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マザーグースの秘密の館

『アーサー(貴族)ルート ■アーサー02』

■ 全問正解イベント2

【【【時間経過】】】
◆クイズ時と同じ背景。クイズ終了後に、そのままイベントに入ります。
【アーサー】
「おめでとう、エリカ。
また全問正解だね!順調じゃないか!」■■
「……ええ、まあ」■■
【アーサー】
「これで私も、安心して君を散歩に誘えるよ。
息抜きに付き合ってくれるだろう?」■■
「……喜んで。
でも出来ることなら、家に帰してほしいわね」■■
【アーサー】
「はは、それにはまだ至らない。
君にはもっともっと、私のことを理解してもらわないといけないしね」■■
「……むう」■■
「満点をとるのも2回目じゃないっ!
満足してくれてもいいと思うわ!」■■
【アーサー】
「ああ、君は頑張っているし、それは認めるけど……。
君が私達を放置してきた年月に比べたら……、ねえ?」■■
「う……」■■
(また、責められている気分……)■■
引いたかと思えば、またぶり返す。■■
しつこいと思いながら、強く反論できない。
彼のような人がこうネチネチとこだわるからには、それだけ傷ついたということでもあるのだろう。■■
最初にエリックが言っていたように、「愛情の反対は無関心」。
だとすれば、これだけの執着は好意の裏返しでもある。■■
(……って、まだ会って間もない人だけど)■■
彼は、本そのもの。
だから、彼のほうは私を知っている。■■
私にとっても、もう初対面ではない。
長く過ごせば情もわくし、知らない人ではなくなったので、すげなくも出来ない。■■
(悪いことをした……んだろうなあ)■■
そういう意識がないことが、彼……本にとっては酷いことにあたるのだろう。■■
【アーサー】
「さあ、今回も息抜きの散歩に出かけようか。
ほら、行くよ」■■
「は~い」■■
(……昔以上に知っていけば、帳消しになるかしら)■■
【【【演出】】】・・・二人歩き出す足音
【【【時間経過】】】
◆住宅街を歩く二人。
二人が歩いている歩道は各家の庭に面していて、イギリスの古いスタイルの住宅が並んでいる。
◆落ち着いた閑静な住宅街といったイメージ。
庭には紫陽花がこんもりと茂って花をつけている。
「このあたりは、紫陽花が咲いている家が多いのね。
どの家の玄関先にも、紫陽花があるような気がするわ」■■
【アーサー】
「この辺りは雨が多いからね。
雨を好む紫陽花はここの気候と合っていて、世話が簡単だから好まれるんだよ」■■
「でも、面白いわ。
どの家にも紫陽花が植えてあるのに、そのどれもが少しずつ色が違っている」■■
【アーサー】
「ふむ……。
例えば?」■■
「えっと、ほら、あそこの家に咲いているのは青味の強い紫陽花でしょう?
でもそのお隣はもうちょっと赤みがかっているわ」■■
「向かいの家の紫陽花はなんだか緑がかった白い色をしているし……。
珍しいわよね、白っぽい紫陽花だなんて」■■
【アーサー】
「そうだね、珍しい新種であってくれればいいんだけれど……。
白っぽいものや緑がかった紫陽花は、残念ながら病気である可能性が高いから気をつけなければいけないんだよ」■■
「病気?」■■
【アーサー】
「病気の元となる細菌が寄生することで、緑がかった白い紫陽花の花が咲くんだ。
放っておくと、菌が広がってどんどん他の紫陽花まで同じ色になってしまう」■■
「そ、それは大変だわ。
珍しい新種ならともかく、病気が広がっていくのはまずいわよね」■■
【アーサー】
「だが長い間、ただの変種だと思われていたものだからね。
新種として登録されてしまっていたりもして、なかなか根絶には至らない」■■
「そこまで浸透しているとなると……、病気といえども難しそうね」■■
【アーサー】
「元々、紫陽花は様々な要素でその色を変えると言われている。
そのせいで、色が変わっても病気という考えには至らなかったのだろう」■■
「ああ、そのことなら私も知っているわ。
確か……、地面の性質で紫陽花の花の色は変わるのよね?」■■
「酸性だと赤くて、アルカリ性だと青だとか」■■
【アーサー】
「そうそう、よく知っているね。
よくその性質をモチーフにした都市伝説を耳にするよ」■■
「私もよ。
紫陽花の花の色が変わったことで、その下に埋めてあった犯罪の証拠が明らかになるという話でしょう?」■■
【アーサー】
「ミステリーで、一時期流行ったよね。
埋まっているものは、死体だったり凶器だったり……」■■
「でもそれ、本当なの?」■■
「実際にそんなことが起こるのかしら?
お話の中だけ?」■■
【アーサー】
「条件が重なれば有り得ないことではないだろうが、微妙なところだね。
もちろん土の成分が花の色に関係しているのは事実だけれど……、どうやらそれだけではないようだから」■■
「気候や温度、他にもいろいろな要素があって、決まるってことなのね。
……土に何を混ぜるかで、簡単に花の色を調整できたら面白いのに」■■
【アーサー】
「ふふ、そんなことをしなくても、紫陽花は枯れるまでに七色の変化があるとも言われているよ。
まあ、そのせいで『移り気』なんて花言葉をいただいてしまっているのは気の毒だけどね」■■
「移り気?
浮気性ってこと?」■■
【アーサー】
「そういうことになるね。
ころころと色を変える様が、心変わりにも見えたんだろう」■■
「綺麗な花なのに、残念だわ。
人から貰っても、そんな花言葉じゃちょっと喜べないわね」■■
【アーサー】
「いやいや、そうでもないさ。
紫陽花には『移り気』の他にも、『強い愛情』や『家族愛』なんて意味の花言葉もある」■■
「そうなの?
花言葉って、一つじゃないのね」■■
【アーサー】
「花言葉は、トルコのイスタンブールで流行したのが世界に散っていったものなんだ。
そして、渡った先の国の伝承や、神話と結びついて新しい意味が生まれたりしたものだからね」■■
「ほら……、見てごらん。
小さな花がたくさん集まって、一つの花を形成している姿は、いかにも『家族愛』や強い絆を象徴しているようだろう?」■■
「ええ、本当にそんなふうに見えるわ」■■
【アーサー】
「どんなものにも、様々な顔があり、二面性どころか何面性もある……。
……移り気な人でも情がないわけではないし、愛すべき人だったりする」■■
「…………」■■
「…………」■■
【アーサー】
「…………」■■
「……なんで、私をじろじろ見るのよ」■■
【アーサー】
「……はは、なんでだと思う?
移り気な人」■■
「…………」■■
(……駄目だ。
相当、根に持っている)■■
彼のように、身分のある紳士がこうまで根に持つとは。
その根は相当に深いのだろう。■■
何故か……、悪い気はしなかった。■■
「……花言葉って、奥が深いのね」■■
【アーサー】
「そうだとも。
もし君が興味あるのなら、花言葉についても勉強してみるといい」■■
「……ああ、もう近所を一周してしまったね。
そろそろ館に戻らないといけない時間だ」■■
「ああ、もうそんな時間?
アーサーさんとのお散歩は、あっというまだわ」■■
【アーサー】
「そういってもらえると光栄だよ。
私にとっても、君との時間は過ぎるのが早い……」■■
「……そうだ、ちょっと待っていてくれるかな。
エリカ、君にいいものをあげよう」■■
「え、ええ。
待っているわ」■■
子供のようにしつこいかと思えば、衒いもなく、あんな口説き文句のようなことを言うなんて。■■
【アーサー】
「すぐに戻ってくるよ」■■
(…………)■■
(……いいものって、何かしら)■■
【【【演出】】】・・・足早に歩き去っていく足音
【【【時間経過】】
【【【演出】】】・・・足早に戻ってくる足音
【アーサー】
「はい、どうぞ。
この花を君にあげるよ」■■
◆アーサーが主人公に、グラジオラスの花を渡す。
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そう言って、彼は摘んできたばかりの花を差し出してくれた。■■
いくつかのつぼみと、大きく開いた白い花。
その縁は鮮やかなピンクに染まっている。■■
「わあ、綺麗な花……!」■■
【アーサー】
「館の庭に咲いていたのを思い出してね。
こっそり頂戴してきてしまった」■■
「この花はグラジオラスというんだ。
花言葉は……、『たゆまぬ努力』というんだよ」■■
「今の君に相応しいと思ってね。
頑張って学んでくれ……、私のことを昔以上に」■■
「……ええ。
努力するわ」■■
【アーサー】
「また、君と散歩できるのを楽しみにしているよ」■■
【【【時間経過】】】

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