「PS2版クリムゾンエンパイア・予約特典」用
ドラマ台本
スタッフ・声優用
QuinRose
原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠
エドワルド=ウィンフリー CV:鈴村健一
ランビュール=ダヌンツィオ CV:谷山紀彰
ブライアン=カペラ CV:鈴木達央
ミハエル=ファウスト CV:緑川光
1:プロローグ(エドワルド・ランビュール・ブライアン)
● 場所(ランビュールの自室)
●効果音(ぐつぐつと壷の中身が煮えたぎる音)
ブライアン 「……これはこれは。いつにも増してすさまじい色と香りだな、ランビュール」
ランビュール「ええ、効果も抜群に違いありません。きっとブライアン様が持ってきてくださった、七色コウロギの薄羽がよかったんでしょう」
ブライアン 「いやいや、私は面白そうな……、こほん。なんとなく効力の得られそうな材料を提供しているだけだからね。こうして成果が出ようとしているのは、すべて君の調合の妙のおかげだよ。ダイゼムの実との配合バランスがよかったんじゃないか?」
ランビュール「いえいえ。確かにせっかくの貴重な材料ですから、私としてもまったくのデタラメ配合というわけではないんですが……。だからといって、そこまで褒めていただくほどの技術があるわけでもないんですよ。こう……、なんとなく、湧き上がる直感のままに調合している部分も多くありまして。ブライアン様が手に入れて来て下さる素材の一つ一つが、僕の想像力を刺激するんですよ……!」
ブライアン 「ふふ、私は、用意した材料が、君の手によって形や効能を変えていくのを見るのが好きなんだ。君に協力することで、私自身も研究者になったような気分になれて……。それに、君は私の素人意見を常に反映させてくれるだろう?」
ランビュール「素人意見だなんて、何をおっしゃるんですか。ブライアン様の意見はいつも斬新で、僕に素晴らしいインスピレーションをくださいます。今回のダイゼムの実と七色コウロギの羽の取り合わせにしろ、常人では思いつかないものですよ。一体どのようにしたら、その二つを組み合わせようなんて閃きが降りてくるのか……」
ブライアン 「そ、そうかな……。そんなに素晴らしい組み合わせだったとは……。直感というのは、偉大だな、ランビュール!ああ、ならついでにそこに、ヴァイレンの蕾を入れてみたらどうだろう?なんとなく、効能が上がる気がするんだよ……!」
ランビュール「ヴァイレンの蕾……!それはまた新しいアイディアですね!なんとなく、成功しそうな気がします!」
ブライアン 「新たな発見がありそうだ、なんとなく!」
ランビュール「ええ、なんとなく!是非試してみましょう……!」
● 効果音(ぽいっと投げ入れる音)
● 効果音(じゅうっと熔ける音)
● 効果音(ぼこぼこぼこぼこっ盛大に泡立つ音)
ランビュール「おお、これはまた……。効果がありそうですね。……そんな感じです」
ブライアン 「ああ。これは素晴らしい薬になるような気がするよ。……そんな感じだ」
● 効果音(ぐつぐつぐつ、と煮えたぎる音)
● 効果音(控えめなノックの音)
ブライアン 「ん?おや、ドアが鳴る音が聞こえなかったか?」
ランビュール「困りましたね。また臭いに関する苦情でしょうか。このまま後二日ほど煮込みたいと思っているのですが……。シエラに見つかってしまうと、まずいかもしれません」
ブライアン 「リリーかもしれないな。普段なら可愛いリリーに会えるのはいつだって大歓迎、毎日だって会いにきてほしいところだ。だが、リリーは薬の臭いが苦手だからね。さすがに、コレが見つかるとまずいだろうな……」
ランビュール「薬学の発展のためには、ささやかな臭いぐらい我慢していただきたいところなんですが……。少々刺激臭はありますが、それで皮膚が爛れたり、毛が抜け落ちるほどではありませんしね……、多分。やはり王城となると、そういった面でも敏感なんでしょうか」
● 効果音(コンコン、とノックの音)
ランビュール「はいはい、今開けますので少々お待ちを……」
● 効果音(ばたんとドアを開ける音)
ランビュール「……えっ!?」
ブライアン 「どうしたんだ、ランビュール?やはり苦情だったのか……、って、えええ!?」
ランビュール「ど、どうしてこんなところにお越しに……!?」
ブライアン 「そ、そうですよ、どうして……!」
エドワルド 「はは。そんな化け物でも見たような顔しなくても、いいじゃないか。王子である僕が、城の中のどこにいたって、おかしくはないだろう?それにしても……。シエラから聞いてはいたけれど……、ほ、本当に酷い臭いだね、これ。う……」
ランビュール「も、申し訳ありません……!」
ブライアン 「このような場所まで足を運んでいただくとは……っ!」
● 効果音(ばたばた、と慌ててその辺を片付けるような、物を動かす音)
ランビュール「どうぞ、こちらにお入りになってください。比較的綺麗ですから……!」
エドワルド 「いや、入るのはいいけど臭いが……」
ランビュール「換気!換気します!」
● 効果音(ばたばた、と慌ててその辺を片付けるような、物を動かす音)
ランビュール「どうぞ!窓際なら、臭いませんから!比較的!」
エドワルド 「比較的……ね。まあ、だんだんと慣れて、鼻も馬鹿になってきたし……。それじゃあ、お言葉に甘えて失礼するよ」
● 効果音(ぱたんとドアの閉まる音)
エドワルド 「その鍋の中で煮えているのは、一体何なの?」
ランビュール「こ、これは……」
ブライアン 「画期的な滋養強壮剤……、になればいいな、と思っている物です」
エドワルド 「はは、これからに期待ってところ?」
ランビュール「ええ、土台は出来ているんですけど、実際出来上がったもので効能を確かめなくては、断言は出来ませんから」
ブライアン 「でも、なかなかいい感じなんですよ」
ランビュール「今までにない組み合わせとはいえ、素材はすべて厳選された最良のものを使っていますからね。ふふふ、期待出来ると思います」
エドワルド 「そ、そう……。二人とも、熱いね」
ブライアン 「ええ、青春って感じでしょう!?学生時代、スポコンものに憧れて……」
エドワルド 「ス、スポコン……。体育会系には見えないけど……」
ブライアン 「だからこそ、憧れるんです!」
ランビュール「……と、それよりも、どうしました、エドワルド様。こんなところにわざわざいらっしゃるとは」
エドワルド 「ああ、そんなにきょろきょろしなくていいよ。この部屋の中には、僕と君達しかいない」
ブライアン 「シエラは一緒ではないのですか?」
エドワルド 「そう。残念ながら。彼女は今、仕事で城を離れている。少し離れたところで、モンスターが異常繁殖した村があってね。そちらのモンスター掃討作戦に参加してくれているんだ」
ランビュール「ああ、それは心配ですね……。怪我などしていないといいのですが……」
ブライアン 「彼女は、なかなか無茶をするからね……」
エドワルド 「僕の部下の心配をしてくれるなんて、二人とも親切だね。これからも、僕の部下である彼女にはよくしてあげてくれると嬉しいよ」
● 効果音(間の演出のため、鍋の中身がぐつぐついう音だけが響いているような)
● 効果音(小声で囁きあう)
ブライアン 「……『僕の』をとても強調された気がするぞ、ランビュール」
ランビュール「……ええ、所有権を非常に強調されましたね」
ブライアン 「牽制……されているのかな、私達は」
ランビュール「それはそれで……、光栄なことではありますが」
●効果音(小声での囁きここまで)
エドワルド 「……こほん。ああ、それでね。本題なんだけれど。今から二人とも、ちょっと僕に付き合ってくれないかな?」
ブライアン 「付き合うと申しますと……、馬か何かでしょうか」
ランビュール「私は馬は苦手ですので、遠乗りでしたらご遠慮させていただきたいのですが……。チェスか何かでしたら、喜んでお付き合いさせていただきますよ」
エドワルド 「いやね?二人には……、僕のお忍びに付き合ってもらおうと思って」
ブライアン 「な……!?」
ランビュール「えええっ!?」
ブライアン 「お、お忍びというのは、これから王城を抜け出すということですか?」
エドワルド 「ブライアン、君だってよくしていることだろう?僕達のような地位にいる人間にとってそれほど珍しいことじゃない」
ブライアン 「そうですが……!何も、護衛頭であるシエラがいないときに外出なさらなくても……」
ランビュール「シエラがいないとなると……、リリー様か副メイド長のハルキアがつくことになるんでしょうか?」
エドワルド 「……ふふ」
ブライアン 「な、なんですか。(小声)ランビュール、私はとてつもなく嫌な予感がするぞ……っ(小声)」
ランビュール「(小声)奇遇ですね、僕もですよブライアン様……っ(小声)」
エドワルド 「君達を護衛にして、出かけたいんだ。一緒に来てくれない?」
●場面転換
前説(エドワルド・ブライアン・ランビュール)
エドワルド 「やあ、シエラ。君にこうしてまた会えて、僕は本当に嬉しいよ。君のような優れた部下を持つことは、僕のような人間にとってはもっとも価値のあることだからね。おや、まだよく分からないという顔をしているね。それじゃあ、僕が詳しく説明してあげるとしよう。
今回のこのCDは、『PS2版クリムゾン・エンパイア』につく予約特典CDなんだよ。ふふ、僕たちの活躍の場がPS2へと広がったのも、ひとえに君の献身的な努力の賜物かな。
ところで、このままドラマ本編に進む前に、注意点が二つあるんだ」
ブライアン 「注意点……、ですか?」
エドワルド 「ああ、その通り。注意点だ」
ランビュール「まあ、薬作りにしても何にしても守るべきルールがありますからね……」
エドワルド 「そうだね、周囲に悪臭をまきちらかさない、とかね。ふふ」
ランビュール「う……」
エドワルド 「さて、ここで確認しておきたいんだけど、君はもうこのゲーム本編をプレイし終わったのかな。もしそうじゃないのなら、一度このCDを聞くのを止めたほうがいいと思うよ。先刻も言ったとおり、このドラマCDは、『PS2版クリムゾン・エンパイア』の予約特典なんだよ。だから、本編の内容についてのネタバレを含んでいる可能性がある」
ランビュール「たとえば、僕が××××であることについてだとか……」
ブライアン 「私が××××であることについても、だね」
エドワルド 「そう、僕が実は人間ではなく、光の妖精であることについてもだよ。本物のエドワルド王子と幼い頃に取替えられ……」
ランビュール「そのあたりになると、デタラメだって分かりやすすぎますよ、エドワルド様……」
エドワルド 「え~?そうとも限らないよ……?」
ブライアン 「……という具合に、君が本編をプレイせずにこのCDを聞いていた場合、エドワルド様の洒落にならないような冗談と、真実の見極めがつかないというようなことがありそうだからね。きちんとゲームをプレイしてから聴いてほしい」
エドワルド 「ふふ、分からないよ?もしかしたらPS2版では、大胆なキャラ変更が行われているかもしれない。君自身の目で、僕がどんな人間であるのかを確認してから、このCDを聞くようにしてほしいな」
ランビュール「注意点一つ目については、充分理解いたしました。キャラ的に……騙すのが好きな方がいらっしゃるとマズイですよね」
ブライアン 「ええ、本当に。では注意点の二つ目を伺っても?」
エドワルド 「二つ目は……、僕らキャラクター同士の関係についてだね。このCDが予約特典CDだということは、最初に言ったとおり。つまりは企画ものだ」
ランビュール「ああ、そういうことですね。企画ものなので、あまり真にうけるな、という」
ブライアン 「そうだね。このCDは企画ものだから、その中で描かれる人間関係は本編とは若干異なっているかもしれない」
エドワルド 「二人が言ってくれた通りだよ。本編では仲が悪かったり、接点がなかったりするキャラクター同士が、このCDの中では仲良く言葉を交わしているかもしれない。だがそれは、このCDが企画ものだからなんだ。本編では描かれなかった真実の姿……、なんて大層なものではないことを理解していてほしい」
ランビュール「あくまで企画の中での一幕、と解釈してほしいわけですね」
ブライアン 「そう考えると、やはりゲーム本編をプレイしてから聞くというのは大事だね。さて、エドワルド様、注意事項は以上2点でよろしかったでしょうか」
エドワルド 「注意事項については、この二つだけだよ。後一つ、付け加えるならば……、そうだね。これは注意ではなくて、案内の類になると思うんだけれど。クインロゼのホームページには、ホームページでしか読めない限定コメントや企画、他にも情報が満載なんだ。時間があるときにでも、顔を出すようにしたらいい」
ブライアン 「PC版の移植ですからね。当時の企画など、色々と公開されているというわけです」
ランビュール「以上で、前説となる注意事項や案内は終了なわけですが……。う~ん」
ブライアン 「どうした、ランビュール?」
ランビュール「いえ……、今更なんですが。本来こういった雑事は、僕らがやるべきだったのではないかと……」
ブライアン 「あ。……そ、そういえば……っ!も、申し訳ございません、エドワルド様……!」
エドワルド 「ふふ、その分、本編で付き合ってもらうからいいんだよ。ほら、供をしてくれるんだろう?」
ランビュール「はい、お供いたします!」
ブライアン 「私も是非……!」
■PS2版クリムゾンエンパイア・予約特典ドラマCD 、後編へ進む