「それにしても、ユリウスったら。
自分で、この世界の住人と交流しろとか言っておきながら、否定的なことばかり言わないでよ」■■
一人では、元の世界に帰れない。
適当に誰かと交流しながら過ごせ。■■
そういうルールだと言ったのは彼なのに。■■
【ユリウス】
「仕方がないだろう。
この国には、否定したくなるような奴しかいないんだ」■■
(だったら、やっぱりユリウスが私と『交流』してくれればいいのに……)■■
そう、これは夢。
どうせ一時の幻なのだから、思うままに過ごせばいい。■■
気になる場所に行き、気になる相手がいれば会いにいく。
そうする以外、ここでの時間を潰せない。■■
(気になるといえば、他領土の人なんかより、ユリウスがよっぽど……)■■
(ユリウスのことが、気になる……)■■
何せ、私が同居人に選んだ人だ。
ここに住む限り、他領土の人物よりも、よほどこの人のことが気に掛かる。■■
(無愛想で口が悪くて引き篭もりで。
他の領土の人と比べると、驚くほど地味)■■
(でも、意外と優しい。
やっぱり、ユリウスといるのが一番落ち着く……)■■
私のゲームは、一人では進められないと言う。
パートナーのようなものが必要なら、やはりそれは……。■■
【ユリウス】
「……アリス?」■■
(!)■■
名前を呼ばれ、物思いから覚める。
黙り込んだ私を、ユリウスが訝しげに見ていた。■■
【ユリウス】
「いつまでも突っ立っているな。
……することがないなら、珈琲でも淹れてくれ」■■
「はいはい、分かりました」■■
ユリウスが仕事を再開する。
私も扉の前を離れ、キッチンへと向かった。■■
【【【時間経過】】】
ユリウス 01話 へ進む