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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『サブイベント ■お風呂・皆(ブラッド)』

※「お風呂イベント4」まで発生済みの場合、「お風呂・皆」イベントここから↓

◆帽子屋屋敷・浴場◆
【【【時間経過】】】
「~~~~~♪」■■
屋敷内の大浴場は、今回も賑やかだ。■■
特異な状況にも、慣れてしまった……。
今では鼻歌も歌えてしまう。■■
(慣れって素晴らしい……)■■
【ブラッド】
「……はあ。
いい湯だ……」■■
ブラッドの年寄りじみた言い回しにも慣れた。■■
「~~~~~♪」■■
【ディー】
「見て見て、兄弟!
お花だよ~」■■
【ダム】
「わあ、いいね、いいね!」■■
「これで風呂掃除をする人は一気に大変になるね!
後先考えない行動がかっこいいよ、兄弟!」■■
【ディー】
「排水溝に詰まって詰まって大変だろうね、兄弟!」■■
【ダム】
「僕達が掃除するんじゃないからいいと思うよ、兄弟!」■■
双子のにぎやかさと独創性のある会話にも慣れた。■■
「~~~~~♪」■■
「…………」■■
「……はあ」■■
慣れてはマズイと思う。
こんな状態に慣れきったら、大問題だ。■■
どうして私は、男性陣と一緒にお風呂に入るなんていう事態に慣れてしまったのだろう……。■■
(ここは、適応能力を発揮しなくてもいいところよね……)■■
【エリオット】
「どうした、アリス?
溜め息なんかついちまって……」■■
【ブラッド】
「風呂が気持ちいいんだろう……。
はあ……、疲れがとれる……」■■
(ほんっと、年寄りじみてるな……)■■
「ブラッド、あなた、言うほど働いていないでしょう」■■
【ブラッド】
「失敬な。
組織を支えているんだぞ?」■■
【エリオット】
「ああ!
ブラッドはじゃんじゃんばりばり働いてるぜ!」■■
「じゃんじゃんばりばり……」■■
出玉がよさそうな表現だ……。■■
「……働いているのは、エリオットのほうでしょう」■■
【エリオット】
「ん?俺?
んなことないぜ」■■
「嘘。
この屋敷内で、あなたが一番働いているわよ」■■
滞在が長くなってくれば、特に教えられなくても分かってくることも多い。■■
この屋敷……この組織内で一番の働き者はエリオット=マーチだ。
見た目大雑把そうな彼は、実に真面目によく働いている。■■
話しかけるとそんなに忙しそうな様子でもないのに、常に動き回り、時間に隙間がない。■■
★ブラッド滞在ルートのみ↓
最近ではブラッドとの関わりで、ボスである彼もそれなりにちゃんと働いているのは気付いていた。
彼はそれを人に見せないだけ。■■
しかしこの場ではそんなことは言えないし、誰より頑張って働いているのは、やはりエリオットだ。■■
★ブラッド滞在ルートのみ↑
「……ブラッドは、もっと手伝うべきよ」■■
【ブラッド】
「私は、したいことをしたいときにやる主義なものでね」■■
だるそうに、流されてしまう。
この人は、いつもそうだ。■■
やる気がないというか、自分がしたいことしかしない。■■
【ブラッド】
「必要最低限の責務は果たしているさ。
それ以上は、したいときにする」■■
「部下にも、必要以上のことは自分の判断に任せている。
……なあ、エリオット」■■
【エリオット】
「そ。
俺は好きでやってんの」■■
「……ふーん」■■
「……サボり癖のある上司を持つと部下はしっかりするのね」■■
【ブラッド】
「口の減らないお嬢さんだ……」■■
【エリオット】
「ブラッドは、見えないところでしっかり働いているんだぜー」■■
【ブラッド】
「ああ……。
私は働き者なんだ……」■■
だるそ~~~に言われても、説得力がない。■■
ブラッドが働いていないとは言わないが、やはり仕事量NO.1はエリオットだ。■■
NO.2なのに、NO.1。
見えないところでも見えるところでも、彼は熱心に働いている。■■
(仕事に対して、そんなに熱意を持つタイプにも見えないのに……)■■
場所が場所なら、率先してサボり組にまわりそうなタイプだ。
ブラッドに弱みでも握られているのではと思うが、彼の目には尊敬しか見て取れない。■■
エリオットの目には、このだるそうな男が尊敬と敬愛の対象として映っているのだろう。■■
「部下に恵まれてよかったわね」■■
足を思い切り伸ばして、ブラッドの爪先をつんっとつつく。
少々遠いが、なんとか届いた。■■
【ブラッド】
「上司は力が抜けているくらいでちょうどいいのさ……」■■
「あなたの場合は抜けすぎだと思うの……」■■
【ブラッド】
「食客に言われたくないね……」■■
「ふ……」■■
「お客だからこそ、いろんなところもよく見えるものよ……」■■
【ブラッド】
「ふふ……」■■
「見えても口はつぐんでおくべきじゃないかな、お嬢さん……」■■
水面上では、だっら~~~っとしつつ、水面下では蹴り返してくる。■■
【エリオット】
「?」■■
「ブラッドより、問題はあいつらだぜ。
人が働いてんのに、気にせずじゃらじゃらじゃらじゃらサボりやがって……」■■
「じゃらじゃらじゃらじゃら……」■■
すごく出玉がよさそうな表現だ……。■■
エリオットは双子を睨むが、彼らは上司の睨みなど気にせずきゃっきゃと遊んでいる。■■
サボり癖のある上司を持つと部下はしっかりする。
しっかりした上司を持つと部下はサボる。■■
(組織というものが凝縮されているようだわ……)■■
エリオットがかわいそうになってくる。
この中で割が合わないのは彼だ。■■
しかし、本人は気にしていなさそう……。
部下はともかく、上司に不満はないようだ。■■
「…………」■■
【ブラッド】
「…………」■■
【【【演出】】】・・・げしげし蹴る音
げしげしと蹴っておく。
相手も、負けじと蹴り返してくる。■■
水面を波打たせないよう、先刻から攻防が繰り返されていた。■■
(こんなところだけ、やる気をみせなくても……)■■
流せない私も同罪だ。■■
【エリオット】
「おまえら、ちょっとは反省しろよ」■■
【ディー】
「わ!?」■■
【ダム】
「なんだよ!?」■■
【エリオット】
「遊んでばっかいないで、肩まで浸かれ、肩まで!
あったまらないだろ?」■■
【ディー】
「ほっといてよ、ひよこウサギ!」■■
【ダム】
「沈む沈む!
肩までとか言って、頭おさえてどうするんだよ、馬鹿ウサギ!」■■
【エリオット】
「っせえんだよ……」■■
「おまえらは毎回毎回毎回毎回毎回さぼりやがって……。
まったくよー……」■■
「俺は毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回尻拭いしてんだぞ?
分かってんのか?」■■
「……あー、ムカつくクソジャリ共だ……」■■
【ディー】
「やーめーてーよーーーー!
なんだよ、なんだよ、変な趣味でもあるんじゃないの、おまえ!」■■
【ダム】
「児童虐待だよ!
沈む沈む沈む……!」■■
【エリオット】
「くくくくく……」■■
「沈め沈め沈め……」■■
エリオットはかなり壊れている。
普段、相当に蓄積されたものがあるのだろう……。■■
「……いいお兄さん役ね」■■
【ブラッド】
「…………」■■
「君も、いいお姉さん役になれそうじゃないか……」■■
双子とその上司と反対に、私達は表面上なごやかに談笑していた。
しかし、水面下ではすごいことに……。■■
(私にも、相当に鬱屈されたものが……あるのかな?)■■
【【【時間経過】】】

 

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