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ハートの国のアリス
~Wonderful Wonder World~

『ブラッド=デュプレ ■双子DEADEND』

1:「確認しないで先を急ぐ」(○条件により双子DEADEND)
(……別に、確認するほどでもないわ。
早くブラッドの部屋に行こう)■■
【【【時間経過】】】
帽子屋屋敷・ブラッドの部屋
急ぎ足でブラッドの部屋に到着する。
幸いそこまで火急ではなかったようで、ブラッドは穏やかに私を迎えた。■■
用件を尋ねると、すぐに内容を切り出される。■■
それは予想通り、またお茶会を開くというものだった。■■
「また?
何だか、しょっちゅうやっている気がするんだけど」■■
【ブラッド】
「気がするのではなく、実際にしょっちゅう行っているんだよ。
いい紅茶を、間を置かずに繰り返し飲みたくなるのは当然だろう?」■■
「まあ、その気持ちは分かるけど……」■■
実際、ここで振る舞われる紅茶はかなり美味しいので、強く文句を言えないところだ。■■
「でも、それなら毎度のことなんだから、わざわざ部屋に呼び付けなくてもいいでしょうに」■■
【ブラッド】
「軽く誘っただけだったり、エリオットに任せると、また君に逃げられてしまうからね」■■
【ブラッド】
「エリオットが勝手に、業者にオレンジ色のものを追加注文したそうなんだ。
だから、次回は君にも【大】是が非でも【大】参加してもらわなければいけない」■■
「はいはい。
分かったわよ」■■
どうせそんなことだろうとは思った。
逆らうだけ無駄だろう。■■
【ブラッド】
「ああ……、そういえば、君に紅茶の嗜好をきちんと尋ねたことがなかったな」■■
【ブラッド】
「君にはいつも自信を持って振る舞えるものを出してきたが、思った以上に味の分かるお嬢さんのようだ。
もっと早くに確認しておくべきだった」■■
不意にブラッドが思い付いたようにそんなことを言い出した。
いい紅茶は間を置かずに飲みたくなるというような話をしたせいだろうか。■■
【ブラッド】
「紅茶には色々と種類があるのは知っているだろう?」■■
「その時々の時間帯に合った茶葉、気分に合った茶葉、それから料理――主に茶菓子だがな、それに合った茶葉も存在する」■■
「ええ、そうね」■■
【ブラッド】
「時に君は、どんな紅茶にもミルクを入れる派かな」■■
「それとも紅茶といったらストレートしか認めないという、美学を持っているか?」■■
ブラッドは、いつもストレートで飲んでいる。
それに倣い、私も毎回そうしていたが……。■■
「ミルクは入れないわ。
ストレート派ね」■■
そう答えると、ブラッドは満足した様子で頬を緩めた。■■
【ブラッド】
「やはり君は本質というものを知っているな。
原石とも言える存在があるからこそ、周りのものが引き立つ。この場合は茶菓子やパンだな」■■
「ストレートで飲んでこそ、紅茶は周りの魅力を引き立たせるんだ。
私の嗜好を解してもらえて嬉しいよ」■■
「そ、そう?」■■
喜ばせるつもりはなかったので、そう言われると照れる。■■
「色々な飲み方があるんだもの。
自分の好きなように飲めばいいのよ」■■
ブラッドが紅茶好きで詳しいからと言って、彼に飲み方を合わせようとは思わない。■■
今までも、飲み方や作法を強要されたことはない。
されていたら、ほぼ毎回の参加はしていないだろう。■■
内心では認めていなくとも、そういうところは尊重してくれている。■■
(どんな飲み方をしようが、お茶請けににんじんスイーツしか食べないよりはマシ、ってとこかもしれないな)■■
【【【時間経過】】】
◆帽子屋屋敷・廊下◆
【【【時間経過】】】
【???・ディー】
「……あれ?」■■
【???・ダム】
「お姉さんは……」■■
「……?」■■
「誰だっけ?」■■
「あなた達は……」■■
廊下で鉢合わせたのは、見覚えのある子供達だった。■■
三人とも、戸惑う。■■
この双子達とは、最初にこの屋敷を訪ねたときに会っている。
しかし、今の今まで会う機会もなく、時間を過ごしていた。■■
顔を合わせるのが久しぶりすぎて、互いの記憶が薄い。■■
【???・ディー】
「え~と……」■■
「このお姉さん、見覚えがあるよ。
結構前に、門で会った気がする……」■■
【???・ダム】
「前に殺しかけたことがある気がする……」■■
「なんで殺しかけた人が、まだ生きているんだろう?
どうして殺せていないのかな、兄弟」■■
「……僕達が殺そうとしたんだ。
死んでいないとおかしいよね?」■■
【???・ディー】
「……うん、確かそうだった。
ひよこウサギに邪魔されたんだった」■■
「それで生きているんだよ、兄弟」■■
「……死んでいないとおかしいのに」■■
【???・ダム】
「お姉さん、侵入者だったよね?」■■
【???・ディー】
「それで殺そうとしたんだよ、兄弟。
だから、このお姉さんは侵入者だ」■■
「……すごいや。
ここまで侵入しちゃったんだ」■■
「あのとき、見逃すんじゃなかったなあ……」■■
「違うの。
今は……」■■
不穏な空気を感じ、説明しようとする。
彼らは知らないようだが、今の私はこの屋敷に滞在させてもらっている客だ。■■
しかし、双子は説明の時間を与えてくれなかった。■■
【???・ダム】
「すぐに始末しないと。
ボスに怒られるよ」■■
【???・ディー】
「やり損なって屋敷をうろつかせちゃうなんて、減給ものだ」■■
【【【演出】】】……ざくっと切られる音
ざくっ。■■
「……っ……!?」■■
何が起こったのか分からないうちに、私は床に倒れた。■■
【???・ダム】
「見つからないように片付けよう」■■
「……っ……」■■
【【【演出】】】……ざくざくと切られる音
ざくっ、ざくっ。■■
「…………」■■
痛みを感じることも出来ない。
ある意味、慈悲深いのかもしれない。■■
双子は容赦がなかった。
あっという間に意識が沈んでいく。■■
【【【時間経過】】】
真っ暗だ。
何も見えず、何も聞こえない世界。■■
だけど、とても安心する。■■
居心地がいいからといって、こんな場所にいつまでもいてはいけない。■■
帰らなくては……。■■
でも、出口はどこにもない。■■
何もできない。
誰もいない。■■
私だけ。
私しかいない場所。■■
(…………)■■
(…………)■■
(これ……、夢なのよね……?)■■
これは夢だ。
夢のはず。■■
現実ではなかったはずだ。
でも、それならどうして。■■
(どうして、いつまでも覚めないのかしら……)■■
【【【時間経過】】】
「双子DEADEND」ここまで↑