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クローバーの国のアリス

『PS2版・特典ドラマ ■PS2版・特典ドラマ(前)』

「PS2版クローバーの国のアリス特典CD」用
ドラマ台本
            スタッフ・声優用

QuinRose

原作・脚本 五月攻
編集・音楽 鞠

ブラッド=デュプレ     CV:小西克幸
トゥイードル=ディー&ダム CV:福山潤
ナイトメア CV:杉田智和
グレイ=リングマーク    CV:中井和哉
ボリス=エレイ       CV:杉山紀彰
ピアス=ヴィリエ      CV:保志総一郎










1:前置き(双子・ボリス・ナイトメア)

ディー  「ようこそ、お姉さん! やっと来てくれたね!」
ダム   「僕ら、お姉さんが来てくれるのをずっと待っていたんだよ?」
ディー  「うんうん、すごく待ったよね、兄弟」
ダム   「それもこれも、なかなか僕らに出番が回ってこなかったせいだよね、兄弟」
ディー  「そうそう、それもこれもあれも、出番不足のせいだよ、兄弟!今までにも、特典のドラマCDはたくさんあったのに……。いつも大人たちが出しゃばって、僕らが活躍する余地がなかったよね」
ダム   「目立ちたがりやな大人ばかりで嫌になるよね。こういうときこそ子供に花を持たせるべきだよ」
ナイトメア「……おい」
ディー  「僕もそう思うよ、兄弟。子供に経験を積ませてこそ、いい大人っていうものだよね」
ダム   「だいたい、毎回ボスが出ているのがおかしいよ。面倒くさがりやのくせに、お姉さんに会えるときだけ張りきっちゃってさあ」
ディー  「自分はいそいそと出掛けておいて、僕らには『大人しく仕事をしていなさい』、だもんね。堪らないよ」
ナイトメア「……おい」
ダム   「そもそも、どうしてボスにオファーが行くのかが分からないよね。確かにボスは女の人に人気があるかもしれないけど……、将来性のことを考えたら僕らのほうがお得だよ。世の中には青田刈りなんて素敵な言葉もあるんだし」
ディー  「うんうん、僕もそう思うよ、兄弟。普段は首やら何やら刈るほうだけど、お姉さんになら刈られちゃっても嬉しいよね」
ダム   「うんうん、嬉しいよ兄弟。お姉さんを案内する役割なら、ギャラだって兄弟と合わせて一人分で我慢するのに……」
ナイトメア「おいっ」
ディー  「僕だって、休みが潰れても我慢するよ。お姉さんに会えるなら、一生懸命頑張るのに……」
ナイトメア「いいかげんに、私の話を……っ」
●効果音(ガチャ、と扉の開く音)
●効果音(ゴンッとぶつかる音)
ナイトメア「いだっ!?」
ボリス  「あーあ、心配になって来てみれば……。何やってんだよ、おまえら」
ダム   「……ボリス?」
ディー  「え?ちょっと、なんでボリスが来るのさ?」
ダム   「そうだよ、今回は僕らの出番なんだよ? ボリスの出番なんかないよ!」
ボリス  「ないってことはないだろ? こうして呼ばれてるんだから。ちゃんとドラマ本編のほうにだって……」
ディー  「だったら、ドラマ本編までは引っ込んでなよ!」
ダム   「僕らとお姉さんの邪魔をするなよ!」
ボリス  「邪魔も何も……。俺が邪魔して困るような話はしてなかっただろ?」
ディー  「これからするところだったんだよ。どうしても邪魔するっていうなら……」
●効果音(ちゃきっと斧を構える音)
ダム   「容赦しないよ……?」
ボリス  「わ、待てって! 武器を構えんなよ!?」
ディー  「問答無用! さっさと帰れよっ」
ダム   「そうだよ! ようやく僕らにも前説の出番が回ってきたんだから……!」
ボリス  「くそっ、いつもなら相手してやるとこだけど……ここでやったらアリスが危ないだろ!? だいたい、おまえらに前説がまわってこなかったのは、今みたいに二人揃うと話が自己完結して、ちっとも進まないからだろーが! アリスだって困ってるぜ!?」
ダム   「え……っ!? うそ! お、お姉さん、困ってたの!?」
ディー  「え~???ご、ごめんねお姉さん! でも僕ら、悪気はなくて……」
ダム   「うん、子供のすることだよ。お姉さんなら許してくれるよね?」
ディー  「僕ら罪のない子供だもんね。優しいお姉さんは怒ったり僕らを嫌いになったりしないよね? 謝ったらちゃんと許してくれるよね? だって僕ら子供だもん」
ダム   「そう。なんたって、いたいけな子供」
ボリス  「……相変わらず子供を武器にするなあ、おまえら」
ディー  「だって僕らは子供だからね」
ダム   「無邪気な子供だよ」
ボリス  「そんなこと言って今回おまえら大人に……」
ナイトメア「~~~~っおい!! いい加減に、私の話を、聞けっ!!」
●効果音(バンっと机を叩く音)
ボリス  「……あれ? 夢魔さん? ……なんで夢魔さんがここにいんの? ていうか、後頭部抑えて涙目でどうしたの?」
ナイトメア「なんで!? なんでだと!? 私はずうっとここにいた! チェシャ猫が来るよりも前からここにいたぞっ!! そして頭を抱えているのはチェシャ猫っ! お前が開けたドアが私の頭を強打したからだ!!」
ボリス  「え? まじで? 全然気づかなかったや、ごめんね、夢魔さん」
ディー  「しょうがないよボリス、芋虫の存在感が無さすぎるんだ」
ダム   「僕らだって全然気づかなかったもんね。っていうか、本当にいた?」
ナイトメア「いたとも!!!」
ディー  「まあ芋虫のことなんかどうでもいいしね。興味ないよ」
ダム   「そうだね、兄弟。興味のないものを見たり聞いたりする必要はないよ」
ナイトメア「人の存在を無駄なもののように言うな! 無視するんじゃないっ! 私は偉いんだぞ!? 大体、私だって今回の案内役として呼ばれてきたというのに、どうしてさも当然のようにおまえ達が場を仕切っているんだ!!」
ディー  「……呼ばれた?」
ダム   「ええ? じゃあ、僕らだけじゃないってこと!?」
ナイトメア「当然だろう? なんて言ったって、私はこのクローバーの国の領主だ。アリスを案内する役なら、私が相応しいに決まっているじゃないか」
ディー  「おまえがお姉さんに相応しいわけないだろ!? 思い上がりも大概にしておけよ、芋虫!」
ダム   「そうだそうだ、トカゲさんがいなきゃ何もできない芋虫のくせに……!」
ナイトメア「芋虫芋虫言うなっ!! 私は芋虫じゃない、蓑虫だっ!!」
ディー  「どっちにしたって虫じゃないか!」
ダム   「お姉さんは虫なんか好きじゃないよっ」
ナイトメア「私は蓑虫であって、虫じゃないっ!!」
ディー  「虫じゃない蓑虫ってなんだよ!?」
ダム   「馬鹿じゃないの!? 蓑虫は虫に決まってるだろ、芋虫!」
ナイトメア「だから、誰が芋虫だっ!!」
ボリス  「こいつらもそうだけど、夢魔さんも話が進まないよね……。はあ……トカゲさんに頼まれた意味がよく分かったよ」
ナイトメア「む? グレイに頼まれただと?」
ボリス  「うん。今回は自分が仕事で行けないから、かわりにサポートしてほしいってさ。はい、これ、トカゲさんからのお届け物」
●効果音(ぺらっと紙の立てる音)
ナイトメア「……む? なんだ、この紙は」
ボリス  「カンペだって言ってたけど……」
ナイトメア「なっ、カンペだと!? そ、そんなもの、私には必要ないぞっ!?」
ボリス  「え~……?でも、それなしじゃ、いつも駄目駄目らしいじゃない」
ナイトメア「う!?」
ボリス  「会合でも、カンペなしじゃ、う~とかあ~とかしか出てこないって聞いたよ?」
ディー  「うわー、かっこ悪ーい……」
ダム   「うん、情けないよね……。なんだか、哀れになってきた」
ナイトメア「しみじみ言うなっ! 大体、なんなんだ今回は!? 人数が多すぎるだろうっ!?」
ボリス  「まあ、そうだよね……。前説に四人も必要ないだろ」
ディー  「マイクは三つだけどね」
ダム   「それは禁句だよ、兄弟」
ナイトメア「そうだぞ、前説など、私一人で充分だ!マイクも一本で充分! 何せ私は、このクローバーの国の領主で……」
ディー  「あっ、抜け駆けするなよ、芋虫っ!」
ダム   「大体、おまえはこの前も前説に出てただろ!?」
ナイトメア「この前……というと、ああ、PSP版『ハートの国のアリス』が発売されたときのことか?」
ボリス  「『ハートの国のアリス』っていうのは、この特典CDがついてる『クローバーの国のアリス』の前作に当たるんだよね」
ディー  「まとめてアリスシリーズって言っているらしいけど……。一作目の『ハートの国のアリス』のほうは、大分前にPS2版も出てるよね」
ダム   「うんうん。で、少し前に、PSP版も発売されたんだよね。ボスが早速手に入れてたみたいだけど、僕らにはちっとも貸してくれなくて……。ケチな大人って、嫌だよね」
ナイトメア「あ、あれは……私がグレイから手に入れたものを、あいつが無理やり……。ゴホン、まあいい。過ぎたことだ。何はさておき、この『クローバーの国のアリス』は、『ハートの国のアリス』の続編。いないとは思うが、前作をやったことがない人はPS2版やPSP版、もしくはPC版でもリメイクで『アニバーサリーの国のアリス』というボリュームアップ版が出ているから、どれかを買って、先にそちらからやるように」
ボリス  「まあ、一応、『クローバーの国のアリス』からでも、やってやれないことはないけどね」
ナイトメア「え~……、それからだなあ……」
ボリス  「……カンペ、見るならちゃんと見たら? 夢魔さん」
ディー  「そうだよ、もうおまえが情けないのなんて、今更隠しても無駄だし」
ダム   「そうそう。堂々と見れば?」
ナイトメア「う、うるさいうるさいっ! こんなものは要らないんだ!!」
●効果音(ぐしゃぐしゃっと紙を握りつぶす音)
ボリス  「あ~……。せっかく持ってきたのに……」
ディー  「うわー……。トカゲさんも報われないね、兄弟」
ダム   「いっそハートのときみたいに、芋虫が夢の中から出てこなければよかったと思ってるんじゃないかな」
ナイトメア「そんなわけがあるか! 私は尊敬されている上司なんだぞ!? 第一、私を夢から引き摺り出したのはグレイだ!」
ボリス  「尊敬される上司は、夢の中に引き篭もんないよ……」
ナイトメア「うっ!」
ディー  「何はともあれ、もともとはPCゲームだったアリスシリーズがここまでこれたのは、お姉さんのおかげだよね、兄弟。お姉さんが貴重な時間を潰して僕らに会いに来てくれたおかげだよ」
ダム   「うんうん。お姉さんが大事なお金を注ぎ込んでくれたからだよね。ありがとう、お姉さん」
ボリス  「おまえらのお礼って、いまいちお礼に聞こえないんだけど……。ま、今回『クローバーの国のアリス』がこうやってPS2に移植されたのも、アリスが辛抱強く待っていてくれたからだよね。ありがと!」
ディー  「移植の要望自体は、かなり前からたくさん来てたんだけど……」
ダム   「やっぱりPCゲームが最優先だし、充分に時間をおいて~とかあれやこれやいろいろと大人の事情が……」
●効果音(ぐにゃーん、と音が歪む、夢っぽい効果)
●夢の中に場面転換
ナイトメア「おいおいおい、何を言う気だ、何を! ふう、まったく、気が抜けない……」
ディー  「あっ、僕らの邪魔をするなよ!」
ダム   「そうだよ、芋虫のくせに……」
●効果音(ちゃきっと斧を構える音)
ダム   「……斬っちゃうよ?」
ディー  「急に夢に引き込むなんて、何を考えてるのさ!」
●ぎゃあぎゃあと口論する3人(バックで小さく聞こえる、ここから)※アドリブでお願い致します
ボリス  「あーもう……ごめんね? アリス。後は俺が説明するから、ちょっと聞いててよ。このCDは、先刻言った通り、PS2版『クローバーの国のアリス』についてる特典なんだ。ゲームのネタバレもあるから、出来ればゲームをプレイしてから聞いてほしいな。あと、聞いてくれてる時点で分かってると思うけど、クローバーはハートの続編。『ハートの国のアリス』をやったことがなくても、『クローバーの国のアリス』は一応プレイできると思うけど……、ハートのほうをまだやったことがなかったら、出来ればそっちも手にとってみてよ」
●ぎゃあぎゃあと口論する3人(バックで小さく聞こえる、ここまで)
ナイトメア「うむ、そうだな。せっかくなら、私と君の出会いを最初から堪能してもらいたい。ふふ、私のファンなら、当然ハートのほうはプレイ済みだと思うけどね……」
ディー  「芋虫に、ファンなんているの?」
ダム   「図々しいなあ、芋虫のくせに……」
ナイトメア「い、芋虫芋虫って……、人をなんだと……」
ディー  「っていうか、芋虫に関しては、ハートのときのほうがマシだったってお姉さんには思われてるんじゃない?」
ダム   「うんうん、きっとそうだよね……。夢の中だけで終わっておけば、フィルター効果でまだマシに見えたのに」
ナイトメア「なっ、何を言うっ!? そんなことは……そ、そんなことはないだろう? 私と現実で会えて、君も嬉しいはずだ、アリス!」
ディー  「それよりも、お姉さんは僕らの変化に喜んでくれてると思うな」
●双子、大人になる
ダム・大人「ふふ、僕もそう思うよ、兄弟。楽しませてあげるからね? お・ね・え・さ・ん」
ディー・大人「ふふふ。子供の僕らも大人の僕らも、両方を堪能させてあげるからね?」
ボリス  「む。いきなり変わるなよ!俺だって、この国でもあんたに会えてほっとしてるんだぜ? アリス。忘れないでよ?」
●効果音(ぐにゃーん、と音が歪む、夢っぽい効果)
ナイトメア「さて、それではさっそく、夢から覚めるとしよう。……やれやれ、今までにも何度か前説は経験したが、こんなに疲れたのは初めてだ。人数が多かったせいもあるが、やたらと揉めた気がする……」
ディー・大人「僕らだって、おまえと一緒なんか御免だよ!」
ダム・大人「ゲーム本編ではそれほど絡んでないのが救いだよね……」
ボリス  「ま、このCDは企画ものだからね。この場所は特別。今だけの付き合いってやつ?」
ナイトメア「やけにあっさりと言うな……。まあ、その通りなんだが」
ディー・大人ゲーム本編とは関係がないってことだよね」
ダム・大人「そう、これは特典ドラマで、企画もの。たとえば、犬猿の仲でも普通に会話をしてたり、仲がいいはずなのに険悪だったり……、そういうこともあるかもしれない。本編とは違う設定で進むこともあるから、注意してね?お姉さん」
ボリス  「このメンバーが集まってること自体、イレギュラーだしなあ」
ナイトメア「だが、おまえ達は実際に仲がいいんだろう?」
ディー・大人「……そうだね。悪くはないかな」
ダム・大人「うん、悪くはないよ」
ボリス  「おいおい、なんだよ、その言い方……」
ディー・大人「だって、今回はボリスに邪魔をされちゃったし……」
ダム・大人「そうだよ、せっかく僕らだけでお姉さんと話せるはずだったのに……」
●効果音(ちゃきっと斧を構える音)
ボリス  「俺に当たるなって! 大体、それを言うなら夢魔さんもだろ!?」
ナイトメア「!? な、何を……っ、私を巻き込むなっ!!」
ボリス  「だって、もとはと言えば夢魔さんがカンペを忘れてくから……」
ナイトメア「あんなものがなくたって、私はしっかりやり遂げただろう!」
ボリス  「どこが……。あんた、ほとんど説明してないだろ?」
ダム・大人「……ふう。とにかく、僕らとお姉さんの仲を邪魔したのは事実。どうせ夢の中なんだし……、いいよね?」
ディー・大人「うんうん。ボリスは、その尻尾だけで勘弁してあげるよ」
ボリス  「何が、いいよね?だよ!いいわけないだろ!?馬鹿言うなっ!誰が尻尾をやるか!」
ナイトメア「そうだぞ、暴力はいけないぞ、子供達。いや、今は大人か。なおさら、いけない。大体、夢なのは先刻までの話で、今は表に出てきているから、全員生身……ぎゃあああっ!?」
●効果音(ぶんっと斧を振る音)
ディー  「避けるなよ!」
ダム   「潔く当たれよ!」
ナイトメア「だっ、だから、今は全員生身だと言って……わわわわわわわっ!!?」
●効果音(じゃらっと銃を取りだす音)
ボリス  「チッ、やる気か!? かかってこいよ!」
ナイトメア「挑発するな、チェシャ猫! って、わわっわわわわっ、どわああっ!」
●効果音(ぶんぶんと斧を振る音)
●効果音(ぱんぱんっと銃を撃つ音)
●効果音(キィン、と斧で弾をはじいたりする音)
ナイトメア「ま、前説から銃撃戦だなんて、冗談じゃないぞ!!? 私は暴力は嫌いなんだ……って、ぎゃあああっ! グ、グレイ、助けろっ! 今すぐ助けてくれっ!!」
●効果音(ぶんぶんと斧を振る音)
●効果音(ぱんぱんっと銃を撃つ音)
●効果音(キィン、と斧で弾をはじいたりする音)
ナイトメア「こ、これだから、表の世界は嫌なんだ~~~~!!!」
●音がフェードアウトして終了

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