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アラビアンズ・ロスト

『PSP版・メーカー通販特典ドラマ ■PSP版・メーカー通販特典(後)』

本編(カーティス・ロベルト・スチュアート・シャーク)

● 場所(酒場)
【シャーク】
「この俺から商品を奪おうとは……。おまえら、いい度胸をしているな」■■
【カーティス】
「おやおや。褒めていただき、光栄ですよ」■■
【スチュアート】
「なんでも望みを叶えるマジックアイテムなど……、見逃すわけにはいかないだろう?」■■
【ロベルト】
「そんないかにもファンタジーなアイテム、面白そうだもんな~。俺も欲しい!」■■
【【【演出】】】・・・ゆっくりと近付いてゆく足音×3
【シャーク】
「くそ。三人がかりか……。卑怯だぞ……」■■
【カーティス】
「ふふ、これまたお褒めいただき……。手荒なことはされたくないでしょう?さあ、それを僕に渡してください」■■
【スチュアート】
「いや、私に、だ。実力行使されたくないだろう?」■■
【【【演出】】】・・・剣を構える音
【シャーク】
「応戦してえところだが……。いくら俺でも、おまえら三人を相手にするのは分が悪いな」■■
【カーティス】
「三人がかりじゃなく、僕一人でも充分なんですけどね。ほら、渡してくださいよ」■■
【シャーク】
「しかし、おまえらに渡したらとんでもねえことになりそうだからなあ……。一体、何を願う気なんだよ」■■
【カーティス】
「さて、何にしましょうねえ……。ふむ……、手に入れてから、ゆっくり考えるとします」■■
【シャーク】
「……渡したら、恐ろしいことにしかならなさそうだ」■■
【カーティス】
「ふふ、どうでしょう。それより、ほら。早くしてください」■■
【スチュアート】
「おい、そいつには渡すな。それは、私のものだ」■■
【ロベルト】
「いやいや。ここは一つ、俺が……」■■
【シャーク】
「ああ、くそ。これは本来、俺のものだっつうの……。おまえら、寄ってくるなよ。向こうに行け!」■■
【【【演出】】】・・・ランプが光る音
【シャーク】
「っ……!?な、なんだ?」■■
【ロベルト】
「ランプが、強い輝きを放って……、うわ!?」■■
【【【演出】】】・・・遠ざかってゆく足音×3
【ロベルト】
「う、うわ!?体が勝手に……」■■
【スチュアート】
「シャークから、離れてゆく……」■■
【カーティス】
「これも……、魔法のランプの力なんでしょうか?」■■
【シャーク】
「……あ、そうか。俺が、向こうに行けと言ったのが、願いとしてカウントされちまったのか……?」■■
【スチュアート】
「なんだと?そんなの、願いの無駄遣いではないか」■■
【ロベルト】
「あ~あ。貴重な使用回数を、こんなふうに減らしちまうなんて……、もったいない」■■
【カーティス】
「ドジですよねえ……」■■
【ロベルト】
「まったくだ。何やっているんだよ、おまえ~……。肝心なところでうっかりしているっつうか、なんつうか……」■■
【シャーク】
「う、うるせえな。おまえはちょっと黙っていろ!」■■
【【【演出】】】・・・ランプが光る音
【スチュアート】
「ん?また、ランプが光ったな……」■■
【ロベルト】
「っ……、~~~っ!」■■
【カーティス】
「……ん?どうかしたんですか?」■■
【ロベルト】
「~~~~~~っ!」■■
【スチュアート】
「なんだ?口をぱくぱくさせて……、まるで、声が出ないようだな」■■
【カーティス】
「出ないよう……、じゃなくて、出ないんじゃないですか?ランプの力のせいで」■■
【シャーク】
「しまった……!『ちょっと黙っていろ』って言ったのが、また願いとしてカウントされちまったのか!?」■■
【カーティス】
「はあ。これでまた一回、使用回数が減ってしまいましたね……」■■
【スチュアート】
「何をしているんだ、まったく……。無駄なことに使ってばかりじゃないか。使用回数がゼロになってしまう前に、早く私に渡せ」■■
【シャーク】
「渡したり、するかよ。こんなに便利で貴重なアイテム、他人にはやれねえ」■■
【スチュアート】
「ふん。では、やはり実力行使するしかないようだな……」■■
【【【演出】】】・・・剣を構える音
【カーティス】
「そのようですね……」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを投げる音
【シャーク】
「っ……。やる気か。三対一ってのは分が悪いが、おとなしくやられてやる気もねえぞ」■■
【【【演出】】】・・・剣を構える音
【カーティス】
「……待ってください、ランプを持ったまま戦う気ですか?一度置いたらどうです」■■
【シャーク】
「なんだ、ランプを置いて、戦闘で気を逸らしているうちに奪っちまおうって魂胆か?その手には乗らねえぞ」■■
【カーティス】
「いえ、そういうことではなく……」■■
【シャーク】
「おとなしく、このランプのことは諦めろよ。あんたも、そのナイフを捨てろ」■■
【【【演出】】】・・・ランプが光る音
【スチュアート】
「っ!また、ランプが光った……」■■
【カーティス】
「っ……、体が勝手に……」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを落とす音
【カーティス】
「ああ、ナイフが手から落ちてしまいました。……まあ、ナイフはこれ一本ではないですし、別にいいんですけど」■■
【シャーク】
「し、しまった。今も願いにカウントされちまったのか……!?くそ。言っただけで願いが叶っちまうってのは、意外と不便っつうか……、その気のないことまで、願いとして数えられちまうな」■■
【カーティス】
「だから、ランプを置けばいいと言ったのに。懲りない人ですよねえ、馬鹿なんでしょうか」■■
【スチュアート】
「貴重な使用回数を、無駄に減らして……。本当に、愚かだ」■■
【シャーク】
「うるせえ!ああ、くそ……。いっそランプでこいつらをどうにかしてやりてえが、せっかくの使用回数をこれ以上減らしたくねえな……。仕方ねえ、これは一旦置いておくとするか」■■
【【【演出】】】・・・コト、とランプをテーブルに置く音
【カーティス】
「ふふ……。これで、遠慮なくやれますね」■■
【スチュアート】
「そうだな……」■■
【カーティス】
「では、最後まで残っていた人が、ランプを手にするということで……」■■
【シャーク】
「ったく……。なんでそうなるんだよ。これは、俺が仕入れたアイテムだぜ?」■■
【カーティス】
「戦うのが嫌なら、ランプのことは諦めて、棄権してくれていいんですよ?僕も、本来タダ働きはしない主義ですので」■■
【シャーク】
「するわけねえだろ。何度も言うが、こんな貴重なアイテム、手放す気はねえ」■■
【カーティス】
「ふふ。交渉決裂のようですね……」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを構える音
【ロベルト】
「おいおい、待て待て。おまえら、ここがどこだか、分かっているのかよ」■■
【シャーク】
「……ん?なんだ、おまえ、声が出ないんじゃなかったのか?」■■
【ロベルト】
「ああ、誰かさんのせいでな。先刻から声が出なくて、困っていたんだが……、ようやく出るようになった」■■
【スチュアート】
「シャークが言ったのは、『ちょっと』黙っていろ、ということだったからな。少し時間が経って、喋れるようになったのかもしれん」■■
【ロベルト】
「は~、助かったぜ……。もし、一生黙っていろとか言われていたらと思うと……。危うく、口がきけなくなるところだった」■■
【カーティス】
「いっそそうなってくれれば、静かになってよかった気もしますが……」■■
【シャーク】
「それで?なんなんだよ、ロベルト」■■
【ロベルト】
「だから、あんたら、ここがどこだか分かっているのか?」■■
【スチュアート】
「どこって……、酒場だな」■■
【ロベルト】
「そうそう。周りに普通の客もいる、酒場だ」■■
【【【演出】】】・・・ざわざわと周囲の人々の声
【ロベルト】
「いくらギルカタールの酒場で、騒ぎには慣れているとはいえ……。こんなところで乱闘なんかしちゃあ、周囲に迷惑だろ?」■■
【シャーク】
「まともな言い分にも聞こえるが……、あんたが言うと胡散臭いっつうか、何か裏がありそうだな」■■
【カーティス】
「何を考えているんです?」■■
【ロベルト】
「いやいや!俺は別に、周囲の迷惑を考えているだけで……」■■
【スチュアート】
「怪しいな。何か企んでいるんじゃないか」■■
【ロベルト】
「企みなんて、とんでもない!だが、乱闘なんかよりももっと平和的な方法があるだろ?ここは一つ、カードで勝負っていうのはどうだ!?」■■
【【【演出】】】・・・カードを出す音
【シャーク】
「却下だ」■■
【カーティス】
「却下です」■■
【スチュアート】
「却下だな」■■
【ロベルト】
「なっ、なんでだよ!?」■■
【シャーク】
「そんなの、おまえが有利すぎるからに決まっているだろうが」■■
【カーティス】
「どうせ、イカサマをするつもりなのでしょう?魂胆が見え見えですね」■■
【スチュアート】
「ふん。そんな見え透いた誘いに、乗るとでも思っているのか?」■■
【ロベルト】
「な、なんだよ。……皆、俺に勝てないからって、逃げるのか?」■■
【カーティス】
「これはまた、安い挑発ですね……」■■
【スチュアート】
「私は、そんな言葉には乗せられないぞ」■■
【ロベルト】
「なんだよ、おまえらノリ悪すぎるぜ……。でも、どっちにしろ、この場で戦闘ってわけにはいかないだろ?カードじゃなくてもいいから、うちのカジノのもんで、何か勝負すりゃあいいじゃねえか。すごいマジックアイテムを賭けた勝負なんて、燃えるぜ……」■■
【カーティス】
「あなたのカジノ、ねえ……。う~ん、ダーツなら、いいですよ。それなら、イカサマもしにくいですし、僕も得意ですから」■■
【シャーク】
「ああ、そうだな。それなら俺も、やってもいい」■■
【スチュアート】
「む……。まあ、イカサマがしにくくはあるが……。今度はおまえ達限定で有利なような」■■
【ロベルト】
「ダーツかあ~。俺は、ダーツはあんまり好きじゃないんだけどなあ」■■
【カーティス】
「嫌なら、やらなければいい。あなたは、魔法のランプは諦めるということでいいですね?そのほうが、僕としても都合がいい」■■
【スチュアート】
「ああ、そうだな。おまえは勝負から外れるということでいいな」■■
【ロベルト】
「よくねえよ!そんな面白いマジックアイテム、俺だってほしいっての!分かった、ダーツでいいって!」■■
【シャーク】
「なんにせよ、とりあえず、場所を変えるか」■■
【スチュアート】
「そうだな……、行くか」■■
【シャーク】
「おっと。ランプを忘れねえようにしないとな……」■■
【【【演出】】】・・・ランプを手に取る音
【カーティス】
「また、妙なことを口走って、無駄に使用回数を減らさないでくださいよ?」■■
【シャーク】
「分かっているって。それじゃあ、行くか」■■
【【【演出】】】・・・歩いてゆく足音×4
【【【時間経過】】】
●場所(街の中・移動中)
【【【演出】】】・・・歩く足音×4
【ロベルト】
「さて、そろそろカジノに着くが……、それにしても、すごいアイテムもあったもんだなあ」■■
【ロベルト】
「小説みたいな話だよな~。う~ん、すげえ……」■■
【カーティス】
「本当ですね。信じられないような話ですが……現実は小説よりも奇なりといいますから」■■
【スチュアート】
「魔法のランプなど、ありがちで子供じみてはいるがな……」■■
【ロベルト】
「なんでも願いが叶うランプなんて、夢があっていいじゃねえか」■■
【カーティス】
「あなたって、本当にロマンチストですよねえ……」■■
【ロベルト】
「な、なんだよ……。いいだろ!ロマンがあって何が悪い!」■■
【スチュアート】
「やはり、子供のような言い分だな……。だが、子供っぽい奴なら、確かに手放しで喜びそうだ。……あいつは、このマジックアイテムを見たらなんというのだろうな。自分で使うのもいいが、あいつに見せてやりたい気も……」■■
【ロベルト】
「……ん?何か言ったか?」■■
【スチュアート】
「……いや。別に、なんでもない」■■
【ロベルト】
「嘘だ、今、よく分からねえけど、何かこう……気になること言っただろ?言えよ」■■
【スチュアート】
「別に、おまえに言ったわけではなく、独り言のようなものだ。気にするな」■■
【カーティス】
「そう言われると、逆に気になりますよねえ……。なんだったんです?」■■
【ロベルト】
「そうだよ、素直に白状しろっての~」■■
【【【演出】】】・・・肩を掴む音
【スチュアート】
「だ、だからなんでもないと……。おい、肩から手を離せ!」■■
【【【演出】】】・・・カーティス、ロベルト、スチュアートがやいやい言い合う声
【シャーク】
「あいつら、話に夢中になっているな。今なら、逃げられるか……?せっかくのマジックアイテム、わざわざ渡してやるかよ……」■■
【【【演出】】】・・・歩き出そうとする音
【カーティス】
「……おやおや。どこに行くんですか?」■■
【シャーク】
「っ……。気付かれちまったか」■■
【カーティス】
「僕が、気付かないわけがないでしょう?ランプを持って逃げようとしても無駄ですよ」■■
【シャーク】
「逃げようって……、もともと、このアイテムは俺のものなんだぞ?おまえらが、横取りしようとしているだけじゃねえか」■■
【カーティス】
「そうですよ、ギルカタールらしいでしょう。横取りなんて、されるほうが悪いんです」■■
【ロベルト】
「そうそう、ランプを賭けた勝負……、賭けから逃げだすなんて、男らしくねえぞ、シャーク」■■
【シャーク】
「だから、逃げるも何も、もとからこれは俺のもんだっつうの……」■■
【スチュアート】
「元はおまえのものでも、これから私のものとなる。……こいつにランプを持たせておくのは、危険だな。また、こっそり逃げ出しそうだ」■■
【ロベルト】
「よし、貸せよ!俺が持っていてやるって」■■
【【【演出】】】・・・ランプを奪う音
【シャーク】
「ああ、こら、何するんだよ」■■
【ロベルト】
「まあまあ。持っているだけだって。おまえが逃げ出さないようにと……、また、変なことで使用回数を減らしてしまわないようにな」■■
【スチュアート】
「おい、ロベルト、そう言っておまえもランプを持ち逃げするつもりなんじゃないのか?信用ならんぞ。ランプは、私が持っていてやる」■■
【カーティス】
「いえいえ。僕が持ちましょう」■■
【ロベルト】
「おまえらに持たせるほうが、危険だ。ここは俺に任せろって……」■■
【スチュアート】
「そんなことを言って、どうせ勝手に願いごとをするつもりだろう。おまえには任せられん」■■
【ロベルト】
「そんな卑怯なことはしねえって。少しくらい、俺を信じろよ」■■
【【【演出】】】・・・ランプが光る音
【スチュアート】
「っ……!」■■
【カーティス】
「おや。また、ランプが光りましたね……」■■
【ロベルト】
「げ!やっちまったか……?」■■
【スチュアート】
「……ロベルト。私は、おまえを信じよう」■■
【ロベルト】
「は?な……、なんだって?」■■
【スチュアート】
「私は、おまえのことを信じると言っているんだ」■■
【ロベルト】
「な!?い、いやいや。そんな、きらきらした信頼の目で見られても、それはそれで気持ちが悪いんだが……」■■
【スチュアート】
「気持ち悪がられても、いい。私はおまえのことを信じているぞ……、ロベルト」■■
【【【演出】】】・・・きらきらきら~
【ロベルト】
「っ……。う、うわ、鳥肌が……」■■
【カーティス】
「どうやら、またランプの力のようですね。『信じろ』と言ったのが、願いとしてカウントされてしまったのでしょう。それにしても、気味が悪いです」■■
【シャーク】
「一種の催眠状態だな……。それにしても、人の心まで操れるとは、かなり強力……つうか禁呪のマジックアイテムじゃないのか、これ」■■
【カーティス】
「人の心も操れる、か。それじゃあ……、これを使えば、プリンセスの心も……」■■
【ロベルト】
「って、おい、何を考えているんだよ!おまえ、プリンセスに何かするつもりなんじゃないだろうな。ランプの力を使って、おかしなことを命令したり……。そんなことしやがったら、俺が許さねえぞ」■■
【カーティス】
「失礼ですね、しませんよ。それに、彼女にだったら、命令するよりされるほうが好みです」■■
【ロベルト】
「いや、そんなおまえの好みはどうでもいい!」■■
【カーティス】
「どうでもいいなら、早くカジノに行きましょう。いつまでも、こんな無駄な会話を続けていたくないです。早いところ決着をつけましょう」■■
【シャーク】
「おいおい、ずいぶんと、やる気だな」■■
【カーティス】
「どうせ、僕が勝ちますからね。なんなら、今この場で、あなた達を殺してもいいんですが……。まあ、今日はどうせ暇ですし、付き合って差し上げますよ」■■
【ロベルト】
「うわ、自信に溢れかえった、嫌な言い方……」■■
【カーティス】
「ふふ、僕が嫌な奴でないわけがないでしょう?……さあ、カジノに行きましょう。ランプを賭けて、退屈しのぎのゲームです」■■
【ロベルト】
「……っけ、賭けっつったらギャンブラーとしては乗らないわけにはいかねえな」■■
【カーティス】
「というか、そもそもあなたが言い出したことですから」■■
【【【演出】】】・・・歩いてゆく足音
【【【時間経過】】】
●場所(カジノ)
【【【演出】】】・・・カジノの中の雰囲気(人の声やスロットの音など)
【シャーク】
「着いたな……」■■
【カーティス】
「さて……。それじゃあ、さっそくやりましょうか?」■■
【ロベルト】
「なんだ、気が早いな」■■
【カーティス】
「こんなことは、早いところすませてしまったほうがいいでしょう?どうせ、結果は見えていますしね。あなた達が負け、屈辱を味わうという結果が」■■
【スチュアート】
「逆だろう?屈辱を味わうのは、おまえのほうだ。……さて、無駄な時間をとられたくはないし、始めるとするか」■■
【カーティス】
「ええ。では、ダーツを開始しましょう」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを構える音
【ロベルト】
「って、ちょっと待て!それ、ダーツじゃなくてナイフだろ」■■
【カーティス】
「はい。僕が、普段仕事で使用しているナイフです」■■
【ロベルト】
「おまえ、ダーツなんて口先だけで、やっぱりやり合おうって魂胆かよ……」■■
【カーティス】
「いえ、ダーツでいいですよ?でも、こっちのほうが使い慣れているし、投げやすいんですよね~」■■
【シャーク】
「なんだよ、投げるのは、ダーツの矢じゃなくてもいいのか?だったら、俺だってメスのほうがいいぜ。こっちのほうが手に馴染む」■■
【ロベルト】
「駄目に決まっているだろ、そんなの!ダーツなんだから、ちゃんとダーツの矢を投げろっての」■■
【カーティス】
「はあ……、仕方ない。まあ、普通の矢でも十分ですからね……、それ」■■
【【【演出】】】・・・矢を投げる音
【【【演出】】】・・・矢が的に刺さる音
【シャーク】
「む……、見事に的の中心に刺さったな」■■
【ロベルト】
「まあ、さすがと言うべきか……。おまえ、ダーツ、得意だもんな」■■
【カーティス】
「このくらい、当然でしょう。こんなの、外す人のほうがどうかしていますよ」■■
【スチュアート】
「ふん、いい気になるなよ。そのくらい、私にも出来る」■■
【【【演出】】】・・・矢を投げる音
【【【演出】】】・・・矢が的に刺さる音
【ロベルト】
「おお。スチュアートのほうも、的の中心に当たったな」■■
【シャーク】
「やるじゃねえか。だが、俺だって、負けねえぞ」■■
【【【演出】】】・・・矢を投げる音
【【【演出】】】・・・矢が的に刺さる音
【ロベルト】
「おーおー、皆、命中率がいいこと。俺は、ダーツよりカードのほうが好きなんだけどなあ……。だけど、やるからには負けねえぜ?」■■
【【【演出】】】・・・矢を投げる音
【【【演出】】】・・・矢が的に刺さる音
【【【演出】】】・・・しばらく矢を投げたり刺さったりする音
【スチュアート】
「しかし……。冷静になってみると、何をしているんだろうな。ランプを賭けて、ダーツで勝負など……。普通に斬り合ったほうが早い気もするぞ」■■
【ロベルト】
「いいじゃねえか。俺らが全員でやり合ったりしたら、収拾のつかないことになりそうだしよ」■■
【カーティス】
「ところで……。あなた達は、魔法のランプを手に入れたら、何を願うつもりなんですか?」■■
【ロベルト】
「ん?う~ん、そうだなあ……。そりゃあやっぱり、すごいスリルが欲しいとか、ロマンス小説みたいな経験がしてみたいとか……」■■
【カーティス】
「ロマンス小説みたいな経験、ですか。僕はそういった類の本は読まないので、それがどんなおぞましいものなのか、あまり想像も出来ませんが……」■■
【ロベルト】
「おぞましいってなんだよ、おぞましいって!ロマンス小説には、夢がい~っぱい詰まっているんだぜ?ドラゴンを倒してヒロインを助け出し、恋に落ちる……、とかな」■■
【カーティス】
「読んだことはありませんが、聞いただけでもベタベタなストーリー……、おぞましいです」■■
【ロベルト】
「ベタの何が悪いんだよ。いいだろ、ヒロイン……、プリンセスと、甘い恋に落ちる……」■■
【スチュアート】
「……おい。おまえ、アイリーンに関することでおかしなことを願ったりしたら、承知しないぞ」■■
【ロベルト】
「なんだよ。普段はプリンセスのことなんてどうでもいいみたいな顔をしておいて、とられそうになったら心配するのか」■■
【スチュアート】
「心配などしていない。だが、アイリーンはプリンセスだ。あいつの恋愛には、国王の座……国の未来もかかってくる。私は、あいつには興味ないが、王座には興味があるんだ」■■
【カーティス】
「おや、それは僕と真逆ですね。僕は、王座には興味ありませんけど……、プリンセスには、興味があります。王座をあなたに渡せば、プリンセスのことは好きにしていいんですね?」■■
【スチュアート】
「……そんなことは、言っていない」■■
【カーティス】
「へえ……。興味のないふりをしているくせに干渉してくるなんて、苛立たしい人だ」■■
【スチュアート】
「少しくらいは、口出しさせてもらうさ。あいつと私は、仮にも、幼馴染だからな。あくまで、仮にも、だが」■■
【カーティス】
「幼馴染、ねえ……。本当に、目障りですね。彼女のことを、昔から知っているなんていうのも、気に入りません」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを投げる音
【スチュアート】
「っ……、何をする」■■
【カーティス】
「おっと、すみません。僕としたことが、うっかり手が滑ってナイフを投げてしまいました」■■
【スチュアート】
「……完全に、わざとだろう」■■
【カーティス】
「ふ……、ええ、わざと外してあげました。命中させなかったんですから、ありがたいと思ってください」■■
【スチュアート】
「ふん……。やはり、ダーツなど回りくどい真似をするのではなく、実力行使のほうがいいな」■■
【【【演出】】】・・・剣を構える音
【カーティス】
「そうですね。そのほうがてっとり早い」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを投げる音
【【【演出】】】・・・剣でナイフを弾く音
【【【演出】】】・・・ナイフを投げたり、剣をふったり戦闘の音
【ロベルト】
「って、おまえら、人のカジノで乱闘するなよ!やるなら外でやれ!」■■
【シャーク】
「よし、今ならあいつらは、戦闘に夢中だな。今度こそ、この隙に……」■■
【【【演出】】】・・・ランプをとる音
【ロベルト】
「……ん?あ、シャーク!おまえ、どさくさに紛れて、ランプを持って逃げ出そうとするとか、卑怯だぞ!」■■
【シャーク】
「くそ、気付かれたか……。カーティス=ナイルといい、目ざとい奴らばかりだな」■■
【スチュアート】
「おい、それは私のものだ。おまえには渡さない」■■
【【【演出】】】・・・剣を構える音
【カーティス】
「いいえ、僕のものですよ。さあ、おとなしくこちらに渡してください」■■
【【【演出】】】・・・ナイフを投げる音
【シャーク】
「うわ……、こら、おまえら、何しやがる。やめろ!」■■
【【【演出】】】・・・ランプが光る音
【ロベルト】
「あ。ランプが光って……」■■
【シャーク】
「しまった!また、やっちまったか……」■■
【ロベルト】
「って、待て。カウントすると……、今ので、使用回数がゼロになっちまったんじゃないのか!?」■■
【シャーク】
「確か、そのはずだな……。もう、使えねえのか?」■■
【【【演出】】】・・・ランプから、強い光が出る音
【ロベルト】
「なんだ……?ランプから、強い光が……」■■
【シャーク】
「どうなっているんだ……?」■■
【【【演出】】】・・・光が強くなってゆく音
【スチュアート】
「光が、どんどん強くなってゆくな……」■■
【【【演出】】】・・・光が強くなってゆく音
【【【演出】】】・・・ど~ん、と爆発音
【ロベルト】
「……っ!?げほ、げほげほっ」■■
【スチュアート】
「な、なんだこれは……!」■■
【カーティス】
「ランプが爆発して……、消滅した?」■■
【シャーク】
「みたいだな……、跡方もなく、消えちまった。使用回数がゼロになると、自動的に爆発して消滅する仕組みだったようだ。なくなり方まで凝ってるな、高く売れただろうに惜しい……」■■
【スチュアート】
「く……。あんな貴重なマジックアイテムを、ろくな願いもせず使い切ってしまうとは、なんと間抜けな……」■■
【ロベルト】
「……あー。なんだか、最後まで御伽噺みたいだな」■■
【シャーク】
「ああ?御伽噺みたいって、どこがだよ。ハッピーエンドってわけでもねえだろ」■■
【ロベルト】
「欲が深すぎると自滅する……、って、童話の教訓としては、ありがちだろ?」■■
【スチュアート】
「ギルカタールでは、そんな教訓はありがちでもないが……。他所の国の童話としてなら、ベタなのかもしれんな」■■
【カーティス】
「教訓など馬鹿馬鹿しいですし、受け入れるつもりはありません。……ですが、今回のランプに関しては、骨折り損だったようですね」■■
【シャーク】
「……はあ。出来ることなら、今日の無駄な時間を返してほしいぜ」■■
【ロベルト】
「願ったところで、ランプはもうない……。やっぱり教訓めいた終わり方じゃないか」■■
【【【時間経過】】】