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マザーグースの秘密の館

『ツェザーリ(学者)ルート ■ツェザーリ02』

■ 全問正解イベント2

【【【時間経過】】】
◆クイズ時と同じ背景。クイズ終了後に、そのままイベントに入ります。
【ツェザーリ】
「全問正解おめでとう、エリカ。
これで、君は残り8回クリアすればよくなったな」■■
「……うう。
遠いわよ」■■
(気休めにもならない……)■■
【ツェザーリ】
「発想の転換をしたらいいじゃないか。
あと8回も、私の試験を受けることが出来る」■■
「【大】嬉しくない【大】」■■
発想の転換など、してもしなくても変わらない。■■
【ツェザーリ】
「では……、満点をとれば研究に付き合わせてやる。
どうだ、これなら嬉しいだろう?」■■
「【更に大】嬉しくない【更に大】」■■
【ツェザーリ】
「……ふう。
君は、向上心がないな」■■
「向上心がないというよりも、ただ家に帰りたいのよ……」■■
強制されて前向きでないのは、むしろ当然だろう。■■
【ツェザーリ】
「未知が既知になる楽しみを知らないとは……、君は可哀相な子だ。
私が、君にその楽しさを教えてやろう」■■
「いや、結構……」■■
「……ねえ。
あなた、人の話を聞いていないでしょう」■■
【ツェザーリ】
「聞いているとも。
聞いてはいるが、無視しているだけだ」■■
「もっと悪質じゃないっ」■■
【ツェザーリ】
「……ふむ。
私の講義を聞くのは嫌か?」■■
「嫌……」■■
「……じゃ、ないけど」■■
(ちょっと、面白いって思っちゃったのよね……)■■
学者だけあって発表するような機会も多いのか、ツェザーリの説明は悪くない。
興味がないものでも、彼の説明があると興味を惹かれてしまう。■■
【ツェザーリ】
「なら、構わないだろう。
今日は外に出る」■■
「いい息抜きになるだろう。
一緒に来ないか?」■■
「外に?」■■
(出てもいいの?)■■
「もちろん、ついていくわ!」■■
既に歩き出しているツェザーリの後を、慌てて追いかけた。■■
【【【時間経過】】】
◆活気溢れる下町の風景。
◆広場のような開けた場所には、たくさんの屋台が並んでいる。
その中央にはポセイドンの彫像が飾られた人工の泉がある。
※キャラ3(下働き)のイベント2、6、7、と共通の場所になります。
私達は、館から少し歩いたところにある下町までやってきていた。■■
【【【演出】】】・・・ざわざわと賑やかな喧騒
彼が足を止めたのは、その中でも一際人通りの賑やかな広場。
その中央には、見事な彫刻の施された噴水がある。■■
「こんなところで立ち止まって、どうしたの?」■■
【ツェザーリ】
「いや、あの噴水の彫刻はポセイドンだな、と思ってな。
少し、見てきてもいいか?」■■
「私は、あなたの研究とやらに付き合わされているだけだもの。
いくらでも見てきて」■■
【ツェザーリ】
「…………」■■
付き合わされているという言葉に軽く眉を跳ね上げたものの、彼は何も言わなかった。
無言ですたすたと、噴水に向う。■■
(待っていても、暇なだけだし……)■■
私も、彼の後を追った。■■
【ツェザーリ】
「…………」■■
「……わあ。
近くで見ると、結構な迫力ね」■■
c2_2

【ツェザーリ】
「荒ぶる海神をモチーフにしているからな。
迫力があって当然だ」■■
「荒ぶる海神?」■■
【ツェザーリ】
「ポセイドンのことだ。
海は一度荒れ出したら、人の力ではなんともし難いだろう?」■■
「そうね。
私の世界でも、荒れた海に対抗する手段なんてないもの」■■
【ツェザーリ】
「ポセイドンは、その手にした三叉の戟で、波を操るといわれている。
戟を上に向ければ荒波が起こり、下に向ければ波が鎮まる」■■
「その三叉の戟こそが、分かりやすい彼の特徴なのね?」■■
【ツェザーリ】
「ああ、そうだ。
その三叉の戟を持っているかいないかで、モチーフがポセイドンなのかどうかが確認できる」■■
「神話の中には、同じように海の要素を持った別の神もいるからな。
そういった存在と区別をつけるためにも、戟を手にしているかどうかは重要なポイントだ」■■
「三叉の戟を持っていればポセイドンで、持っていなかったら別の神なのね。
他にはどんな海の神様がいるの?」■■
【ツェザーリ】
「有名なのは……、トリトンだな。
ポセイドンの息子で、彼もまた海を操る神であり、同じく噴水や泉のモチーフとなりやすい」■■
「親子なら似ていそうね……」■■
絵画なら、年齢差ですぐ分かる。
だが、公園などの像は年若い者を老けさせたり、年老いた者を若く造ることも多い。■■
【ツェザーリ】
「トリトンが海を操るのに使うのは法螺貝だ。
そのアイテムの違いで区別をつければ間違えることはないだろう」■■
「ふむふむ。
ポセイドンやトリトンはそんな海の神様だから、水繋がりで噴水の彫像になっているの?」■■
【ツェザーリ】
「そうだな。
元々ギリシャ人は海上で活躍した民族だったから、水を連想しやすく、モチーフに使われやすいという面もある」■■
「面もあるということは、それだけじゃないの?」■■
【ツェザーリ】
「ああ。
ポセイドンに関してはもう一つエピソードがあってな」■■
「ポセイドンはかつて、ギリシャの都の支配権を、女神アテナと争ったと言われているんだ。
その際に、都の人々がより喜ぶものを贈ったほうを、支配者として認めると裁定で決まった」■■
「ポセイドンは、手にした三叉の戟を大地に打ちつけて塩水の泉をわきたたせ、アテナはオリーブの木を繁らせた」■■
「勝ったのは……、聞かなくても分かる気がするわ」■■
【ツェザーリ】
「アテナはポセイドンに勝ったと言われている。
だからギリシャの都には、アテネという地名がついているだろう?」■■
「そういう謂れがあったのね。
……というか、いくら泉でも塩水じゃ喜ばれないと、どうしてポセイドンは気付かなかったのかしら」■■
【ツェザーリ】
「……さて、その辺は神話だからな。
ちなみにアテネには、未だにポセイドンが生み出したといわれる塩水の泉が残っているらしいぞ」■■
「ふうん……、ここの泉はどうなの?
まさか、ここまで塩水ってことはないわよね?」■■
【ツェザーリ】
「ここの水はちゃんとした真水だ。
舐めてみるか?」■■
「……遠慮しておく」■■
【ツェザーリ】
「そういった神話があることから、ポセイドンは海だけでなく、地下水や泉を守護する神という説もあるな。
日常の中にあるモチーフから、神話を探っていくのも面白いと思わないか?」■■
「何気なく使っているもの、地名や、道具の背景に、古代の伝説が眠っているんだ。
私はそういったものを掘り起こし、探り当てていくことが楽しくて仕方がない」■■
「……暑苦しく語ってしまったな」■■
彼は、気恥ずかしそうだ。
だが、好きなものに熱が入るのは当然のこと。■■
「いえ、素敵だと思うわ。
ねえ……、今度、本を貸してくれない?」■■
【ツェザーリ】
「……読むのか?」■■
「【大】他の、何に使うのよ【大】」■■
【ツェザーリ】
「枕にでもするのかと。
……いや、冗談だ」■■
「冗談でよかったわ。
訂正するのが遅かったら、ただじゃすまなかったわよ」■■
【ツェザーリ】
「……ふ、恐ろしいことだな。
館に戻ったら、とっつきやすそうな本を選んであげよう」■■
【【【時間経過】】】