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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『エリオット=マーチ ■06話_2』

帽子屋屋敷・庭園(夜でお願いします)
庭園でお茶会をしていたが、気まぐれなブラッドは眠くなったと言って先に席を立った。■■
彼が夜に眠るとは思えないから、建前かもしれない。
テーブルには、私とエリオットだけが残る。■■
「ブラッドったら。
自分が言い出したくせに」■■
【エリオット】
「いいじゃねえか、眠くなったら寝りゃあいいんだ。
あんたも眠くなったのか、【主人公の名前】?」■■
「私は別に。
眠いのはあなたのほうじゃない、エリオット?」■■
私より数倍ハードに働いているウサギさんは、にんじん菓子をあらかた食べ終わり、ついで程度に紅茶を飲んでいる。■■
【エリオット】
「いや、俺も今は平気だ。
ブラッドとあんたが一緒だと盛り上がるから、眠気なんか吹き飛ぶぜ」■■
盛り上がっていたのだろうか。
私にとってはいつも通りのお茶会だった。■■
【エリオット】
「俺、思ったんだけどさ……」■■
★基本会話から引用↓
【エリオット】
「あんたとブラッドは似てるな。
二人にしか見えてねえもんがあるっつーかさ」■■
★基本会話から引用↑
「……へ?
どうしたのよ、いきなり?」■■
前にもエリオットにそう言われたことはある。■■
だが今はあのときよりももっと実感がこもっている口調だ。
しかも、「二人にしか見えていないものがある」ときた。■■
(え、なにそれ?
私とブラッドだけ見えているもの?)■■
そんなもの、あってほしくない。■■
「まさかまさか……」■■
どういう意味なのか微妙だが、とりあえず嬉しいとは思えなかった。■■
【エリオット】
「いや、似てるよ。
あんたらとずっと一緒にいる俺が言うんだから間違いねえ」■■
【エリオット】
「なんつーか、あんたとブラッドにだけ通じるもんっていうか、空気っていうかさ。
そういうのが間にあるのが分かるんだよ」■■
「エリオット……」■■
★基本会話から引用↓
【エリオット】
「……時々、俺だけはずされてるみてーで寂しくなるぜ……」■■
【エリオット】
「ブラッドとあんたが仲良くしてるのが嫌っつーわけじゃねえんだけど……。
置いていかれてるような……」■■
★基本会話から引用↑
エリオットは真剣に言っているようだ。
至って真面目な顔で、私を覗き込んでくる。■■
★基本会話から引用↓
【エリオット】
「……もしかして、俺って邪魔だったりするのか?」■■
★基本会話から引用↑
そんなわけがない。
答えるのも馬鹿らしい質問だが、彼は答えを待っている。■■
「何言っているのよ。
邪魔なわけがないでしょう」■■
即答すると、エリオットは安堵したように大きく肩を揺らす。■■
【エリオット】
「ほんとか?!
よかったぜ~」■■
「もしかして、あんたがブラッドのこと……って思ったら気が気じゃなかった」■■
「私がブラッドを……?」■■
(ないない。
突拍子もないことを考えるなー、こいつは)■■
【エリオット】
「俺はあんたもブラッドも大好きなんだ」■■
「そりゃ、もしそういうことがあるなら邪魔はしねえけど……。
できればあんたは誰のもんにもなってほしくねえ」■■
「心配しなくても、誰のものにもならないわよ」■■
そう答えると、エリオットは安心したように微笑んだ。■■
【【【時間経過】】】
帽子屋屋敷・エリオットの部屋
「ふあ……、眠い」■■
いつものように、エリオットの部屋で過ごす。■■
前の時間帯の仕事がわりとハードだったせいだろうか。
今回は、私のほうが睡魔に襲われていた。■■
二人でごろごろしているが、目を閉じればすぐにでも眠れそう。■■
【エリオット】
「眠いなら寝るか?
適当に起こしてやるぜ?」■■
「まさか。
いい、いい」■■
気遣いは不要と、胸の前で手を横に振る。
私より疲れているはずのエリオットを放置して眠れるわけがない。■■
(さすがの私もそこまで図々しくは……)■■
(…………)■■
(……気にするポイントがずれているような気もするな)■■
このウサギさんといると、色々な感覚が麻痺してくる。■■
【エリオット】
「なあ……、ちょっと手、貸してくれ」■■
「え?」■■
何をかと思えば、いきなりエリオットの手が伸びてきた。■■
手を掴まれて、手のひらをじろじろと見られる。
居心地が悪い。■■
(そういえば、前にもこうして私の手をじっと見ていたけど……)■■
「な、なんなの?」■■
エリオットはなかなか離してくれない。■■
「……手相でも見ているの?」■■
【エリオット】
「…………。
【主人公の名前】、あんたはお嬢様じゃないな……」■■
「…………。
だから、前からそう言っているじゃない」■■
「占いになってないわよ、それ」■■
【エリオット】
「俺に、占いなんて出来るわけがねえだろ」■■
「過去も未来もみるような力なんざ、俺にはない。
だが、手を見りゃ生活が見えてくるもんだ」■■
「あんたの手は……」■■
「……働いている手をしている」■■
「!!!!!」■■
ばっと、振り払おうとしたが、エリオットは離してくれない。
じっと手を見られ、どんどん顔に血が集まっていくのが分かる。■■
きっと、目に見えて赤くなっている。■■
「わ、分かっちゃうものなの……」■■
エリオットは頷き、私の手に視線を戻した。■■
【エリオット】
「これ……。
薄れちゃいるが、つぶれた肉刺の跡だろ」■■
「時間経過しているみたいだが、跡が残るってことは肉刺が治る前に上から又肉刺が出来るような無茶をしたせいだ」■■
「あ~~~……」■■
「それは……」■■
【エリオット】
「傷もうっすら残ってるな……。
力仕事してないと出来るようなものじゃない」■■
「…………」■■
姉なら誤魔化せても、働いている人間は騙しようがない。■■
「……洗濯とか雑巾がけとか、水仕事をさせてくれたら誤魔化せたのに。
そういう仕事はそこまで多くないから、手荒れもしないのよね」■■
使用人のアシスタントである私の仕事は、ころころと変わる。
同僚も気を遣ってくれているのか、汚れ仕事は比較的少ない。■■
夢の中なのに、手は荒れたままではいてくれなかった。■■
【エリオット】
「…………」■■
「あんたはいいとこのお嬢さんのはずだ。
……姉さんにこき使われているのか?」■■
「なによ、それ。
シンデレラ?」■■
茶化すが、エリオットは真剣だ。
誤魔化せない。■■
「誤魔化せたのにって言ったでしょう?
姉さんは知らない。隠しているの」■■
【エリオット】
「なんで……」■■
「私の年齢で働くことは珍しいことじゃないわ。
もう結婚している子だっている」■■
【エリオット】
「そんな必要ないだろう。
裕福な家なら結婚はあるかもしれないが、良家の娘を働かせるなんてありえない」■■
「だから、隠れて働いているのよ」■■
強く言ってから、後悔する。■■
エリオットは心配してくれているのだ。
彼は、いつだって分かりやすく感情を伝えてくれる。■■
「誰にも強要されていないわ。
私が働きたいからそうしているだけ」■■
「働くのは、悪くないものよ。
目的さえあれば、ね」■■
私の言葉はあまりたいした慰めにはならなかったようだ。
エリオットの顔はこわばっている。■■
【【【時間経過】】】
★全キャラ共通部分ここから↓
【【【時間経過】】】
ナイトメアの夢
「ここでは、死がとても軽いのね」■■
その意味が、ないもののように扱われる。■■
【ナイトメア】
「ああ。
ここでは、死ぬことにあまり意味がない」■■
ナイトメアは軽く答えた。
本当に意味がないと思っているのが、伝わってくる。■■
「死に意味がないなんて、おかしいわ」■■
【ナイトメア】
「君の世界では……」■■
「……悪夢は、大概が人の形をしているものだ。
だが、この世界では違う」■■
「どういうこと?」■■
【ナイトメア】
「絶対に逃げられないものが、悪夢なんだよ。
この世界では『死』は、そこまでの悪夢じゃない」■■
ここでは、死がとても軽い。■■
「…………」■■
【ナイトメア】
「まあ……、誰も彼もが死にたがっているわけではないさ……」■■
「私も、死のうと思ったりしたことはないぞ」■■
「【大】でも、あなたが一番死にそうな感じよ?【大】」■■
ナイトメアの顔色は、常に真っ青か真っ白だ。■■
【ナイトメア】
「…………」■■
「そこが問題なんだ……。
死のうとしていないのに、死にそうだ……」■■
「お、お大事に……」■■
【ナイトメア】
「ああ……。
ところで、【主人公の名前】……」■■
「何?
病院行く?」■■
【ナイトメア】
「いや、それほどのことでは……」■■
「……胃薬持っていないか?
吐血しそうだ……」■■
「…………」■■
「持っていない」■■
(吐血しそう……じゃない。
すでに血を吐いている……)■■
それに、胃薬で吐血は治らない……と思う。■■
【ナイトメア】
「そうなのか!?」■■
「……この世界の人って、馬鹿ばっかりなの?」■■
(病院行けよ)■■
【【【時間経過】】】
★全キャラ共通部分ここまで↑

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