「PS2版クリムゾンエンパイア・豪華版特典CD」用
ドラマ台本
スタッフ・声優用
QuinRose
原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠
ジャスティン=ロベラッティ CV:平川大輔
マーシャル=エイド CV:成田剣
コールドナード CV:梶裕貴
カーティス=ナイル CV:石田彰
1:プロローグ(マーシャル・コールドナード)
● 場所(城の廊下)
● 効果音(歩いてくる足音)
● 効果音(がちゃりとドアを開ける音)
マーシャル 「ジャスティン様……、と。こちらにもいらっしゃらないのか。鍛錬場でもないということは……、すれ違ったのか?」
● 効果音(ばたんとドアを閉める音)
● 効果音(再び歩き出す音)
マーシャル 「ん?ああ、あそこにいるのは……。コールドナード!ジャスティン様を見掛けませんでしたか?」
コールドナード「ああ、マーシャルか。ジャスティン様なら、俺も探していたところだ。なんだ、おまえも、ジャスティン様をお探ししているところなのかよ」
マーシャル 「ええ。先ほどまでは、お部屋にいらっしゃったのですが……」
コールドナード「鍛錬場のほうは見たか?俺が先刻見に行ったときには、そちらにもいらっしゃらなかったんだが……」
マーシャル 「今見てきたところです。やはり、鍛錬場にもおられませんでした」
コールドナード「じゃ、すれ違ったってわけでもないのか。部屋にも鍛錬場にもいらっしゃらず、これだけ城の中を歩きまわっても見かけないということは……、城の外か?」
マーシャル 「最近は天気もいいですから、外の空気を吸いたくなったとしてもおかしくはありませんね……」
コールドナード「ああ、中庭の遊歩道や、城の敷地内を散策でもしているのかもしれないな」
マーシャル 「そうですね……。それならば、いいんですが……」
コールドナード「お忍びとかじゃなけりゃあな」
マーシャル 「いずれにせよ、私達ではお止めすることもかないません……」
コールドナード「強すぎる主君ってのも考え物だぜ」
マーシャル 「ええ……。ん、そういえばコールドナード、あなた、ジャスティン様を探していらっしゃるというのは、何か急な用事でも?」
コールドナード「や、それほど急いでいるわけじゃない。シュキヴィオ伯爵から酒宴への招待状が届いたんだ。別にいつでも断れるが、早いほうが面倒にならないですむだろ?それで、ジャスティン様に判断を仰ごうと思ってさ」
マーシャル 「そうですね。返事が遅くなって、後から恨みがましくジャスティン様のために準備をしていた、などと言われても面倒です。それに万が一ジャスティン様が参加される場合でも、予定は早めに分かっていたほうが警護もやりやすいというもの」
コールドナード「だろ?で、そっちの仕事も急ぎなのか?」
マーシャル 「いえ、先日提出した書類の数字に少々違いが出た程度の報告ですから、急いでいるわけでは。しかし……、こうして探していて、お姿が見られないというのはやはり気になりますね」
コールドナード「ああ、まあ、そうとは限らないが、お忍びでどこかへ行かれているのかと心配しちまうよな……」
マーシャル 「今日はそのようなご予定はお聞きしていないんですが……。あなた、何か聞いていますか?」
コールドナード「いや、俺も聞いていない」
マーシャル 「ジャスティン様は、お忍びの際に我々護衛がつくことを好まれませんが、だからといって、いたずらに心配をかけるようなこともなさらない方……」
コールドナード「だよな。いつも、付いて行くことこそお許ししてくれないが、予定自体は知らせてくださるもんな」
マーシャル 「なので、街には出掛けられていないと思うんですが……」
コールドナード「……だな。それじゃあ、ジャスティン様を引き続きお探しするとするか。俺は外の中庭や、ジャスティン様の散策コースの辺りを見てくるぜ」
マーシャル 「お願いします。では、私は厩舎のほうを見てきましょう。もしかしたら馬の手入れでもなさっているのかもしれません」
コールドナード「ああ、あるある。ったく、馬の手入れなんか下人に任せておけばいいのになあ」
マーシャル 「それだけ可愛がっていらっしゃるのですよ。では、またここで落ち合いましょう」
コールドナード「了解~」
● 効果音(それぞれ歩き出す足音)
● 場面転換
● 場面(木々に囲まれた散歩道)
● 効果音(鳥の鳴き声)
● 効果音(土の上を歩く足音)
コールドナード「中庭にも、裏庭にもいない……。中庭の遊歩道も、いつもの散策コースも一通りまわりはしたけど、無駄足か。……一度城に戻るか」
● 場面転換
● 場面(厩舎)
● 効果音(馬のいななき)
マーシャル 「こちらにもいらっしゃらない……。馬も厩舎にいるということは、遠乗りに出かけられたわけでもないのか。一度城に戻るか……」
● 場面転換
● 場面(城の廊下)
● 効果音(たったった、と駆け寄ってくる足音)
コールドナード「マーシャル!いたか?」
マーシャル 「いえ、厩舎のほうには……。ですがジャスティン様の馬は繋がれていたので、遠乗りに出かけられたわけではなさそうです」
コールドナード「そっか、馬がいるなら、近くの森にふらっと狩りに出かけたというわけでもなさそうだな……」
マーシャル 「一体どちらに……」
コールドナード「こうなってくると、やっぱりお忍びって線が濃厚なんだが……」
マーシャル 「私達に一声もかけずに、ですが?」
コールドナード「だよなあ。そこはひっかかるよな。……こうしていても仕方ない。俺、正門門番の兵士に聞いてくる。もしもジャスティン様が街に出掛けられたなら、見ているはずだろ」
マーシャル 「分かりました、お願いします」
コールドナード「おう」
● 効果音(たったったった、と走り去っていく足音)
● 時間経過
● 効果音(たったった、と走ってくる足音)
マーシャル 「どうでした?」
コールドナード「……当たり。ジャスティン様がつい先刻、正門から街のほうへと出掛けられたらしい」
マーシャル 「門番は何をしているんですか。王子が一人で外出なんて、普通は止めるでしょう」
コールドナード「エドワルド王子ならな。だけど相手は我らがジャスティン様だぞ?」
マーシャル 「日頃から供をつけずに出掛けられますからね……」
コールドナード「そういうこと。いつものことだと思って、門番も別段気に留めなかったらしい」
マーシャル 「堂々と正門から脱出されていたとは……、さすがジャスティン様ですね。いえ、感心している場合ではないんですが」
コールドナード「そうか?急ぎの用事もないし、場所が分かっただけで充分だろ。後はお戻りになるのを待って……」
マーシャル 「いつもならば、我々に声をかけてから出かけられるジャスティン様が、黙って街へ出られたんですよ?おそらく……、我々に言っては反対されるだろうとあの方が判断するようなことがあったんです」
コールドナード「俺達に言うと反対される……。何か危険なことか?」
マーシャル 「……可能性としては。ああ、ジャスティン様、どこで何をしておられるのか……」
●場面転換
前説(カーティス・ジャスティン)
カーティス 「はい、こんにちは。お久しぶりですね?……ああ、そんな嫌そうな顔をしないでくださいよ。僕は嬉しいんですよ?あなたにこうしてまた会うことが出来て。あなたが野たれ死んでいないことが嬉しいんです。僕があなたのために払った労力が、無駄になっていないということですからね。あなたも知っての通り、僕、無駄は嫌いなんです。合理的に利潤を追求したいもので……」
ジャスティン 「……野垂れ死にとは、ずいぶんと手厳しいな」
カーティス 「おや、聞こえちゃいましたか?ふふ、そういう言葉を気軽に言い合えるほどに、僕と彼女は気安い関係なんです。何も知らなかった彼女に手取り足取り、生きるすべを与えたのは僕ですからね。それが無駄になっていなかったのなら、嬉しいものでしょう?」
ジャスティン 「つまり、こいつが生きていることを喜んでいたわけか」
カーティス 「……どうしてでしょうね。そう直球で言われると、否定したくなってきます」
ジャスティン 「素直になれない男だな」
カーティス 「いえ、僕はとても素直な男ですよ?素直な意味でもって、無駄にならずによかったと……」
ジャスティン 「だから、素直にこいつが生きていてくれてよかったと再会を喜んでいるんだろう?率直に、そう言えばいい」
カーティス 「ニュアンスが異なるんですが……あなた、折れなさそうですし、まあ、いいです。さて、気をとりなおして、前説と行きましょう。このCDは、『PS2版クリムゾンエンパイアの豪華版』についてくる特製CD。ということは、あなたは豪華版を手に入れた……ということですね。ご苦労様です」
ジャスティン 「俺からも礼を言おう。ありがとう」
カーティス 「ですが、このCDを聞く前に注意点が二つ。まず一つ目は……」
ジャスティン 「このドラマは、『PS2版クリムゾンエンパイア豪華版、特製CD』だ。つまり、クリムゾンエンパイアの内容に沿ったものになっている。おまえがまだ本編を未プレイならば、ここで一度このCDを止めて、先に本編をプレイするようにしろ」
カーティス 「……あの、それ。僕の台詞なんですが。……ええ。そうなんですよ。このCDから聞いてしまうと、もしかするととんでもないネタバレがあるかもしれません。まあ、たいしたものはないでしょうけど……、お決まりのコースとして、まずは一通り本編のほうを遊んでから、こちらのCDを聞くようにしてくださいね。さて、次の注意点……」
ジャスティン 「この段階で分かると思うが、俺とこの男とは、本編では一切関係がない。そんな俺達が、このCDの中では顔を合わせ、言葉を交わしている。が、だからといってそれが本編での人間関係に反映されるようなことはない」
カーティス 「ま、また……っ。ええ、そうなんですよ。この方がおっしゃったように、このCDはあくまで企画ものなんです。普段とは違った人間関係が見られるかもしれません。仲が悪いはずのキャラクター同士に交流があったり、逆に仲がいいはずのキャラクター同士が喧嘩をしていたり。しかし、それは本編には関わらない、ここだけの出来事です。隠し設定ということもないので、その辺はご注意願います」
ジャスティン 「そして最後に、これは案内だ。クインロゼのホームページには、ホームページでしか読めない限定コメントや企画、他にも情報がある。時間があいたときにでも、顔を出すようにしたらいい。PC版の移植だからな。当時の企画など、色々と公開されているというわけだ」
カーティス 「……あなた、興味なさそうな顔をして、実は目立ちたがりなんですか?僕の台詞を横取りするのはやめて下さいよ。僕、ペースを乱されるの、嫌いなんです」
ジャスティン 「では、引き続き本編を楽しんでくれ」
カーティス 「……っ、弟といい兄といい……、これだから身分の高い奴は嫌いなんです」
ジャスティン 「嫌いなものが多いな……。ふ、エドワルドと同じだ」
カーティス 「……~~~っ、一緒にしないでください!」
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