に何をしに来たのよ」■■
【ブラッド】
「ん?もちろん、極上の紅茶を味わいに来たに決まっているだろう」■■
【アリス】
「あなたねえ……。ここは舞踏会会場であって、紅茶の試飲会場じゃないのよ?」■■
【ブラッド】
「どちらも似たようなものだ。極上の紅茶達が、私の舌の上で優雅に踊ってくれている」■■
【アリス】
「それで、うまいこと言ったつもり?全然似てないわよ。もっともらしいこと言ったって、踊りと紅茶に共通
点なんかないじゃない」■■
【ブラッド】
「ふふ、どちらも、高等なものなら芸術的といえる。そして、芸術とは追求しきれないもの。ああ……、やはり紅茶は素晴らしい……。いくら飲んでも飽きない、極上の飲み物だ……」■■
【【【演出】】】・・・きらきらきら~
【アリス】
「はあ……。知ってはいたけど、ブラッドって本当に紅茶が好きよね。紅茶だけあれば他に何もいらないんじゃないの?」■■
【ブラッド】
「ふふ……、なんだ、お嬢さん。私が紅茶のことばかりにかまけているから、妬いているのか?」■■
【アリス】
「飲み物相手に、誰が妬くか」■■
【ブラッド】
「そう照れることはない。君に妬いてもらえるなんて、光栄なことだ」■■
【アリス】
「だから……。飲み物相手に、誰が妬くものですか」■■
【ブラッド】
「つまり……、飲み物以外になら妬いてくれるということだろう?」■■
【アリス】
「はあ……。呆れるほどにポジティブね」■■
【ブラッド】
「ネガティブなお嬢さんと釣り合いがとれていいだろう。……こんな夜くらい、もう少し心を開いてほしいものだ」■■
【アリス】
「心を開くとかそういう問題じゃないでしょ。それに、こんな夜くらいって言われても……」■■
【ブラッド】
「舞踏会なんだぞ?特別な夜だ。……(※ここから囁き声で)今夜の君も、特別に魅力的だな。そのドレス、よく似合っているよ」■■
【アリス】
「っ……わ!?」■■
【【【演出】】】・・・ガタン、とアリスがテーブルにぶつかる音
【アリス】
「い、痛っ!ちょっと、いきなり耳元で囁かないでよ。びっくりしてテーブルにぶつかっちゃったじゃない」■■
【ブラッド】
「おや、失礼。だが紅茶はもう存分に堪能したからな。次は、君を堪能させてもらいたい。……踊ってくれるだろう、お嬢さん」■■
【アリス】
「……なんでいちいち含みがありそうな言い方ばかりするのよ。でも……、そうね。せっかくの舞踏会なんだし、一曲くらいなら……」■■
【ボリス】
「よう、アリス!こんなところにいたんだ。探したぜ」■■
【アリス】
「え……、ボリス!?」■■
【ブラッド】
「……ふう。お嬢さんに何の用事かな、おチビさん。生憎、今夜の彼女は私が独占させてもらうことになっている」■■
【ボリス】
「えっ、なにそれ!?アリス、本当なのかよ!?約束でもしちゃったの!?」■■
【アリス】
「え?い、いや、そういうわけじゃないけど……」■■
【ボリス】
「よかった、まだ先は越されていなかったか……。やっと見つけたと思ったら、帽子屋さんと一緒なんだもんなあ。焦ったよ」■■
【アリス】
「やっと見つけたらって……。ああ、私を探してくれていたのよね?どうしたの、何か用事?」■■
【ボリス】
「うわ、ひど。その言い方、用事がなきゃ、あんたを探しちゃいけないみたいじゃないか」■■
【アリス】
「え?じゃあ、用もなく私を探していたの?」■■
【ボリス】
「そういうわけじゃないけど……。はあ、あんたって鈍いよね。……俺は、あんたと踊りに来たんだよ」■■
【アリス】
「えっ?」■■
【ボリス】
「だから、ダンスの申し込みに来たんだって。……ね、俺と踊ってくれるよな、アリス?」■■
【アリス】
「ボ、ボリス……」■■
【ブラッド】
「駄目だ。お嬢さんは私と踊るんだ。おチビさんは下がっていなさい」■■
【ボリス】
「む……、帽子屋さん、俺はアリスに聞いているんだぜ?そっちのほうが先に誘っていたのかもしれないけど、選ぶのはアリスだろ?」■■
【ブラッド】
「ああ、お嬢さんは私を選ぶだろうな。だからはおチビさんは邪魔者、いや、邪魔猫というわけだ」■■
【【【演出】】】・・・ステッキをマシンガンに変える音
【ボリス】
「何?ステッキをマシンガンに変えちゃったりして、やる気なの?そっちがその気なら……」■■
【【【演出】】】・・・ジャキっと銃を取り出す音
【アリス】
「って、ちょっと、ここは舞踏会の会場なのよ!?やめてよ、二人とも……!」■■
【【【演出】】】・・・近づいてくる足音×2
【ディー】
「あっ、お姉さん!ここにいたんだね」■■
【ダム】
「あれ?ボスとボリスも一緒だったんだ」■■
【アリス】
「ディー、ダム!?」■■
【ブラッド】
「ふう。今度はおまえ達か……」■■
【ディー】
「どうしたの、ボス、ため息なんか吐いて。……あ、はいこれ。頼まれていた茶葉、厨房からばっちりかっぱらって来たよ!」■■
【【【演出】】】・・・ごそごそと茶葉を出す音
【ダム】
「お姉さんと一緒にいられないのを我慢して盗ってきたんだから、報酬ははずんでよね」■■
【ディー】
「そうだよ。お姉さんと踊るつもりだったのに、ボスがこんなおつかいなんか頼むから、遅くなっちゃったよ」■■
【アリス】
「踊るつもりって、あなた達も……?」■■
【ディー】
「え、あなた達も、って、もちろん……。あ、そうだ、お姉さん!僕ら、先刻厨房から帰る途中で、すごいこと聞いちゃったんだ!」■■
【アリス】
「すごいこと?」■■
【ダム】
「うん。あのね、この城には、すっごいお宝があるんだって」■■
【ブラッド】
「それの、どこがすごいことなんだ。城なら、宝くらいあって当然だろう」■■
【ディー】
「ただのお宝じゃないよ。すっっっごいお宝だよ?宝物庫の奥に、更に隠し扉があるんだって」■■
【ボリス】
「宝物庫に隠し扉?何それ、なんだか胡散臭いなあ。デマなんじゃないの?」■■
【ダム】
「そんなことない。城の兵士達がしていた話だから、信用度は結構高い情報だよ」■■
【ブラッド】
「ふむ……。隠し扉か。女王がそこまでして隠すような宝、ね……。いや、隠したのが女王とも限らないが……」■■
【ディー】
「きっと、すっごく金目のものに違いないよね、兄弟!」■■
【ダム】
「すっごく金目のもの、かあ……。素晴らしい響きだね、兄弟。これは放っておけないよ」■■
【アリス】
「放っておけないって、まさかあんた達、宝物庫に忍び込むつもりじゃないでしょうね!?」■■
【ダム】
「何言ってるの、もちろんそのつもりだよ。金目のものがあると聞いて、ただで帰るわけがないじゃない」■■
【アリス】
「舞踏会なのに、何をやらかす気なの!やめなさい!」■■
【ディー】
「見つけたらお姉さんにもプレゼントしてあげる。そうしたら、ご褒美に、僕達と踊ってくれるよね?」■■
【ダム】
「ちょっとだけ待っててくれれば、すぐに盗ってくるからさ。それまで他の奴と踊ったりしないでね」■■
【アリス】
「え!?ちょっと、どうしてそんな話に……」■■
【ボリス】
「おっ。だったら、お宝を手に入れた奴がアリスと踊れるってのはどうだ?」■■
【ディー】
「別にそれでもいいよ。どうせ僕達が勝つからね」■■
【ダム】
「お宝もお姉さんも、僕達がいただくよ」■■
【アリス】
「なっ!?あんた達、何を言い出すのよ!?」■■
【ブラッド】
「お嬢さんとのダンスを賭けて宝探しの勝負ということか。ふむ、実にロマンのある戦いだな。だるいが……、童心にかえるというのもたまにはいいかもしれない」■■
【アリス】
「ちょ、ちょっと、ブラッドまで!?どうしちゃったのよ、あなた、たまにだろうが何だろうが面倒なことは嫌いでしょう!?いつもなら徹底的に避けるくせに!」■■
【ブラッド】
「ふう……。お嬢さん、君も場の空気というものを読みなさい」■■
【アリス】
「は?」■■
【ブラッド】
「これは企画もののCDなんだぞ?とりあえず乗っておかねば進まない」■■
【アリス】
「……なんて身も蓋もないの」■■
【ダム】
「さすがボス、大人の事情を把握しているね」■■
【ブラッド】
「では、一番に宝を手に入れた者が、お嬢さんを手に入れるということで……。さっそく開始といこうじゃないか」■■
【アリス】
「えええっ!?いつからそういうことに!?」■■
【【【演出】】】・・・アリスを抱きかかえる音
【アリス】
「わあ!?」■■
【【【演出】】】・・・テーブルを倒す音
【【【演出】】】・・・ワイングラスが大量に割れる音
【ボリス】
「うわっ!?テーブルが倒されて、その上のシャンパンタワーが全部崩れた!」■■
【ディー】
「なに、その説明的台詞!」■■
【ボリス】
「ばか、つっこむな!これも大人の事情ってやつだ!」■■
【【【演出】】】・・・走り去る足音
【アリス】
「な、何なの!?ちょっとブラッド!宝を探しに行くのに、どうして私をこんな体勢で連れて行くのよ!」■■
【ボリス】
「しまった、アリスっ!」■■
【ディー】
「ああっ、お姉さんが連れていかれちゃうのに、倒れたテーブルが邪魔で追いかけられないよ!」■■
【ダム】
「兄弟まで、あからさまな説明台詞が酷い!こんなフライングなんて卑怯だよ、ボス!?」■■
【アリス】
「ブラッド、降ろしてよ!舞踏会でお姫様抱っこされるなんて……」■■
【ブラッド】
「企画ものらしく、夢があるだろう?」■■
【アリス】
「企画ものだからって!メルヘンすぎて、嫌すぎるわ~~~!」■■
【【【時間経過】】】
2:前説(ブラッド・ボリス)
【ボリス】
「や、アリス。また会えたね。ハートの国で会うのは久しぶりだけど、元気にしていた?」■■
【ブラッド】
「ふう……。紅茶が美味い」■■
【【【演出】】】・・・カチャ、とカップをソーサーに置く音
【ボリス】
「帽子屋さん、また紅茶を飲んでいるの?どこの国でもお構いなし、毎回毎回、よく飽きないね」■■
【ブラッド】
「どこの国だろうと関係ない。紅茶は美味いのはもちろんのこと、美容や健康にもいい、素晴らしい飲み物だぞ?」■■
【ボリス】
「はいはい。でもさ、今は前説なの、ティータイムじゃないんだぜ。寛ぎすぎ。せっかくアリスが聴いてくれているんだから、もっとやる気を出してよ」■■
【ブラッド】
「ふむ、だるいが……、お嬢さんのためとあらば仕方がないか」■■
【ボリス】
「それじゃあアリス、さっそく注意事項を説明するね。このCDを聴く上で、重要な注意点が二つあるんだ。まず一つ目が、このドラマCDは、ゲーム本編のネタバレを含んでいるっていうこと。本編をある程度プレイしてから聴くようにしてね?」■■
【ブラッド】
「そうだな。私達のことを……、いや。私のことを、隅々まで知ってから聞いてもらいたい。ふふ」■■
【ボリス】
「なんか、含みのある言い方だけど……。とにかく、それなりにゲームを進めてから、このCDを聞いてほしい」■■
【ブラッド】
「もし、君がまだ本編をプレイしていないというのなら、ここで一度聞くのを中断したほうがいいだろう。美味い紅茶を淹れるにはきちんとした手順が必要なように、何事にも順序というものがある」■■
【ボリス】
「紅茶のことはよくわからないけど、まあそんな感じかな。次に二つ目の注意点なんだけど、このCDは豪華版用CDということもあって、企画ものなんだ」■■
【ブラッド】
「企画ものだからこその、特殊な趣向というものがある。このドラマCDでは、ゲームではあまり接点のなかったキャラクター同士が親しげに会話をしていたり、逆に仲のいいキャラクター同士が喧嘩していたりすることもありうる。だが、実はそれがゲーム中には出てこなかった裏設定だった、裏ではこんな人間関係が……、というようなことはない。あくまで、このCDの中だけでの出来事だ」■■
【ボリス】
「そうそう、これはあくまで企画ものだってこと、注意してね?」■■
【ブラッド】
「……さてと、注意事項の説明はこんなところか。面倒だが、そろそろ本編に行くとするかな」■■
【ボリス】
「よし。それじゃあアリス、ゲームをプレイしていない場合は一旦中断して。プレイ済みの場合はこのまま、俺と一緒にドラマ本編に進もう」■■
【ブラッド】
「さりげなく手を引こうとするんじゃない。……私と一緒に、だ。なあ、アリス?」■■
【【【時間経過】】】
■PSP版アニバーサリーの国のアリス・豪華版ドラマCD 、後編へ進む