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マザーグースの秘密の館

『アーサー(貴族)ルート ■アーサー05』

■ 全問正解イベント5

【【【時間経過】】】
◆クイズ時と同じ背景。クイズ終了後に、そのままイベントに入ります。
【アーサー】
「全問正解おめでとう、エリカ。
君は、本当に素晴らしいね!目覚しい進歩だ」■■
「私について理解しようとしてくれている君に、ご褒美として付き合えるのが散歩ぐらいしかないのが心苦しいよ……」■■
「毎回言っているけれど……、帰してくれたらそれでいいのよ?」■■
【アーサー】
「ん、君の頑張りは認めるけれど、それはまだ早い。
……というわけで、今回も私のエスコートする散策で我慢しておくれ」■■
「まあ、アーサーさんとの散歩はそれはそれで楽しいからいいんだけどね?
……いつになったら、私は帰れるのかしら」■■
【アーサー】
「そうだねえ……。
今回で……、半分くらいかな」■■
「ってことは、あと5回も満点をとらなきゃいけないってこと!?」■■
【アーサー】
「もう半分、あと5回しかないというのが私の見方だけど……。
君とはものの見方が違うようで残念だ」■■
「あ……。
いえ、そんな、すぐに帰りたいっていうわけじゃ……」■■
【アーサー】
「……違うの?
もう、帰りたくない?」■■
「……っ」■■
「約束したでしょう!?
家にはちゃんと帰してよ!?」■■
【アーサー】
「ふ……。
そうだね、約束だ……」■■
「そ、そうよ……っ。
約束……」■■
【アーサー】
「ああ……、約束だからね。
私のことについて100問正解することができたら帰してあげるよ」■■
「それだけ知ってくれれば、私としても満足だ」■■
「あ、あと5回、満点をとればいいのね……」■■
「…………」■■
【アーサー】
「……?」■■
「あと5回は、アーサーさんと散歩出来るってことよね」■■
【アーサー】
「……っ!」■■
「そ……、そうとも。
先のことを思い煩うより、今を楽しもう」■■
【【【時間経過】】】
◆住宅街散歩中。
「……あ」■■
【アーサー】
「……どうかしたのかな?
何か、面白いものでも?」■■
「ううん、特に面白いものというわけでもないの。
ただ、甘い匂いがするなと思って」■■
【アーサー】
「ああ、薔薇の花だね。
あそこに薔薇の垣根があるから、そこから香りが漂っているんだろう」■■
「今咲いているのは蔓薔薇だね、ちょっと見に行ってみようか。
……エリカ、君は薔薇の種類はどれぐらいあるか知っているかな?」■■
「どれくらいかしら……。
色もたくさんあるし、ミニ薔薇、蔓薔薇、種類だって色々あるもの」■■
「百種類以上……、とか?」■■
私達は、そんなことを話しながら薔薇の垣根へと歩み寄った。■■
◆薔薇の垣根の傍で話をする二人。
◆格子上の垣根に、蔓薔薇を這わせてある。
【アーサー】
「そうだねえ、百種類以上といっても外れてはいない。
……何せ、二万種を超えているからね」■■
「に、二万種……!!」■■
【アーサー】
「薔薇の花の美しさに魅了された人々は、次々と種を掛け合わせ、より美しい薔薇を生み出していったんだよ」■■
「それにしても、二万って……」■■
【アーサー】
「それだけ、ガーデニングの盛んな国での人気が高かったということさ。
十九世紀の半ばには、もう三千種を越えていたというのだからすごいね」■■
「二世紀も前に、それだけたくさんの種類を……?
本当に、薔薇は人に愛された花なのね」■■
【アーサー】
「ああ、そうだとも。
その香りも、姿形も、人の目をひきつけてやまないんだ」■■
私達は、再びゆっくりと歩き出す。■■
「ああ、そういえば……。
この前、花言葉について少し教えてくれたでしょう?」■■
【アーサー】
「ああ、紫陽花の話をしたときのことだね。
それがどうかしたかな?」■■
「いえ……。
二万種以上もある薔薇の花にも、全て花言葉があるのかと思って」■■
【アーサー】
「はは、それはどんなに花が好きでも容易に覚えられそうもないな。
もしかしたら、一つ一つに花言葉が定められているのかもしれないけれど……」■■
「私の知る限りでは、色や形、咲き具合でそれぞれ意味があるだけだったと思うよ。
薔薇の花束ほど、意味ありげなものはない」■■
「贈る意味合いは、色だけじゃなくて、形や咲き具合まで関係してくるの?
なんだか怖くて、人に花を贈れなくなってしまいそうだわ」■■
思わぬ誤解を受けたり、深読みされては堪らない。■■
【アーサー】
「そこまで心配しなくても、と言いたいけれど……。
細かいことはともかく、贈る前に色についての確認くらいはしたほうがいい」■■
「黄色が『嫉妬』や『不貞』。
ダークレッドの薔薇の花言葉が、『死ぬまで憎む』だったりするから……」■■
「う……。
どろどろした贈り物ね……」■■
【アーサー】
「まあ、黄系や黒系の薔薇はどこにでも売っているものじゃないから、取り寄せでもしないと手に入らない。
間違えようもないけどね」■■
「珍しい薔薇か……。
そういえば、最近、レインボーの薔薇も見かけるわ」■■
【アーサー】
「あれは特殊な技術で、染色されているらしいよ」■■
「あ、やっぱり、そういう薔薇の種類っていうわけじゃないのね。
鮮やかすぎるし、天然では難しいと思っていたの」■■
【アーサー】
「白バラをベースに、茎の内部で道管がどの花弁につながっているのかを調べて、一枚ずつ違う色を吸い上げさせて作っているらしい」■■
「植物として、そういう薔薇の種類が作られたというわけではないけど、素晴らしい技術と情熱だと思うな」■■
「それだけ、魅了される花ってことね。
でも……、種類が多いだけに、詳しい人へ贈るときは注意がいりそう……」■■
「気付かず、まずいものを贈ってしまうかも……」■■
【アーサー】
「心配しなくても大丈夫だよ、贈る君の気持ちを、相手も理解してくれる。
大体、先刻言ったように、取り寄せない限りはそうそう悪い意味のものは花屋に置いていない」■■
「花を贈るときにはおそらく、花屋を利用するだろう?
君は、安心して彼らに任せておけばいいんだよ」■■
「そうね、売り物に変な意味のものはないだろうし……。
専門家に任せるのが一番よね」■■
「……アーサーさんは花屋さんに聞かなくてもよさそうなほど、詳しそうじゃない?
よく贈ったりするの?」■■
【アーサー】
「私……?
そうだね、付き合い上、無縁ではいられないな」■■
「季節の挨拶や、祝い事、招待状の返し、夜会のお礼……。
相手にもよるけれど、花を添えることは少なくないよ」■■
「……そ、そうか。
あなたって、貴族だものね……」■■
【アーサー】
「?」■■
「いえ……、なんでもないの」■■
(基準が違った……)■■
【アーサー】
「……煩わしい付き合い以外で花を贈るのは、男のロマンだけどね」■■
「……ミステリーサークル的な?」■■
【アーサー】
「ふふ……。
それとは種類の違う、ロマンだよ」■■
「…………」■■
「……エリカ」■■
「君には、小さめの白い薔薇を贈りたいな。
可愛らしく花束にして、ね」■■
「小さめの白い薔薇……?
それはどういう意味があるの?」■■
【アーサー】
「……おや、もう館の前についてしまったね。
名残惜しいが、散歩はおしまいのようだ」■■
「ちょっと、アーサーさん……!
誤魔化さないで、教えてちょうだいよ」■■
(そこで止めるのは、ずるすぎるわ)■■
【アーサー】
「……気になる?」■■
「すごく、ね」■■
気になって、眠れなくなりそうだ。■■
【アーサー】
「それじゃあ……、耳をかして」■■
【【【演出】】】・・・ぐっと引き寄せられる。
a5_1

腰に彼の腕が回ったと自覚したときには、もうそのすぐ傍らまで引き寄せられていた。

耳元に顔を寄せられる。■■
【アーサー】
「エリカ……。
君は……、恋をするには幼すぎる」■■
「……っ!!」■■
【アーサー】
「はは。
それが、君に贈る薔薇の花言葉だよ」■■
「こ、子供扱いして……っ!!」■■
【アーサー】
「ふうん?子供扱い……、しなくていいの?
大人の女性として扱われるということになるよ?」■■
「~~~~……っ!!」■■
【アーサー】
「薔薇には、蕾にも棘がある。
固く閉ざして……、そのままでいてもらいたいという意味もある」■■
「……傷ついても、触れたいという花でもあるけどね?」■■
(お、思わせぶりな……)■■
「…………」■■
【アーサー】
「……次の満点を楽しみにしているよ。
次にはもっと知り合えて……、同時に終わりも近付くけれど」■■
【【【時間経過】】】

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