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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『ブラッド=デュプレ ■14話_1』

◆帽子屋屋敷・主人公の部屋◆
【【【時間経過】】】
「…………」■■
小瓶をじっと見る。■■
小瓶は一杯だ。
……もう入らないくらい。■■
(これが溜まったら……、もう帰らなくちゃならないのね)■■
なんの説明もなくても、分かる。
タイムリミットはもう目前だ。■■
期限が迫っている。
この世界にも慣れてしまった。■■
夢だか空想だか……それとも本当に異世界なのかもしれない。
現実味のない世界を本物かもしれないと思うほどに、馴染んでしまった。■■
(もう、ここにずっといても……)■■
「……った……」■■
【【【演出】】】……きんっと、耳鳴りがする音
きんっと、耳鳴りがする。■■
「……うっ」■■
「…………」■■
「……帰らなきゃ」■■
私は帰らなければならない。■■
【【【時間経過】】】
◆帽子屋屋敷・ブラッドの部屋◆
【ブラッド】
「はあ……」■■
「……面倒なことになった」■■
「私は大分前から面倒なことになっているわよ……」■■
「……別れた恋人と同じ顔の人とできちゃうなんて、自虐癖でもあったのかしら」■■
「はあ……」■■
私達は互いに溜め息をつき、互いの発言内容に嫌な気分になった。■■
「面倒なのは、私のほうよ」■■
【ブラッド】
「私のほうが、もっと面倒なことになっている」■■
ぶつぶつ言いながら、ブラッドは私に触れてくる。■■
【ブラッド】
「自分と同じ顔の男と競わなければならないんだぞ?」■■
「自分の顔が嫌なら、整形でもしたら?」■■
【ブラッド】
「君は、この顔が好きなんだろう。
忌々しい……」■■
ブラッドはイライラしているらしい。
自分の顔に嫉妬するなんて、馬鹿馬鹿しいことだ。■■
【ブラッド】
「同じ顔……」■■
「おまけに、異世界の男ときている。
対抗意識を燃やすにしても、訳が違う」■■
「それを言うなら、私だって……。
相手は、異世界の……夢だかなんだか分からないような場所の住人で、別れた恋人と同じ顔をしたマフィアなのよ?」■■
「……最低。
自分の悪趣味さ加減に泣きたくなる」■■
【ブラッド】
「それは私の顔も悪趣味だと言っているのか、お嬢さん?」■■
「ええ、そうよ。
好きな顔だとしても、悪趣味」■■
【ブラッド】
「ふ……っ、はっきり言うね。
君はますます私を面倒にさせたいらしい……」■■
【ブラッド】
「私を苛立たせるのが本当に上手だな。
……こうやって、お互いにどつぼにはまっていくわけか」■■
私だって、イラついている。■■
互いにイラついているのに、どうして抱き合ってしまうのか。
血迷った自分に、イラつく。■■
ブラッドの苛立ちも、私と大差ない理由からだろう。
私達は、互いに嫌い合っている。■■
避けたいと思っていた面倒ごとに巻き込んでくれた相手だ。
嫌わずにはいられない。■■
「前にも言ったけど、私、恋愛なんてごめんだわ」■■
【ブラッド】
「私だって、そうだ。
恋愛に限らず、面倒なことは嫌いだ」■■
「したいことしかやりたくない……」■■
「じゃあ、べたべた触ってくるの、やめてよね……」■■
【ブラッド】
「触りたいから触っているんだ。
君こそ、嫌なら抵抗しろ」■■
「責任転嫁しないで」■■
【ブラッド】
「君のほうこそ」■■
文句を言い、いがみ合いながら触れ合い、キスを交わす。■■
【ブラッド】
「ああ……、面倒くさい……」■■
「どうして、こんな面倒なことになったんだ……」■■
「あなたのせいでしょう」■■
【ブラッド】
「君が悪い」■■
「私だって、同じ世界の人ならこんなに面倒じゃなかったわ」■■
【ブラッド】
「……比べるな。
胸糞が悪くなる」■■
「前は、比べてみろとか言っていなかった?
あのときは余裕だったわよね」■■
【ブラッド】
「今は嫌なんだ。
面倒なことにな」■■
喧嘩しているような会話。
イラついて、言葉はどんどんきつくなる。■■
それなのに、空気はどんどんと甘くなっていくのだ。■■
なんて、面倒な。
これでは、苛立ちも持続しない。■■
【ブラッド】
「似ていると言うのなら、そいつを消して成り代わってやる」■■
剣呑な言葉はやはり甘く、私は面倒だ面倒だと思いながら満たされていく。■■
【【【時間経過】】】
◆帽子屋屋敷・薔薇園◆

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